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fate/EX=zero

作者:zeron
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天才少女の月旅行
  策謀姫と背徳騎士

 
前書き
もう1人の主人公の話準備に時間がかかりまくってこっちの更新が停滞していました
公開するときは部によってこっちと分けるか別の小説として登録するか悩み中です

それはそれとして今年になってから初めての更新ですね
明けましておめでとうございます(遅い) 

 
階段の踊り場で見つめ合う1組の男女

青空から降り注ぐ太陽の光が窓から差して2人を照らしていた

男の方は茶色の制服を着た学生のように見える

女の方は背が低く白衣を着ている

何も知らない一般人がこの光景を見たら養護教諭と男子生徒の禁断の愛と思うかもしれないシチュエーション

実際のところは…………

「本当にやるんですか」

口を開いた男の表情は崖っぷちに追い詰められた昼ドラの犯人のようになっている

「まぁ、楽に誰かのお近づきになるには昔ながらの手段が一番ですよ」

男と比べて随分と陽気な女はにやにやと笑いながらそんなことを言う



しばらくして男の背後から2人以外の声が聞こえる

「言っておきますがキャスター、私のお姫様に少しでも変なことをしてみなさいあなたのマスターを消し飛ばしますよ」

それに対して次は女の後ろから声が返ってきた

「そんなことしません!私はあくまでお二人とは協力関係……仲間として対応しますよ?」

2つの声に対して白衣の女は苦笑する

「バーサーカー……ちゃんと臙条さんを守るのよ。無いとは思うけど遠坂時臣ならアリーナと決戦場以外での戦闘を可能にする類いの違法(ルール)呪文(ブレイカー)を持ってきている可能性があるからね。キャスターさんは私の掩護をお願いします。」



どうしてこうなったのかというと














「遠坂時臣の感知を受けない自白剤ですか……キャスターなら簡単に作れると思います……が飲ませないといけませんよ?」

「ありがとうございます」

臙条を食堂で発見して臙条に依頼したらあっさりと快諾してくれた
変わらず目は怪しく輝いているがある程度の理性はあるようだ…今は


「ここではあれですしどこかの空き教室に行きましょう」
















無人の教室には机と椅子がずらりと並んでいる

予選の時に生徒の役割(ロール)だった人はここで授業を受けていたのだろう

学校に学生として存在することは現実にしろ予選の時にしろ私には結局なかったわけだ
見た目的にはまだ若いしいけるし…………いや、そんなことより

「キャスター……メディア出てきてくれ」

臙条の声に応えて1騎のサーヴァントが姿を現す


やはり臙条のサーヴァントは裏切りの魔女メディア

だがその姿は魔女というより魔法少女のように幼い

女神ヘカテーに魔術を学んでいる時代

アフロディネの呪いを受けイアソンに出会う前の姿のようだ

だが油断はできないな

「あなたが私の姿を見るのはこれが初めてですね、初めまして私はキャスタークラスのサーヴァント メディアです」

「あ、えっと、よろしくお願いします。バーサーカー……霊体化を解除して」

私がバーサーカーを呼ぶと机に座った状態でバーサーカーが出てくる

「うーん、あなたがそこの人のサーヴァントですか魔術師とはあんまし相性よくないんですよねぇ まぁ一応よろしくです」

気が乗らないといったような感じで机から降りるとだるーんとランスを地面に突き刺し杖代わりにした

「それで佐々野さん、自白剤の作成自体は可能ですが相手に飲ませる必要のあるものしか作れませんがどうやって飲ませるんですか?」

メディアはそういいながら手のひらの上に小さなガラスの容器を出現させた
アイテム情報を書き換え道具を作ることはウィザードでも可能だがこれだけの速度でこれほど複雑な物は作れない
流石は神代の魔女と言ったところかウィザードの技術とは次元が違う


「まぁ、色々方法はありますがとにかく遠坂時臣に近づくことが必要なのでこれを使います」

白衣のポケットから取り出したのは香水入れ
臙条とバーサーカーは何なのかわからずきょとんとしているがメディアだけは何かわかっているようだ


「それは?」

「この香水は大淫婦バビロンの姦淫のぶどう酒を薄めたとか夜の魔女リリスの体液とか吸血鬼の王を殺した杭に滴った血液を使っているとか色々と曰くのある魅了(チャーム)の香水です」

白衣の中に入っている道具の中でも希少性だけで見るなら一番の品物だ
ただこれを使うには重大な問題を抱えていて…………

「強力な物ですが私のサーヴァントは見ての通り色ボケ狂気乱舞のバーサーカーなので使ってたら制御を失う可能性がかなり……いや確実に……」

「どんだけ信用ないんですか私!!」

だってバーサーカーだし
無辜の怪物の効果で自己暗示スキルのような効果を持っているので精神干渉に対する高い耐性があるとは知っているが今回はその効果が発揮されるか怪しいところだ
一体どんな暗示なのかは知らないが暗示に合うような効果に対しては自己暗示はむしろデメリットになりかねない
どんな自己暗示をしているかは知らないが普段の様子を見ると……


「俺とかはそれを使ってる佐々野さんに近づいたらどうなるんです?」

普通の状態の臙条なら効果はあると思うが今の臙条はメディアに施されている効果の方が強く発揮されるだろうから恐らくは効果はないはず

「まぁ、臙条の場合はキャスターさんがうまく中和してくれると思うので大丈夫ですよ。それでこの香水を使っている間は私にキャスターさんを貸してください代わりにその間は臙条さんの護衛にこちらのバーサーカーを貸出し「ちょっとなんですかそれ!!」

うぅ、わかっていたがバーサーカーから抗議の声が上がる

「うーん、じゃあ試しに1回使ってみるよ、バーサーカーが暴れたらキャスターさんガードお願いします。」

昔この香水を使って大惨事を起こしたことがあるので使用する時は少し薄めにして使用することにしている
遠坂時臣に使う際はもう少しカスタムして効果を変更して自然に効いていくようにしないといけないな

フラスコに香水を少し入れて水と混ぜ別の容器に移し替え準備は完了


「それじゃ行くよ」

香水を少し体に付ける
これでバーサーカーがどうなるか…………

「まったく、そんな小物程度で私をどうこうできるなんてお姫様は私をバカにしています!」

まだ匂いが届いていないのだが……一歩バーサーカーに足を進める
これでもまだ普段のバーサーカーとの距離より遠いが

「それにしてもお姫様本日は一段と可愛らしいですね」

…………もう一歩

「もう我慢できない!お姫様―!!」

ムーンセルによって作られた見た目は教室そのものだが遥かに高い強度を持つ床を破壊するほどの跳躍をみせて私に飛び込んできたところをキャスターさんが作り出した障壁に阻まれる

「決まりですね、バーサーカーは臙条さんの護衛をよろしく」























私のマイルームにキャスターさんを入れることにもバーサーカーが猛反対したが代わりにバーサーカーを臙条のマイルームに入れて私に何かあったときは臙条がその報いを受けるという形で理解させた
バーサーカーが居ると中々できないこともできるわけだ


「さて、魔女メディアと言えば今のようなあなたの姿ではなくもう少し成熟しているはずですがどういうことですか?」
サーヴァントは最盛期の頃の姿で召喚される
戦うためにサーヴァントを呼び出すのだからある意味当然だ
そして魔女メディアなら魔術的能力なら確かに今の姿でも最盛期並だろうけど戦闘値として最盛期をみるのなら裏切りの魔女として攻撃性が高まっている状態で呼ばれるだろう

「そう…ですね。確かにこの姿の私はまだイアソン様に出会って間もない頃または出会う少し前ぐらいの姿です……そしてその後私が何をされるか何をするのかも記録として記憶として知ってはいます。何故このような状態で召喚されたかはムーンセルにしかわからないですね」

ふむ、実感が薄いから王女メディアとしての側面が強く出ているわけか

「それじゃこっちが本題です、臙条 巴に何を仕掛けているんですか?」
裏切る気がないなら臙条を操る必要はないと思うが……ウィザードとしての実力はともかく戦う意思に限れば初めて出会ったときはかなりのものだったはずだ

「そうですね、起源というものを知っていますか?」

起源……あらゆる存在が持っている存在としての有り方のようなものだ
人によって起源の影響度は違うが起源が強く表に出ていると精神や肉体そして使用するコードキャスト等にも影響がある

私の場合起源は『退廃』と『永遠』という珍しい2種類の起源だ
恐らく『永遠』の方が表に出ていて私の成長速度が著しく悪くなっている……と思いたい

『剣』なんて起源を持っている人は無限の剣を内包した固有結界を保有していたという


「まぁ、知識だけなら」

「私のマスターの起源は『無価値』です。それもそこそこ強く表に出ています」

「無価値……ですか」

無価値 普通に生きていればそこまで気にする必要はない
ただウィザードとして聖杯戦争に参加するのなら致命的だろう
むしろ1回戦目を勝利したのが奇跡のようなものだ

「ええ、私のマスターは何も成すことができない。それならせめて最後は辛いと思わせずただ楽しい夢を見せようとした、ただそれだけです。」
























佐々野理乃とメディアがマイルームで会話している間に臙条は自身のマイルームで遠坂時臣に対する作戦を考えていた

今は忘れているが彼は自分の起源が大きく表に出ていることを知っていた
知っていて尚この聖杯戦争に挑んだ彼の最後の意地が今も彼に戦う気持ちを残していた
だが今は少し様子が違う


「殺風景な部屋ですねぇ、ベッドと机に椅子しかないじゃないですかもっと機材とか素材とかないんですか?」

同盟相手である天才 佐々野理乃のサーヴァントは当然のごとく椅子を占領しているので臙条は地べたに座っている

「別に、簡単な物なら情報を書き換えて作り出せるし必要最低限の物があればいいんだよ、君のマスターは女性だしここよりは物が多いだろうけどあまり物は置いてないだろう?」

佐々野が居ない場所では意外と軽い口調なのかとバーサーカーは判断して少しイラッとしてランスで串刺しにしようという気になったがぐっとこらえる
始めに遭遇した時は自分の姫に話しかけていることで嫌悪してはいたが雑魚ながら見どころはあると思っていたのだ

「いえ?私とお姫様の部屋は家具や機材で狭いくらいの愛の巣ですけど?」

「そうか…まぁ、そんなこともあるかもな」

「それよりこれからどうするんですか?」

佐々野とメディアの準備ができるまでの待機組だがその間にでもやれることはある
だがアリーナの探索はそもそも他人のサーヴァントを連れ込めるのかわからないしペナルティの可能性もあるのであまりやりたいとは思えない上にこのバーサーカーが協力するとも思えない

「まぁ、外を歩くなら一応護衛はしてあげますよ、あなたは姫としては様々な意味で論外ですがまぁ、従者か馬程度にはしてあげましょう。そしてそれらを守る程度の器は見せますよ」

佐々野がこんなことを言っているバーサーカーを見たら明日は槍どころかミサイルが降ってくるんじゃないかと心配するほどの譲歩を見せてはいるが臙条としてはあまり安心できない

「いや、別にいいよ、それよりそっちから俺に聞きたいことがあるなら今のうちに聞いとくぜ」

「別にあなたのことに対して聞きたいことは……そうですね、では私のマスターである佐々野理乃とはどういう人物ですか?」

人間を遥かに超えた魔力を持つ少女 若干物覚えが悪いというか昔のことになると急に曖昧になる自分のマスターについてあまりバーサーカーは詳しくない

「それは本人に聞いた方が良いと思うけどそうだな、天才だな」

「そんなことはわかっています、もっとこう具体的に何かないですか?」

「そうは言われてもな、どこ生まれとかは知らないがまぁ、人種は見ての通り日本人だな。始めはホムンクルスか半人半妖だとか言われていたが……とにかく急に天才として世間に現れたんだよ、西欧財閥の中でもレベルの高い研究所に所属していてそこで開発されたコードキャストは生活の中やテロリスト制圧にも活躍しているらしい、その時から見た目がまるで変わらないな今は成人してるはずだがそうは見えない」

「うーん、颯爽と現れた天才少女ってわけですか、それじゃあ今はどうしてあのような状態に?」

「詳しくは知らないけど実験で失敗したらしい、一体どんな実験をしたら魔術回路がボロボロになるんだか………結構当時話題になったよ、それ以降は表舞台に出ることもなく数年後の現在ムーンセルに姿を現した」

実験に失敗してから今に至るまでは何をしてたかは知らないと臙条が言うとバーサーカーは一応は満足したようだ

「ふむ、大まかな経歴はつかめました。さてあなたに予定がないなら私に付き合ってもらいましょう」

「別にいいけど一体サーヴァントが何をするんだ?」


臙条の質問に対してバーサーカーはさも当然のようにこう答える

「暇なときにすることなんて1つでしょう?図書室で時間を潰すんですよ」





























そして現在

「そろそろです」

香水を使用すると下りの階段を背にして佐々野は臙条の手を握る

「そういえば俺は何をすればいいんですか?」

マイルームから姿を消していたので図書室で発見された待機組の臙条とバーサーカーは詳しい話を聞いていない
強いて聞いていることならバーサーカーは臙条を守れというシンプルな物だ


「…………」

佐々野はニコリと笑うと臙条の手を自分の方に引っ張っり後ろへ跳躍した

「えっ?」

「キャーッ!!」

悲鳴を上げて階段から落ちていく佐々野を見て臙条はただただポカンとしている

そしてそのまま佐々野は地面に……

「大丈夫ですか?」

地面にぶつからず遠坂時臣に抱きかかえられた
偶然に見えるが間違いなくこのタイミングに飛べば遠坂時臣に受け止められるとコードキャストoperation(future)による予測による結果だ

「キュン………」

わざとらしくときめいて見せると続けて事情を話す

「急にあそこの人に襲われたんです!」
指をさした相手は臙条


「はぁ!?いや、俺は」

「ほぅ、君は確か」

「クソッ!!」
遠坂時臣と目が合うと臙条は慌てて階段を駆け上がって行った
足の速さはかなりのものだ
そっちの方では案外大成できそうだけどな



さてここからは私の仕事だ

3日か4日で仕留めたいところだな


















「くっそ!まさか悪役を回されるとはな」
とにかく慌ててマイルームに逃げ込むことに成功した臙条

「わざわざこんなところまで逃げなくても追跡はないですよ。遠坂時臣のサーヴァントが一瞬睨んだ気配がしただけです」

霊体化を解除して姿を現したのは先ほども一緒にいたバーサーカーだ

「お前付いてきてたのか」

「一応守れって言われましたからね、言ったでしょう従者を守る程度の器は見せると、それより戻って様子見に行きましょうよ」

「わかったよ、慎重にしろよ?暴れだされたら俺では止められないからな」














「いえ、それは神秘の秘匿が終わっている以上……」

「ですがそこを…………」



戻ると遠坂時臣と佐々野理乃が親しい雰囲気で話をしている
会話の内容はレベルが高すぎて臙条とバーサーカーでは理解できないがコードキャスト又は魔術についての話のようだ


「中々うまく行っているみたいだな」
魅了の香水をどう改造したのかは不明だが順調のようで安心する臙条

対してバーサーカーは

「あの男……随分と楽しそうにお姫様と……絶対に許さない」

いつも通りのようだ


 
 

 
後書き
佐々野「攻略するなら遠坂時臣より遠坂凛の方がよかったなぁ」
メディア「そういう好みですか?」
佐々野「いや、そういうわけじゃないんですけどね」


というわけでお久しぶりです!
臙条 巴のサーヴァントはメディア(リリィ)さんでした!
前回更新から随分と長くなってしまいましたね
その間にアニメのクールが変わりましたね
今期もいろいろとみています

メイドラゴンのトールの性格がバーサーカーと被ってて(百合系というところも)うっひゃぁー!ってなりましたね



ちなみに本編で語る予定はないのですが佐々野とメディアで改造した魅了の香水は少しづつ使用者の魅力を相手に植え付けていく という効果に調節されました

そのため誰が使うかによって効果を変える香水

佐々野が使う場合は 女性に対しては通常よりも強い魅了を与えるという効果もあるという裏設定があります

ちなみに起源が表に出ているせいで成長が遅いと言っていますが佐々野は起源はどちらもほとんど表に出てないのであまり関係がないです

では次回予告をメディア(リリィ)さんと佐々野さんお願いします!

佐々野「正直このまま臙条さんとサーヴァント交換したくなってきた」
メディア(リリィ)「次回のfate/EX=zeroは」
佐々野&メディア(リリィ)「「サイコ少女と月旅行です!」」

 
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