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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

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102部分:それぞれの思惑その五


それぞれの思惑その五

ーレンスター城ー
 解放軍は準備を全て終えコノートへ向けて進軍を開始した。総勢二十万のうち三万をイザーク、メルゲン、ターラへ置き新たにアルスターに防衛の為一万を置き守将としてゼーベイアを残した。セリスは他の将達と共に十六万の兵をもってアルスターから出発しレンスターを通りコノートへ向かった。所々に置かれている砦において予想されたフリージ軍の抵抗は無く全て空城であり解放軍の進軍は迅速なものであった。
「これ程楽に勧めるとは思わなかったね」
 セリスは馬を進めながら傍らにいるオイフェに言った。
「はい、危惧された森林地帯の伏兵も無いですし進軍は非常に楽に進んでいます。どうやら敵は野戦で決着を着けようと考えているようです」
「野戦か・・・・・・。おそらくフリージの必勝戦法であるテルシオとカラコールで来るね」
「はい、前者は歩兵と弓兵、魔道師を組み合わせた方陣、後者は魔道騎士団による波状攻撃です」
「両方共手強そうだね。しかも敵は大軍のうえ知将勇将が揃っている。苦戦は免れないだろうね」
「ですが我々は勝たねばなりません」
「策があるんだね」
「勿論です」
 オイフェは口と目で微笑んだ。
 その後アルスターに進駐していたゼーベイアにアルスター北東の森林地帯の要地であるベルファスト城占領指令が出され解放軍は東進を続けた。フリージ軍は影も形もなく進軍は極めて順調であった。
 やがて昼食の時間となり全軍休息をとりだした。哨戒に当たっていたミーシャも降り休息に入ろうとしていた。その時アズベルと目が合った。
「あっ」
 二人は急に顔を真っ赤にし顔をそらした。
「な、何で恥ずかしがってんだろ私」
「ど、どうしたんだろ僕」
 二人にとっては全く身に覚えが無かった。後でフィーやアーサー達から事の一部始終を聞きミーシャは顔をトマトの様に赤くし慌てふためきアズベルは頭が噴火し気絶した。
 ユリアはラナ、マナ達女性陣と共に食事を採っていた。進軍中なので流石に酒は無い。馬の桶の様な杯に水や牛乳があり牛の夕食分はあるパンと干し肉や魚、ザワークラフト、そして果物が一人ずつに配られているだけである。
「この林檎美味しいわね」
 ラクチェが丸かじりしながらニコニコしている。
「こっちのグレープフルーツもいいわ」
 ラドネイが剣で皮を剥き白皮を残したままかぶりつく。
「ザワークラフトも最高」
 ミランダがキャベツの酢漬けをムシャムシャと食べている。
「本当にレンスターって食べ物が美味しいわあ」
 タニアがよく熟れた無花果を手にしホクホクとしている。
 皆食べ物を口に入れ水や牛乳を飲んでいる。その時パティが思いついた様に言った。
「そういえばうちって男は背が高いのが多いけれど女の子は小さいわよね」
「えっ!?」
 一同ピタリ、と口や手を止めた。
「ミーシャさんとかアマルダさんみたいな大人の人以外は皆五十歩百歩でしょ」
「うっ・・・・・・」
「アマルダさんにしてもイリオスさんと同じ位だし他の人達も大体そんなに変わらないでしょ」
「そういえば話す時顔を上げる事が多いような」
 当のアマルダがボソッ、と言った。
 「うちの親父なんかあたしの二倍位はあるしねえ」
タニアが腕を組み眉をしかめながら言った。
「この前パーンさんに頭の天辺をポンポンと手の平で押されたのよ」
 ディジーがムスッとして言った。
「レスターの奴いつもあたしをチビチビッて言うのよね。頭きちゃうわ」
「あんたがからかうからでしょ」
 パティにラーラが突っ込みを入れた。
「大体パティって本当に小さいもん。あたし達の仲で一番小さいんじゃない?」
「そっかなあ〜〜、自分じゃそう思わないけど」
 フィーの言葉に返した。
「牛乳飲んでみる?」
「駄目駄目、あんなの嘘っぱちよ」
 エダにリンダが言った。何やら過去があるようだ。
「厚底に靴なんかはどうでしょう?」
「う〜〜ん、ぐねると痛そう」
 リノアンの提案にリーンが首を傾げた。
「イシュタル王女が履いてたけどね」
 カリンがその名を出した時だった。
 
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