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永遠の数字十五

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第四章

「私の生きがいがなくなるじゃない」
「やっぱり一緒じゃない」
「何度も言うけれどね」
「阪神とカープの違いはあっても」
「やっぱり兄妹」
「永久欠番にもこだわるしね」
「験担ぎもすごいし」
「そうかしらね、けれど今年も期待してるのよ」
 いささか負け惜しみめいての言葉だった。
「カープにはね」
「まあそれはいいけれどね」
「私達は阪神ファンだけれどね」
「あんたのお兄さん程じゃないけれど」
「そっちだけれどね」
 応援している球団が違うがというのだ。
「カープは今年も頑張って欲しいわね」
「嫌いじゃないしね」
「あの必死に頑張ってるのがいいのよね」
「あの感じがね」
「そう、努力あるのみよ」
 千佳は右手の人差し指をびしっと前に出して言い切った。
「人間はそこにこそ道があるのよ」
「それはそうね」
「人間努力しないとね」
「やっぱりよくならないわね」
「チームだってね」
「巨人みたいにしたらよ」
 全人類におぞましい害毒を撒き散らす東京を拠点とする邪悪の権化たるこのチームについてはだ、千佳は嫌な顔で話した。
「結局は駄目なのよ」
「お金を幾ら使ってもね」
「若手育たないからね」
「というかあそこのドラフトって下だと見られないんでしょ」
「もう最初から」
「それじゃあお金なくなったら終わりよ」
 千佳の主張は断固たるものがあった。
「実際最近補強で大してお金使ってない感じでしょ」
「そういえばそうよね」
「最近お金の使い方大人しいわね」
「妙にね」
「そうなってきたわね」
「お金なくなったんじゃないの?」
 千佳はこう推察した。
「昔はもっと、馬鹿みたいに使ってたでしょ」
「何処にそんなにあるのって位にね」
「私達から見てもね」
「よくそんなにあるわねってね」
「そんな風だったわね」
「何か今年は使ったけれど」 
 それでもという口調だった。
「前と比べたらよね」
「そうよね、昔はもっとだったらしいわね」
「お父さんとかお母さんが言ってたわよ、昔の巨人はあんなものじゃなかったって」
「そうそう、お金湯水みたいに使ってたってね」
「それで有名だったわね」
「広島なんて地味なものよ」
 それこそというのだ。
「お金なんてないから」
「それで有名よね」
「赤は赤でもね」
 その赤はというと。
「その方面は赤貧だったから」
「カープはね」
「とにかくお金ないわよね」
「十二球団で一番?」
「そんな意見もあるわよね」
「実際そうでしょうね」
 資金力では十二球団で一番分が悪いかもとだ、千佳も否定しなかった。というよりかは嘘を言わない性分なので素直に言ったのだ。
「カープお金ないわよ、けれどよ」
「そこを努力で補う」
「補強をしなくてもなのね」
「努力でやっていく」
「そうしているのね」
「そうよ、そして今年も連覇だから」 
 目を燃え上がらせ右手を拳にして顔のところにやって言った。 
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