真剣で私に恋しなさい!S~それでも世界は回ってる~
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27部分:第二十三話 視野の狭さは世界を狭める
第二十三話です
ではどうぞ〜
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第二十三話 視野の狭さは世界を狭める
2009年5月1日(金)
朝に登校する際、大和がクリスとまゆっちに何かを渡していた。恐らく避難用のセットだろう。まゆっちは初めて他人から貰った物に感動していた。
それから時間は過ぎて今は休み時間。
「おい、悠里」
話しかけてきたのは同じクラスの源忠勝、愛称ゲンさん。島津寮に住んでいて、ワン子の幼少時代からの友人。
今はヒゲ先生の下『宇佐美代行センター』で働いている。ちなみに俺も一時期そこで働いていて、今でも偶にヘルプとして呼ばれる。
「なんだ?」
「お前らに忠告しておこうと思ってな」
「忠告?」
「最近、親不孝通りで変な薬が出回ってる。まだ表に出てきてねぇけど、かなり拙いモノらしいからな」
ゲンさんは声を低くして言う。確かに大和か俺じゃないとこの話はマズいな。モモやキャップ、ガクトは喜んで行くだろうし、クリスは正義感がまた働いて余計なことをしかねない。
「しかも昨日、島津の奴がウロウロしていやがってな。それっぽい噂は徐々に流れ始めてる」
「だから俺に注意を促せ、そういうこと?」
「ああ、お前が適任だろうが。ファミリーの兄貴分だろ?」
ゲンさんは意地悪そうな笑みを浮かべて俺を見た。……絶対楽しんでるよな。
「わかった、伝えておく」
「頼むぜ。俺の仕事を増やしてくれるなよ」
そう言ってゲンさんは席へと戻っていく。口ではああ言ってるが、クラスメートを巻き込みたくないのだろう。ツンデレだしな。
「今なんか変なこと考えなかったか?」
「いや別に?」
「ならいい。あと、直江のアホをしっかり見とけよ。うるさくてかなわねぇよ」
ゲンさんは再び席へと戻っていく。そういえば大和が懐いてるって言ってたな。そんな事を思い出しながらその時間は過ぎていった。これについては大和と相談だな。
更に時間は経って昼休み。昼食を食べるために食堂に向かって歩いていると、
「おお、こんなところで会うとは奇遇だな、悠里よ!」
英雄に会った。いつも通り、隣にはあずみが付いている。どうやら食堂に向かうらしい。
「英雄が食堂って珍しいな」
「ふむ。偶には庶民の生活の場も体験しようと思ってな」
「なら案内しようか?丁度行くところだったし」
「そうか!ならばよろしく頼むぞ!」
俺は3人で食堂へ向かって、それぞれ食券を買う。俺は先日の依頼で受けた上食券でカレーとサラダ、スープのセットを購入。サイドで納豆をチョイスしておく。
「……で、なにか話があったんじゃないのか?」
「うむ。実は最近、堀の外の方ではガラの悪い連中が暴れているそうだ」
「『板垣三姉妹』の名前を聞いたら、近付かないようにしてくださいね☆」
「ふ〜ん……わかった。気をつけるよ」
俺は追加した納豆を手に取ると、醤油をかけてかき混ぜて、カレーに投下した。あずみさんが「げ!?」という顔をするが気にせずに納豆を混ぜる。……うん、やっぱり旨いな。
「悠里、カレーと納豆は合うのか?」
「ん?なかなか旨いぞ。食べるか?」
「……!納豆の粘りとカレーのとろみが上手く合わさっている……!まさか、納豆にこの様な使い方があったとは!」
「なんでも先入観で判断してはいけないぜ」
これでまた一つ、英雄は世の中の知られざる仕組みを知った。昼食を食べた後、俺は食器を片付ける。
「おいコラ天城、テメェ英雄様に変なこと教えてんじゃねぇよ」
「別に変なことじゃないだろ?俺が食いたかったから選んだんだから」
「チッ、ホントにあいつの息子だな。食えねぇ奴だ」
英雄の前では絶対に見せないこの姿こそ、『女王蜂』忍足あずみの本当の姿だ。今までのデレデレはいわゆる『メイドモード』で、こっちが『通常モード』。ちなみに父さんと傭兵時代に戦っていて、結果は惨敗だったらしく、その時のは嫌な思い出らしい。
「そういえばさ、さっきの板垣三姉妹ってそんなにヤバいの?」
「テメェはそうでもないけどな。なんでも最近、武芸者の教えを受けたらしいから一般人にとっては十分脅威だろ」
「なるほどね……確かに他には脅威だな」
「ま、テメェが苦戦するやつなんて、今はヒュームの爺しかいねえがな」
「あずみ!そろそろ教室に戻るぞ!」
「了解しました!英雄さまぁぁぁぁぁ!!!」
一瞬にして人格を変える。流石は風魔の末裔か。
英雄とあずみさんは食堂を後にしていくと俺も食堂を後にした。
その日の放課後、ファミリーのみんなは秘密基地へ集合していた。金曜日の今日は『金曜集会』がある。金曜集会は元々、京が転校してしまう中学の時に決まったものだ。休みの土日に京が戻って遊べる為、その前日になる金曜日にみんなで集まろう、というのがこの金曜集会の主旨だ。
屋上にはガクトとまゆっちの気配があった。多分、ガクトが案内して屋上の景色を見てるんだろ。
中に入るとキャップ以外のメンバーは集まっている。
「で、この棚には囲碁とか将棋とかのボードゲームが置いてあるんだよ」
「凄いな。なんでも置いてあるんだな、ここは」
モロの説明を聞いて、廃ビルの一室とは思えない程に並んでる棚を見て感心したように呟いている。頼むからまた変な事を言わないことを祈る。
「みんなで持ち寄ったからな。クリもなんか持ち込め。あと、ボップコーンだけはたんまりと常備されているからな」
「今ならボップコーンを製造する過程を大サービスでみせてあげるよ」
「なるほど。クッキーが製造しているのか。……だが、今はいい」
クッキーの申し出を丁寧に断ると、今度は違う本棚を見る。
……そういえば、さっきからクリスの視線に何か違和感を感じるな。なんかこう、品定めをするサラリーマンみたいな……
「……ここは漫画の本棚か」
「みんながそれぞれオススメを持ってきたから、面白いものばっかりだよ。持ち出しも自由だから」
モロは楽しそうに説明する。自分が好きなジャンルだからやはり楽しいのだろう。
「ジョーとかエースとか読んだ事ある?激アツよ」
「スポ根系はたいてい、ワン子のだな」
「電気系統はクッキーのコンセントにつなぎな。こんな感じで、ほら。電力源だからよ」
「ははっ…やだっ…あ、突然はマナー違反だ」
突然ガクトが触るからクッキーはくすぐったそうな声を上げた。なんともまあ、感受性のいいロボットだな。
「携帯ゲームソフトとかも置いてあるんだ」
「これは僕こだわりのソフトだから面白さは保証付き。ネタソフトも押さえてあるよ」
「アタシも狩りゲームぐらいは出来るわ」
ファミリー内でもかなりのゲーマーなモロもかなり生き生きと説明する。殆ど戦闘とかでは役に立てない事を日々気にするモロにとっては、ゲームはみんなより上に立てるから特に嬉しそうだ。
「うーん」
説明を終えたクリスは、その場で顎に手を添えて考える。
……なんだろうな、凄く嫌な予感がする。少なくとも今この場で、クリスが変なことを言わなけれは万事解決だ。流石におかしな事を言うわけがないとは思うが——
「……で?」
「え」
「この場所は、どういう意味があるんだ?」
クリスの場の読めない一言にまゆっち意外のファミリーは凍りついた。
……前言撤回、コイツは予想以上の大馬鹿娘だ。
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今日のモノマネ紅白でゴールデンポンバーを初めて見ました。
ダンスすげぇ……
あとダチョウ倶楽部が面白かった
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