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真剣で私に恋しなさい!S~それでも世界は回ってる~

作者:navi
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43部分:第三十九話 納豆小町、燕参上 !


第三十九話です
ではどうぞ〜

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第三十九話 納豆小町、燕参上 !


突然の燕ちゃんの登場に、さっきまでの眠気は吹き飛んでしまっていた。


「なんでここにいるのか、って顔してるね」

「……そりゃそうでしょ」

「フフフ……いいねぇ。悠里くんの驚く顔が見れて」


そうは言っても、俺の顔を見ても楽しいことなんて無いと思うけどな……


「んぁ〜っ!それにしてもいいねぇここは。涼しい風が吹いていてさ」

「そうだね。俺も頻繁に来るよ」

「丁度いいサボりスポットをみつけたよ」

「とかいいつつ、実は勤勉な燕ちゃんであった」

「あ、バレた?」


自由で楽しいことが好きな燕ちゃんだが、勉強とかはしっかりとやる優等生の一面を持っている。だからこそ、納豆小町としての活動と勉学と武道のを完璧にこなせるのだろう。
モモとは別の意味で天才だな。


「なんだ……?って誰!?」


俺と燕ちゃんとの会話で大和が目を覚ましたようだ。
しかも大和は俺と同じく体を寝かせているから、燕ちゃんのスカートが気になってるようだ。


「期待しても、パンツは見えないと思うよ。ゴメンね」

「なな何をおっしゃいますか、そんな事は思っていません」


……いや大和、わかりやすすぎだろ。そんなに動揺してちゃ気になってるみたいだろ。


「それじゃあ悠里くんまたねん。屋上クリアー!引き続きたんさーく!」


燕ちゃんは給水タンクから飛び降りると、屋上から消え去った。そしていつの間にやら、俺の胸の上には松永納豆の支給品が。
そこへ強い風が吹いた。


「ちょっと吹くの遅いんじゃねーのか!?」

「……(;¬_¬)ジー」

「はっ!?やめて!俺をそんな風に見ないで兄さん!?」

「……お前、ムッツリだったんだな」

グサリッ!

「おぉう!?」


感想を言うと大和の心は深く抉られたようだった。
俺は胸に乗った松永納豆を手に取ると、これからのことを考えていた。





放課後、帰るまで時間があるので廊下を彷徨っていると、空き教室が目に付いたので中に入ると、弁慶とヒゲ先生が将棋をしていた。弁慶の横にはいつもの川神水と肴だろうか、ちくわが置かれていた。


「直江の次は天城か。暇だなお前達」

「どうも悠里」

「どーも。……ヒゲ先生はまた負けてんのか」


2人に近づいて戦況を見ると、弁慶が優勢だった。弁慶って体育会系だと思ったが、あっちはあっちこっちはこっちって事だろうな、きっと。
ちなみに弁慶が名前で呼んでいるのは、今朝の引ったくり掴まえてから。


「オジサンの姑息戦法が全く通じねぇんだよ」

「打ち方ショボいだけだろ、それ。ある程度予測できればそんなの無意味」

「悠里の言う通り。……飲むかい?」


弁慶から杯を渡されて、川神水を注がれ、俺はそれを豪快に飲み干す。


「フゥ〜。ご馳走さん」

「飲み方も豪快だね。流石は大和の兄貴分」

「もう知ってたんだな」

「大和に聞いたからね。もういっちょいく?」

「頂きます」

「2人とも仲良さそうだねぇ〜。微笑ましいねぇ」

「ぐわっ!またかよ!?」

「ちなみに、ここからこう続けると面白い」


俺は順番に駒を動かしていく。


「……!なるほど」


弁慶は何か気付いたようだった。ニヤリと笑うと、俺はそのまま駒を動かす。


「ん……?別に変な所はねぇが……」

「よく見てごらんよ、先生」


ヒゲ先生は視点を変えて将棋盤を上から見ると……


「ん〜……?……あ!?」


上から見ると、駒の配置が『ヒゲ』と見えるようになっていた。


「なかなか芸が細かいね」

「昔によく、鉄爺の相手させられたからな」


それから少し、俺は弁慶と話しながら川神水を飲んで、親睦を深めた。
その後は川神院へ戻って、いつも通り修行をする。その夜、大和から連絡が入って明後日の金曜日に義経達の歓迎会をするそうだ。その際の準備関係を頼まれた、金曜まで忙しくなりそうだ。





6月11日(木)


百代side

「さて、今日はいきなり転入生を紹介するよ」


3-F、朝のHRでは担任のゲイツの一言にクラス内はざわついていた。どうやらクローンではなく普通の人間らしいが。


「どーせムサイ男とかそういうオチだ。ソースは私の勘」

「なるほど充分ありえるで候」

「いいんだ。私には清楚ちゃんがいるもーん」

「モモヨ。直感は頼りになるが、決めつけるのは駄目だぞ」

「またなにかありがたい事を言われた気がする」

「それでは転入生、軽やかにどうぞ!」


ゲイツの紹介を受けて、燕が教室に入ると、クラス内は歓喜に沸いた。


「まさかの超美少女きっ、きたぁあああああ!!」

「はじめましてーっ」

「可憐だっ…!やったな皆の衆っ…ついに我等3-Fは、美少女を手に入れたっ!悲願達成っ!大願成就っ!」

「おいおい。美少女は私やユミがいるだろチミ」

「ひいっ、川神さんはそれよりも恐怖がまさって…」

「失礼な。まぁそんな事より、目の前にいる一輪の花だ。私は川神百代!よろしくな。友達からはじめよう」

「武神だね。彼からよく話は聞いてるよ」

「ん?(彼?)」

「私は燕。松永燕。よろしくね百代ちゃん」


2人は握手を交わす。その瞬間、百代から笑顔が消えた。


(強い…それを今まで感じさせないとは…こいつ…)

「松永…と言ったな…あの松永か?」

「うん。一応武士娘として、決闘とかもしてるよ」

「悠里がよく言っていたからな。松永の武士娘が強いと」

「ありゃりゃ……悠里くんがそんなこと言ってたんだ。嬉しいねぇ」

「何故川神に?」

「おとんの仕事の都合。これが関東へ来た理由。川神学園を選んだ理由は、賑やかで楽しそうだから…そしたらいきなり源義経だよ。いいよねぇ、破天荒で」

「なるほど、分かりやすいな燕。では、川神の流儀でお前を歓迎してやろう。決闘だ」


百代の言葉に3-Fのクラス内はざわめきに包まれた。





悠里side

今日もいつも通りHRで朝が終わると思っていると、校庭に気を感じたので見てみた。そこには校庭の中心で戦う2人の生徒が見えた。1人はモモ、そしてもう1人は燕ちゃんだった。燕ちゃんは近くにあるヌンチャクを拾うと、モモに攻撃し始めた。


「なんだあれ……姉さんとやりあってる人がいるぞ」

「そして勝負になってる。これは珍しい」

「3-Fの転入生か。彼女の名は松永燕。字は体を表すとはこのことだな」

「松永…聞いたことあるわ…転校してきたのね!」

「義経達といいこの人といい、レベル高いなぁ」

「あれ…?なにかしら、他にどこかで聞き覚えが……」


ワン子がなにやら言っているが、燕ちゃんは今度は薙刀に武器を変えて攻め始めた。


「器用だな。あの分ならレイピアも使えそうだ」

「でもあの分ならワン子の方が扱い巧いよね」

「専門職でもないのに、あれだけ動けるのはそれだけでも凄いけどねぇ……」


そう。燕ちゃんの強みは様々な武器を扱える器用さ、そして自身のスピードを生かした戦闘法だ。それを今回の戦いでフルに発揮している様に見えるが……


(燕ちゃんは本来、モモと互角に戦えるクラスの武人だ。なのに、今の戦い方はどう見ても相手を分析してるようにしか……)


ん……?まてよ…モモを分析してるのか……?
いや、それなら納得がいく。燕ちゃんは相手をしっかりと研究、分析してから必勝法を考え戦う。
ならば武器に対する得意不得意を探っているということになる。
そんな感じに色々考えていると、始業のチャイムがなってしまい、2人の対決は終了した。2人には大きな拍手が送られた。
すると燕ちゃんはマイクを持って前にでた。


「皆さん、暖かいご声援、ありがとうございますっ。京都から来た、松永燕ですっ!これからよろしくっ!何故私が、川神さん相手に粘れたかといいますと!!」


燕ちゃんカップ型の松永納豆(試供品)を取り出す。


「バーン!秘訣はこれです松永納豆ッッッ!!!もちろんこれ食べれば強くなれるわけではありません。しかーし!ここぞという時に粘りが出ます!皆さんも、栄養満点の納豆を食べて、エンジョイ青春!試食したい人は、私がもっていまーーす!!皆さんも一日一食、納豆、トウッ!!以上、松永燕でした!ご静聴感謝します!」


スピーチを終えると学校内から喝采が巻き起こった。
流石は納豆古町……。宣伝は命なのね、揺るがない……燕ちゃんパネェ……。
その最中で、俺はこっそりと燕ちゃんにメールを送った。内容はさっきの試合について。
クラス内では燕ちゃんの話題で持ちきりだ。というかモロがポスター持ってることに驚きだが……


「あぁーー!思い出したわ!」

「どうしたワン子?」

「何を思い出したんだ?犬」

「松永って、悠里が毎年修行に行く京都の武道家じゃない!!」


ワン子の言葉の後、クラス内は一瞬の静寂に包まれる。そして……


『なんだってぇぇぇぇぇ!!??』


クラス内(主に男子)の叫びがこだました。……うるせぇ。


「おい悠里!お前なんであんな可愛い先輩を俺様に紹介しないんだよ!?」

「ポスター見てハァハァするような奴を誰が紹介するか。大体、修行に行くんだぞ?」

「まぁ、兄さんに限ってそっちに走ることはないよな」

「単に気づいてないだけかもねぇ……」

「祭りくらいには行くけどな」

「なにぃぃぃ!?」

「それって松永先輩の浴衣見れんのか!?」

「まぁ……見たな。何度か」

『ノォォォォォ!!!』


何故か悲痛な叫びを上げるガクトやヨンパチ達。…わけわからん。


「ゴゴゴ……」

「京?なんでそんな迫ってくるの?目が真剣で恐いんだけど!?」

「悠里への嫉妬の炎で私の心は燃え上がっているんだっ!!」


そう言って抱きついてきそうになる京を寸前で止める。危ない危ない。その後、ガクトが紹介してくれとしつこいので、メテオドライヴ(FFⅦの必殺技。俗にいうバックドロップ)で沈めた。





燕side

教室に移動中、悠里くんからメールが入ってることに気付いた。中身を開いて見てみると、


『お疲れ様
いい勝負だった
モモの分析はうまくいった?』


……流石は悠里くん、私の狙いは読まれてたか。侮れないな〜。
更に続きがあるみたいで、画面をスクロールすると、


『ようこそ川神へ』


という文字があった。
それを見て私はクスッと笑みを零した。


「何を見てるんだ燕?……って、悠里からのメールか」

「そうだよん。律儀だよね〜。わざわざ送ってきてくれるなんて」

「それがアイツのいいところだからな。幼なじみの私としても鼻が高い。……ただ、なぁ」

「どうかしたの?」

「あいつ……そういうのサラッと言うから、知らぬ間にフラグ作ってるんじゃないかと不安なんだよ…」

「あはは…ちょっとわかるかな〜それ……」


5年前の事といい、悠里くんはそういうセリフ普通に言うし悪意とか全然無いからね……私も何度照れたことか……


「まあいい、教室に戻るか」


それと今回の事で確信したけど、やっぱり百代ちゃんは悠里くんが好きなんだ。さっきの話の時の目が普段とは違ったのがわかる。けど、それなら私も負けてはいられない!私も悠里くんが好きだし、なによりこれで同じフィールドで戦えるんだから!
そう心に言い聞かせて私は教室に戻った。

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次で四十話ですね……
いやぁ、早いものだ……
さて、シェルノサージュが来週発売ですね!早くイオンちゃんをトントンしたい……
あ…あとP4Uやってきました。使い手は番長とエリザベスです。
キタローとハム子の参戦も期待したいけどムリですよね……
意見と感想お待ちしてます。
 
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