真剣で私に恋しなさい!S~それでも世界は回ってる~
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8部分:第六話 口は災いのもと
第六話です
ではどうぞ〜
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第六話 口は災いのもと
悠里side
竜舌蘭からだいぶ経ち、次の春が来た。モモは六年に、俺達は五年生へと進級すると、クラス替えが行われた。キャップ、ワン子、モロは違うクラスだが、ガクトと大和は俺と同じクラスだった。そして、京も。
「げぇ!?椎名も一緒かよ!」
横にいるガクトが悲痛な声を上げる。別に俺にはなんともないが、京をイジメの対象としか見ていない二人にとって、これほどの苦痛はないだろう。
子供というのは残酷で、一度イジメの標的が決まればそれに巻き添えを食わないように無関係を装う。勿論、関係はないだろう。イジメられるのが嫌だから関わりたくないというのは当然だ。それを責めるつもりは毛頭無い。
たが、それが間違いだと気付きながら見て見ぬふりをするなら、話は別だ。
それは加害者だと思う。あくまで自分の意見だけどな。
大和side
五年生に進級して今まで一緒にいたキャップとは別になり、兄さんと一緒のクラスになった。そこでまず、兄さんの1日の行動を観察してみた。俺達と登校し教室に入ると、まず先に椎名に挨拶する。その際に椎名には何人かの女子から嫉妬等の視線が行く。兄さんは去年に髪を切ってから、かなり人気が出た。元から顔と性格は悪くなかったから、たちまち女子の注目の的だった。ただ、上にいる姉さんのおかげで見ているだけに留まっている。その後は暇があれば本を出して読む。偶に椎名に来る連中を律儀に追い払っていたりしていた。何か言われたりするが、兄さんは気にした様子もなく過ごす。それの繰り返しだった。
以前、兄さんにガクトと俺であまり椎名に関わらない方がいい、と警告したことがある。それを面倒臭そうに初めは聞いていた兄さんだが、
「お前達いい加減にしろよ。俺のためだ?自分のための間違いだろ?」
と怒って言ってきた。その時の怒り具合はかなりのもので、俺とガクトは思わず後ずさる程だった。俺はこれ以上関わっていると、確実にイジメに巻き込まれるというのはもうわかっているし、兄さんにそんな目にあって欲しくないという考えから言ったものだったが、兄さんは聞き入れようとしなかった。
そんなこともあったが、今はいつも通りだ。ただ、兄さんにこの関係の話をするとまた怒るので、俺とガクトの間では、兄さんに椎名の話はタブーになった。
この時の俺は、なぜ兄さんがそんなに怒るのか、まだ理解できていなかった。
悠里side
その日、俺は学校から川神院に戻ると、鉄爺にまた薬を貰ってきて欲しいと頼まれ葵紋病院に来ていた。今日は特にファミリーの集まりも無いから行くことにした。丁度、冬馬に話を聞きたかったし。
そんなわけで俺は今、葵紋病院に来ている。いつも通り薬局で処方箋を渡して薬を貰うと、準を見つけ、そのまま冬馬の所に来た。
「悪いな。いきなり時間取らせちゃって」
「いえいえ、悠里君とお話できるのなら、これくらいお安いご用です」
「で、俺達に相談って何よ?」
「実はな……」
俺が話したのは京のことだ。俺が動けばイジメは無くなるだろう。しかし、それは悪魔で一時的なものでしかなく、また再発しないとも限らない。もっと根本的なところを解決しないと意味がないのだ。2人は俺の話を真面目に聞いてくれた。
「なるほどね……。おっかねえ話だな全く」
「かなり前から続いていたようですね。そして最近、更に酷くなったと」
今までは口を聞かないや悪口だけだったが、最近では靴を隠したり、病原菌扱いしたり、机に彫刻刀で文字を刻んだり……典型的なのは鬼ごっこだろうか。呪い(この場合は椎名菌)を相手に移すっていう、「呪い鬼ごっこ」。
この年の子供っていうのは、相手がどうすれば傷つくかわかるとそれを実行する。一番タチが悪いのは、それを本人達は当たり前のようにしていき、段々と度が過ぎたことでも平気でやってくことだ。これが世に言う『集団意識』か。
「悠里君の友人もそれを?」
「1人だけな。もう1人は知らん顔して大衆に身を任せ……だな」
「まあ、誰でも面倒事に首突っ込みたくはないだろうしな……たがまあ、親のせいでねえ……子は親を選べねえってのに」
準の意見はもっともだ。けど、京は京だ。親は関係ない。親がなんであれ、それで個人を評価するいわれはない。
「あとは教師陣ですが……こちらは予想がつきますね。父兄も恐らく同じでしょう」
ウチのクラスの担任の対応としては「まあ、そういうこともあるよな」という、素晴らしい無能っぷりを発揮してくれた。父兄は言わずもがな、そんな親の娘はロクなもんじゃない。という感じだ。
「結論から言えば、悠里君達のグループに入れるのが一番効率はいいでしょうね」
「やっぱりそこに落ち着くか……」
これは俺も考えていたことだ。風間ファミリーはうちの学校内では一、二番の大きなグループだ。このグループには入ることでの影響は大きい。まず、モモがいることでイジメの手から守ることができる。モモの性格上、そういった卑怯なことをやる奴らへの報復が怖くて手を出せない。そうでなくても、大和や俺の精神的な報復もあるので手が出しにくい。
「ですが、問題があるんですよね?」
「ああ、大和とガクトだな」
この二人は特に京をよく思ってない。ガクトはそれを当たり前だと思ってるし、大和はニヒルな考えやプライドが邪魔してそれを認めないだろう。
「まあ、あとはなんとかするか」
「アテがあるのか?」
「一応な。まあ、そろそろ頃合いかと思ったから」
「そうですか。頑張ってくださいね」
「ああ。ありがとうな、2人とも」
「いえいえ」
「気にすんなよ」
俺は2人に礼を言うと、病院を後にした。
それから数日後、俺は秘密基地へと歩いていた。他のみんなは少し遅れるらしい。誰も居ない一本道を歩いていると、秘密基地から1人、走ってくるのが見えた。
「……京?」
その人物は誰でもない椎名京その人。なぜ京が秘密基地から出てくるのか?
「あ、悠里」
「よう、どうかしたのか?」
「ちょっと、直江君と話してた」
「大和と?それは珍しい」
竜舌蘭の一見以来、大和は京のことを少し気にするようになったが、まだ周りの状況を気にして動いていた。まだ自分が省られたりするのが、アイツのポリシーに反するのだろう。
「でも意外だ。あいつと京ってあんまり一緒にいるイメージないから」
「うん……約束があるから」
「約束?」
「うん……」
学校では話しかけるなって
「…………あ?」
それを聞いて初めて俺が感じたのは怒りだ。腹の底から沸き上がる、マグマにも似た熱い怒りが。大和とガクトから警告を聞いた時以上に、俺は怒っていた。
「でも、嬉しかった。直江君と話せて楽しかった」
「……そうか」
今この場に京がいなかったら、俺は大和を殴り飛ばしていたと思う。京の笑顔を見てるから、まだ冷静でいられる。
「また明日ね」
「うん、また明日」
京と別れた俺は秘密基地へ向かった。中には大和が先に来ていた。
「あ、兄さん」
「ああ。……他は遅くなるんだろ?」
「そうらしいな」
いつも通りの会話、言葉が少ないと思うだろうが、俺と大和の間では普通だ。
「そういえば、京が来てたみたいだけど?」
「……少し話した。なあ兄さん、ちょっと頼みがあるんだ」
「……なんだ?」
「……椎名をさ、助けてやれないか?」
……今、なんて言った?
「あいつ、悪い奴じゃないし、それに兄さんの方が椎名と仲いいし……」
「……ふざけんな」
「え……?」
押し殺すような声を出して悠里は大和を睨みつける。それを見た大和は戦慄が走った。以前の時よりも何倍も大きく悠里の怒りが感じられたからだ。
「今まで散々無視して、俺には関係無いとかほざいてたのはどこのどいつだ?しかもお前言ったよな?『なにこっち見てんだ?』って。お前とガクトは大衆意見に合わせて京を無視してる。それに聞いたぞ?お前、京に学校では話しかけるなって言ったそうだな?」
「それは……」
「そんな奴がどのツラ下げてんなこと言ってやがる。ふざけんのも大概にしやがれ」
「わかってるさ!でもそうしないと、俺だって巻き込まれるだろ!?」
「ッ!?」
この言葉で俺の中にあったものが爆発した。今まで抑え込んでた物が、全部。
「ふざけんじゃねぇぞ、テメェェェ!!!!」
怒りのまま俺は大和を殴り飛ばした。勢いよく吹っ飛んだ大和は秘密基地から飛び出して、道に叩きつけられた。そこへ悠里は襟首を掴み、大和を無理やり起こす。
「結局お前は!自分の手は汚す覚悟もない癖に!自分だけ安全圏で見てるだけの臆病者だろうが!!そんな奴が!!京の気持ちも知りもしない奴が!!好き勝手ほざくんじゃねぇ!!!」
「……っ!?」
「苛められる方も悪い?ふざけんな!!テメェはそれで自分を正当化して、イジメられたくないからって京を放置した加害者だろうが!!」
「やめろ悠里!!」
尚も殴ろうとする悠里を、百代が腕を取り押さえて無理矢理はなす。しかし、まだ抵抗する悠里を百代は必死に押さえ込む。こんなに怒った悠里を百代も見たことがなかった。
「離せモモ!こいつは———!」
「悠里!!!」
思わず百代は大声で叫ぶと、その声に反応したのか抵抗が止まる。
ようやく落ち着くと、悠里は百代から離れた。百代以外のメンバーも、悠里の豹変に驚いていた。
「兄さ「呼ぶな!!!」…!?」
大和が悠里を呼ぼうとすると、悠里は大和を睨み付けて吼えた。その目は誰が見ても怒っており、ワン子は今にも泣き出しそうだった。
「もうお前は舎弟でもなんでもない……二度とそれで呼ぶんじゃねぇ……!」
それだけ言い残すと、悠里は秘密基地を出た。後ろで百代が呼んでいたような気がしたが、今の悠里にそれを聞く余裕はなかった。
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アイマス2が面白すぎるwww
千早が可愛すぎます。あと美希も
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