夏のお留守番
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第七章
「健ちゃんは」
「俺の家こんな漫画ないぞ」
「そうなの」
「何でこんな漫画読んで普通なんだよ」
「下着とか胸とかキス位で騒ぐなんて」
「騒ぐだろ」
「そういえば健ちゃんって男兄弟よね」
沙織は健太郎のこのことを言った。
「うちもお兄ちゃんだけれど」
「ああ、俺三人兄弟の真ん中だよ」
「おばさんいるけれどね」
健太郎の母のことだ。
「そうよね、じゃあそうしたことに免疫ないわね」
「というか随分余裕だね」
「だからキスとか下着位。女の子の間じゃ普通だから」
「それ本当か?」
「そうよ、お互い見てるじゃない」
「ああ、下着はな」
「ほっぺたにキスする位もね」
キスの方もというのだ。
「女の子同士だと」
「幾ら何でもそれは」
「いやいや、私達の間じゃほっぺたとか額とかは」
「そうなんだな」
「口同士はないけれど」
「それはな」
健太郎もその話には頷いた。
「幾ら何でもな」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「健ちゃんも興味あるのね」
沙織は健太郎に目をやって彼に問うた。
「そうなのね」
「まあそれはな」
「成程ね」
「そりゃ興味ない筈ないだろ」
「男の子もなのね」
「というか興味ない筈ないだろ、幾ら小学生でもな」
それでもとだ、健太郎は沙織に言い返した。
「あるさ」
「そうなのね」
「そうだよ、ただな」
「ただ?」
「俺そういうことはしてないからな」
「それ言葉にも出てるから」
健太郎自身のそれにとだ、沙織はあっさりと言い返しに言い返しで応えた。
「もうね」
「そうだよな」
「そういうの経験まだなのね」
「悪いか?」
「別に、そんなこと言ってないから」
「言っとくが御前にはしないからな」
健太郎はこのことは断った。
「絶対にな」
「そこで強調する?」
「従兄妹同士でそれはないだろ」
「まあね、私も健ちゃんだとね」
「そうだろ、そういうものじゃないだろ」
従兄妹同士はというのだ。
「本当に」
「私的には格好いい軍人さんみたいな人がね」
「じゃあ自衛隊行けよ」
「そうね」
「俺は金髪の外人さんだよ」
「健ちゃんそういう好みだったのね」
「悪いか?」
健太郎は半ば居直って沙織に言い返した。
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