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ソードアート・オンライン 結城家の次男は両手剣使いで恋人は黒の剣士

作者:改造人間
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絆の始まり

 
前書き
感想待ってまーーーーーーーーす!!!!!!!!!!!


お願いしまーーーーーーーーーす!!!!!!!!!!! 

 
キリトside

(どうしてこんなことに・・・・・・)

私は今大量のリトルペネントに囲まれながらも戦っていた。

数時間前にラグナと別れてから30分後に《コペル》というプレイヤーから一緒に《森の秘薬》クエストをやろうと言われ、断る理由もないため承諾した。

30分で150匹以上も狩ったのに、まだ花付きが出ないと思っていた矢先だった。

花付きが1体出たのだ。

ただし、実付きのリトルネペントも一緒に。
実付きの実を割ってしまうとたちまちリトルペネントが集まってきて、囲まれてしまうのだ。
コペルが実付きの担当、私が花付きを速攻で倒すことにした。
だけど、私が花付きを倒してコペルのところに行った瞬間ーーーーー

コペルは実を爆発させた。

「え・・・・?」

何で?何で実を爆発させたの?

しかし、考える間もなく、リトルペネントの大群が押し寄せて来た。

カラー・カーソルを確認したけど表示されていなかった。どうやらコペルは隠蔽スキルで逃げようとしたのだろう。
分かった。コペルが何をしたのかをコペルは自殺を選んだのではなく、コペルは私に《MPK》(モンスター・プレイヤー・キル)を行ったんだ。
そうと分かれば、さっきの行動にも理解できる。

だけど、隠蔽スキルは万能じゃない。あのスキルは視覚がないリトルペネントには効果がない。


コペルは別の藪でリトルネペントと戦い始める。

あれから三十分。
コペルはまだ死なずにリトルネペントと奮戦していた。それは私も同じだが、お互い限界が近いだろう。

ラグナはもうホルンカに帰ってしまっただろうか。
私も武器も限界が近い。
そして次にリトルネペント倒した時、その後ろから新たなリトルネペントが迫ってきて攻撃態勢にあった、これは避けられない。

そう悟ったとき。
目の前には攻撃態勢のリトルネペント。周りには大量のリトルネペント。

待つのはーーーーーーーーーーー死。

「ああぁぁぁぁぁぁぁっ!」


そんな時、私の脳裏から人の顔が駆け巡った。
妹の顔。母の顔。この世界で出会ったクラインの顔。

そしてラグナの笑顔。

え、なんで?なんで最後にラグナの顔じゃなくて笑顔が浮かぶの、もしかして望んでるのラグナが助けに来てくれることを。
・・・・・言ってみようかな。

「助けてラグナ!?」


叫んでも来ない、そんなこと分かっていた望んだって無駄なことを。所詮現実は残酷。人は自分さえ生き残れば言いと思う生き物。この世界でも私は誰にも助けて貰えない、あの世界でも私を助けてくれた人は誰もいない。

「結局は私に、助けなんてありはしないんだ」

そう小さく呟いて、私は目を瞑りスモールソードを力なく下げてリトルネペントに殺されるのを受け入れようとした、その時である。

「キリトに手えぇ出すな!」と聞き覚えのある声が耳に入った。


目を開けてみると私は驚いた。それはリトルネペントが蹴られ、代わりにそこにいたのはーーーーーー

「そんな悲しいこと言うなよキリト・・・・じゃあ俺がここにいるのは、助けじゃないってことなのか?」

息を切らしながら私の前で不適な笑みを称えている、ラグナの姿だった。

side out




「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

俺は息が切れ切れでもキリトを助けるために走り続けていた。

『シュウウウウウ!?』

すると、前方からリトルネペントの奇声が聞こえ、俺はまだキリトが生きてることに喜びを見せそうになったが、前方にいたのはキリトではなく、年頃は俺とタメだと思う男がリトルネペントと戦っていた。

体格は俺より細いが背は俺より少し高かった。



「うわぁぁぁぁあ!?」

男は1体のリトルネペントを葬ったが、3体のリトルネペントに対処できず、リトルネペント殺されそうになり悲鳴を上げた。

俺はそれを見逃すことはできず、無茶だが走りながらソードスキルの態勢に入り、3体のリトルネペントに向かって突進系のソードスキル。ヴォーパル・ストライクをぶち咬ます。


レイジ・スパイクで運良く最後のリトルネペントまで届き、3体を一気にポリゴン片に変えられた。

「あ、あ・・・・・あぁぁ」

男は尻餅をついて、3体のリトルネペントを葬った俺を見ていた。そんな男に、俺は大声を出す。

「おい!まだ戦えるんだったら、とっとと起き上がれ!!」

「! は、はい!?」

男はすぐに立ち上がり、片手剣をしっかりと握った。

男の装備は俺とキリトと同じスモールソードと腕には盾のバックラーを装備していた。

俺は迫りくるリトルネペントを、この男と倒しながら周りを見回す、だがキリトの姿はどこにも見当たらなかった。

まさかやられたのか!?

そんな考えが頭に出てきてしまったが、その考えは消えてくれた。
何故ならその少し先から、キリトの助けを求める声が聞こえたからだ。

「助けてラグナ!?」

キリトの助けを求める声を聞いた瞬間、俺の体は勝手に動き出した。


走りながら俺は男に顔を振り向かせ、大声で言った。

「おいお前!リトルネペントを何とかしとけ!死ぬんじゃねえぞ!」

「は、はい!?」

男は俺の大声に驚きながらも、情けない声だが返答した。


キリトの助けを呼ぶ声が聞こえた方向を走っていると、キリトの姿が確認できたが、キリトは絶望したような顔でリトルネペントとの戦闘を止めて武器を下ろしていた。

その姿に俺は焦りまくり、無我夢中でキリトを助けることを目指す。先ずはキリトを殺そうとしているリトルネペントに走りながら飛び蹴りの態勢に入る。

飛び蹴りの態勢に入ると、キリトの小さな呟きが耳に入った。

「結局は私に、助けなんてありはしないんだ」

その言葉を聞いた俺は歯を食い縛り、リトルネペントに強烈な飛び蹴りを咬ました。

「キリトに・・・・手えぇ出すな!」

蹴られたことにより、リトルネペントの攻撃はキリトから逸れた。俺は安堵しキリトに顔を向けてみると俺のデカい声に驚いたのか、それとも俺が助けに来たことに驚いたのか、キリトは涙を流しそうな顔で俺を見ていた。

キリトの瞳に涙が出ないように、俺は不適な笑みを見せてこう言った。

「そんな悲しいこと言うなよキリト・・・・じゃあ俺がここにいるのは、助けじゃないってことなのか?」

「ラ、ラグナ!?」

「悪いな遅くなって・・・・でも良かったぜ。お前を死なせずにすんだんだからな」

キリトは涙が出そうな瞳をぐじぐじと擦り、俺の名を呼んだ。

キリトを何とか救えたのは良い、だがまだ周りには10体以上のリトルネペントがいた。リトルネペントの数を見た俺は、持っているスモールソードを強く握り締めリトルネペントを睨み付け口を開く。

「そんなことよりキリト・・・・・俺はこの状況を切り抜けたい。一緒に戦ってくれるか?」

そう言うとキリトはハッとしたように、スモールソードを持って起き上がる。

「うん!私はまだ、戦える!」

そう返して、俺の背中を守るようにスモールソードを構えるも「・・・・でも」と口にして続けて言った。


「ラグナ。その代わり私の背中は守ってね♪」

小悪魔のような皮肉が入るも可愛らしい笑顔で、キリトは言ってきた。この言い方に俺は「ハハッ」と笑い強く言い放つ。

「任せろ!背中どころかお前自身を守ってやるよ!」

「だからキリトも・・・・・俺の背中はちゃんと守ってくれよ!」

「もちろん!」

俺の言葉に何故かキリトは少し頬を赤く染めると、すぐに真剣な表情になるも笑顔を見せ頷いた。

こんな話し合いにリトルネペントはよく待ってくれたな。案外AIも空気を詠んでたりして。

(・・・・・・・・・・・なんてな)

「行くぜぇ!」

ふとそんな事を考えてしまうが、すぐに思考を切り替え俺は気合いの言葉を叫んで突撃する。キリトも戦闘再開の合図と取り俺と同時に動き出した。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!」

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

「だあぁぁぁっ!」

「えいっ!」

初撃からいきなりソードスキルを放ちリトルネペントを倒して、俺達はリトルネペントと戦闘を再開する。
何とかリトルネペントから背後から襲われることはなく、俺達はお互いの背中を守りきることができた。

キリトの方のリトルネペントは全て葬られ、残るは俺の目の前にいるリトルネペント1体。運が良いことにそいつは胚種を出す《花つき》だった。

リトルネペントの攻撃をギリギリで交わして、左手に持っているスモールソードで、ソードスキル《バーチカル》を放つ。

『シュアアアア!?』

リトルネペントは奇声を上げて消え去ったが、俺より先にリトルネペントの大群を倒したキリトが俺に向かって叫んだ。


「ラグナ危ない!?右からリトルネペントが!」

キリトの叫び声に、俺は急いで右方向を振り向いてみれば、右の藪の方からリトルネペントが出てきやがった。しかもまた《花つき》だ。

いきなり出てきやがったリトルネペントに驚くも、攻撃を仕掛けてきたため避けれないと判断した俺は、無理に左手を蔓に向けてリトルネペントの攻撃を大きく弾いた。

「喰らうかっ!」

攻撃を弾かれリトルネペントは仰け反る感じになる。俺は左手に持っていたスモールソードを右手に持ち替え、ソードスキルの態勢に入った。

「いい加減、てめえらとの戦いは飽きたんだよ!」

叫んで、俺はレイジ・スパイクをリトルネペントの花つきにぶち込んだ。

『シュアアアアァァァァァァァァァァ!?』

リトルネペントは長い悲鳴を上げながら、ポリゴン片になって砕け散った。俺のスモールソードも手を下ろした瞬間に耐久値の限界が来たらしく、スモールソードも儚く砕け散った。

パキィィィィィィン!


それを見た俺は驚愕の顔をしながら、口を開いた。


「・・・・マジかよ」

そう言うと、キリトが歩きながら声を掛けてきた。

「大丈夫だよ。上手くこの森を抜けられる方法があるからね」

「そいつは助かるが・・・・・・俺以上にリトルネペントを狩ったのに、スモールソードが持ちきったのがすげえよ」

「ラグナよりは片手剣の扱い方は熟知してるからね」

「・・・・・・・・・・へっ、この野郎」

少し間を作りキリトを見ながら言うも、キリト何やら含みのある言い方で返してきた。お互い笑い合うが、それも1分程度で止め、俺は鋭い目付きをして後ろの藪に怒鳴り声を掛ける。

「ま、そんなことよりも・・・・・・・・・おい!藪に隠れてる奴出てこいよ!!出てこなきゃ俺が力ずくで出させるぞ!!!」

俺の怒鳴り声にキリトは驚く顔をするが、すぐに何かが分かった顔をして俺の後ろの藪を見た。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「コペル!?」

後ろの藪から俺が助けた、少し背の高い男が出てきた。キリトは先程より驚きの声を出し警戒するように男を見た。
どうやらこいつがキリトを殺そうとしたようだな。

「キリト、無事だったんだね・・・・・」

「・・・・・・」

男の言葉にキリトは口を開かなかったため、俺はキリトを庇うように出て男に言う。

「お前か・・・・キリトを殺そうとしたのは」

「っ!?・・・・・・・それは」

「ラグナ・・・・・・」


俺の言葉にコペルは複雑な顔をしてキリトは俺になにかを心配するような眼差しを向けた。

「人殺しを行った奴がノコノコ、キリトの前に現れるとは、随分と肝の据わった野郎だな?」

俺は睨みながら話を続ける。

「大方お前がやったのは《MPK》・・・・・・モンスター・プレイヤー・キル、だろ?」

「ッ!?」

「えっ!?・・・・・・・」


俺の言葉に2人は、なぜ知っているのかという顔になる。

「ゲーマーなら知ってる言葉だ・・・・それにオンラインゲームじゃよくあることだしな」

俺が今もなおやっているオンラインゲームでもまだあることだ。とあるパーティーが勝てないモンスターに遭遇してしまい逃げる、もちろんモンスターはそのパーティーを追い掛ける。もしも逃げていたパーティーが、偶然別のパーティーを見掛けたら、そのパーティーにモンスターを任せて追い掛けられていたパーティーは全力で逃げる。

俺はモンスターとの戦闘中何度もMPKを受けたが、そんなもの不良との喧嘩に勝つぐらい切り抜けた。

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

コペルとキリトが無言でも俺は話続ける。

「大方協力プレイをしてたんだろ?キリトが花つきの相手、お前が実つきの相手」

「キリトは速攻で実つきを倒してお前の救援に向かおうとした・・・・だがお前はキリトがリトルネペントの胚種を持っているのを確認した。実つきの実を割りキリトに集まるリトルネペントの相手を任せ自分だけは逃げた!そうだろ、キリト?」

俺は言いながらキリトに振り向く、キリトの答えを聞くために見ていると、キリトは無言で頷いた。

キリトの答えを見た俺は、勝手に話を続けた。


「例えキリトがベータテスターでも、あれだけのリトルネペントの数が来れば限界が来て死んじまう。キリトが死んじまえば装備中や武器とアイテムポーチに入ってるアイテムが落ちる」

「後はリトルネペントが去るのを見計らって、落ちているリトルネペントの胚種を拾えばお前はクエスト完了!」

俺は喋りすぎたため一度口を休ませたが、すぐに口を開く。


「だが誤算が起きた・・・・リトルネペントはキリトだけじゃなくお前も狙った。結局のところお前の作戦は外れキリトを死なせるどころか自分が死にそうになった、ってところか?」

言い終わりながら、コペルを睨み付ける。コペルは顔を下げながら小さくも俺達には聞こえる声で返答した。

「その通りだよ。君が来なかったら僕は死んでいたかもしれない」

そう言ってコペルは頭を下げたが、お礼の言葉は言わなかった。そうだろうな、人を殺そうとしといてお礼を言うなんて虫が良すぎるもんだ。

コペルの言葉にしばらく場は無言になったが、俺はコペルの前まで歩き出して喋る。


「このデスゲームに絶望してよ。訳の分からねえ行動を起こす奴もいるよな。クエストをクリアさせるために自分だけでも生き残ろうとして他人を犠牲にさせる奴」

俺はコペルの前まで来る、俺が来たことにコペルは顔を上げる。「でもな・・・・・・」と言った瞬間、俺はコペルの胸ぐらを思いっきり引っ張り上げた。

「ひぃっ!?」

「俺はてめえみたいな他人の命を考えねえ奴は一番大っ嫌いなんだよ!!!」

胸ぐらを掴まれたことにコペルはまた情けない声を出した。

「この仮想世界は現実世界とは違う!つまりそれはこの世界の人間の“命”はみんな平等なんだよ!!!」

俺の怒鳴り声と顔にコペルは間抜け面で目から涙を出していた。それでも俺の言葉は終わらない。


「いいか!もしも次同じことをやってみろ!どんな手を使ってでも、てめえを追い詰め俺の手で殺して見せる!・・・・・・覚えておけ!!!」

俺の気迫に負けたのかコペルは、無言でガクガクと首を縦に動かした。了承の答えを貰った俺はコペルの胸ぐらを離しアイテムウィンドウを開く、胸ぐらを離されたことにコペルは低い腰になりながら去ろうとしたが俺はそれをさせはしなかった。

「待ちやがれ」


俺はアイテムウィンドウを開いて中心が仄かに光っている薄緑色の球体のリトルネペントの胚種を出現させ、今だに咳き込んでいるコペルに投げた。

「ほらよ」

「・・・・・・・・え?」

投げられた胚種はコペルの顔に当たるも、コペルは慌てながらキャッチした。リトルネペントの胚種を渡したことに、疑問を抱きながらコペルは俺を見た。

「な、なんで?」

「運良くリトルネペントの花つきが2体出てきたんでな。いらねえからてめえにやるよ」

「ッ・・・・・・・・・・」

「さっさとそれ持って失せやがれ!そんで報酬も貰ったらホルンカの村も出ていけ!顔なんか見せてみろ、すぐにてめえをぶっ殺すぞ!!」

「は、はい!?」

俺が胚種を渡したことにコペルは複雑な顔を見せたが、俺はその顔に苛立ちが募り、怒気を込めまくった大声を上げると、コペルは逃げ腰のまま全速力で俺達の前から姿を消した。

「ふぅ・・・・・初っ端からこんなことになるとはな、中々気は抜けられないな」

「ラグナ・・・・」

後ろからキリトが声を掛けてきたため、俺は振り向いた。振り向いてみるとキリトは恐る恐ると言った感じで、目は涙が出そうになっていた。

(死にそうな目にもあったし、俺が物騒なことも言ったからな。話し掛けるどころか恐ろしいはずだよな)

俺は考えながら気まずい感じで髪を掻く、するとキリトはなにかを言いたそうにしていたが、先に俺が言いたいことを言うと決めた。

「ラグ「悪かった!?」

「え!?」

俺が頭を下げて謝ったことに、キリトは疑問の声を出した。


「俺があの時二手に別れようなんて言わなけりゃ、お前はこんな危険な目に遭わずに済んだのに、完全にこれは俺の責任だ!お前になんて言われても良い!だけど謝らせてくれ、本当に悪かった!」

俺が謝っていることに、キリトは慌てる声を出し、手もあたふたと振った。

「そ、そんな謝らないで頭を上げてよラグナ!二手で行動しようって私も同意したんだから!?寧ろお礼が言いたいの!」

「?・・・・・」


キリトはそう言うと真剣な表情になって一度「コホン」と咳払いをした。


「ラグナ・・・・・私を助けてくれて、ありがとうね。私怖かった、あんな数の中でたった1人で戦って死んじゃうのかなって?でも、ラグナが助けに来てくれた。その時私とっても嬉しかったまだ生きられる喜びが感じられた。だからありがとう・・・・ラグナ!」

キリトは天使のような笑顔で手を握って、俺にお礼を言ってくれた。その笑顔とお礼の言葉に俺は何だがむず痒くなり、自分でも酷いと思うが、無理矢理手を離しキリトに背中を向けて言う。

「そ、そんなことよりよ、早くこの森から抜け出そうぜ。何時なんどきリトルネペントが現れて襲われるかもしれないからな」

「キリトの武器ももうすぐ限界だろ?早く安全な道案内頼む俺もこんな気色悪い森から抜け出したい」

そう言うと、キリトは満面な笑みを見せて歩を進める。

「うん!それじゃあ案内するね!」

















「ふぅ。やっとホルンカの村に戻れたな」

俺とキリトは何とかリトルネペントとエンカウントもせず、無事にホルンカの村に戻れた。きっとあの大戦闘でリトルネペントのPOPが枯渇したんだろう。運が良かったが、しばらくはあんな戦闘は御免被りたい。

ただ今の時刻は夜の10時過ぎ。茅場晶彦のチュートリアルが終了してから4時間が経過している。

既にホルンカの村には数名のプレイヤーの姿があった。恐らく全員ベータテスターなんだろう。ま、そんなことは気にせずに俺とキリトは目的の家へと目指す。

村のおかみさんの家に着くと、一応礼儀として3回ノックをしてからドアを開けた。入ってみれば相変わらず釜戸で何かを煮ているおかみさんが振り向いた。頭上のクエスト進行を示す金色の《!》マークが浮かんでいる。


俺達は歩み寄り、腰のアイテムポーチから《リトルネペントの胚種》を取り出して渡す。

おかみさんは顔を輝かせ胚種を受け取る。お礼の言葉が連射されると視界左のクエストログが進行していく。

胚種をそっと鍋に入れたおかみさんは、部屋の南に置かれている長櫃(チエスト)に歩み寄り、蓋を開けた。長櫃から出てきたのは、古びてはいるが、初期装備とは段違いの存在感を放っている赤鞘の長剣を取り出した。俺達の前に戻ってくると再度のお礼と共に、剣を差し出してくれた。

「「ありがとうございます」」


呟いて、俺達はクエストの報酬《アニールブレード》を受け取った。両手にズシリとした重さが伝わる。スモールソードの2倍ぐらいの重さを感じた。
視界中央にクエスト達成のメッセージが浮かび、ボーナス経験値が加算され、俺のレベルは4となった。

俺達はもう殆ど動く気力などなく、キリトはアニールブレードをストレージに格納させ、俺はスモールソードを失ったためアニールブレードを装備して、クエストが完了したせいか疲れがどっと押し寄せてきて俺は椅子にどさっと座り込んだ。

キリトも疲れた表情を見せながら、俺の向かいの椅子に座り込んだ。


「あ゛ー、疲れた~」

「うん・・・・そうだね」

既に疲れは最大のピーク、水の一杯でも飲みたいところだが、おかみさんはもう水の一杯も出してくれないようだ。俺達には見向きもせず、ただ再び釜戸の鍋をことことかき混ぜている。

俺とキリトはただボーッとNPCの挙動を見守り続けていた。その何分後に、視線の先でおかみさんは棚から木製のカップを取り出し、鍋の中身をお玉でそっと注いだ。

湯気が立っているカップを、アニールブレードより大事そうに持って、奥のドアへと歩いていった。不思議と俺は立ち上がってしまいおかみさんの後を追った。ドアを開けてみれば、おかみさんは薄暗い部屋へと足を進める。

いくらNPCでも、勝手に部屋に入るのに少し躊躇いが出たが、俺は足を止めずに敷居を跨いだ。そして同じくキリトも敷居を跨いだ。


入ってみればそこは寝室であり、寝室にあるのは壁際のタンスと窓際のベッド、後は小さな椅子が1つだけあった。

そしてベッドには、年の頃7、8歳と思しき少女が横たわっていた。
月明かりに照らされていても分かるほど顔色が悪かった。首は細く、シーツから覗く肩は骨張っている。少女は母親に気付くと僅かに瞼を開いた。次に俺を見てきた。俺はこれに立ち尽くしていると、少女の血の気のない唇に、仄かな微笑みが浮かんだ。

母親は右手を伸ばし、少女の背中を支えて起き上がらせる。その途端、少女は身を屈め「コホコホ」と咳き込んだ。少女の傍らに表示されているカラー・カーソルを確認する。NPCのタグが付いていて、名前は《Agatha》と出ていた。

(名前は・・・・・・アガサって言うのか)

アガサの背中を母親は右手で優しく(さす)り、傍らに腰掛け口を開いた。

「アガサ。ほら、旅の剣士様が森から薬を取ってきてくださったのよ。これを飲めばきっと良くなるわ」

「・・・・・・うん」

左手に持っていたカップをアガサに握らせた。アガサは可愛らしい声で頷くと、カップを小さい両手で支え、こく、こくと飲んでいった。
パアッと黄金の光が降り注ぎ、顔色が良くなるも、すぐに起き上がることはなかった。気のせいかカップを下ろしたアガサの頬は、ほんの少しだけ赤みを増しているように見えた。
空になったカップを母親に返したアガサは、立ち尽くしていると俺とキリトをまた見て、にっこりと微笑んだ。唇が動き、やや舌足らずな言葉が、ささやかに零れた。


「ありがとう、お兄ちゃん、お姉ちゃん」

「「・・・・・・・・・・あ・・・・・・・・・・」」

何も答えることはできず、俺とキリトはそんな声だけを漏らし、俺は両目を見開き昔のことを思い出した。



そう、あれは10年前のことだ・・・・俺の姉、結城明日奈が39度以上の風邪を引いて寝込んだ。その時間は親父と御袋は相変わらず仕事で帰ってこず、その頃の兄の浩一郎兄さんも生徒会に入っており生徒会の仕事で帰りが遅くなった。お手伝いさんも買い物にいってしまい、結局のところ俺が姉貴を看病することとなった。

正直言って面倒だという気分もあったが、姉貴を放って遊びに行くわけにもいかず、俺は姉の看病をすると決め、姉貴の顔の汗を拭いたり、額に乗せられているタオルも取り替えたりしていた。

そうやって看病していると、いきなり姉貴が温かい飲み物が飲みたい、それとお腹が減ったと言い出した。

仕方なく俺はお手伝いさんに電話をした。親父と御袋は仕事中のため出ないと確信したからだ。お粥の作り方と温かい飲み物はなにが良いかをメモした。お手伝いさんは自分がやりますので良いですと言ったが、姉貴が食べたいと言ったため俺が作ると言って、俺はすぐに作業に入った。

始めてやるため、俺は米をぶちまけたり水を溢れさせたり、飲み物を作るのに指から少量の血を流したりもした。
色々と試行錯誤を繰り返しながら、俺は何とか水分多めのお粥と飲み物は少し生姜を入れすぎた生姜湯が出来上がり、姉貴の部屋まで持っていった。

持っていくと、姉貴は驚きと喜びの表情を見せるも、俺が作ったお粥を食べた。しかし食べてみると姉貴の顔は微妙な顔になるも「おいしい」と笑顔で言いながらもくもくとお粥を食べた。お粥を食べ終われば生姜湯を飲むもこれも微妙な顔になったが、一気に飲み干して「ありがとう」とお礼を言ってくれた。
その言葉と笑顔に俺は体がむず痒くなり、次はもっと美味しく作ろうと決めた。大方この頃から俺はお手伝いさんから、料理を教わろうと思ったのだろう。

順調に姉貴の風邪は治っていったが、姉貴の風邪が治った直後、次は俺が高熱の風邪を引いてしまった。親父と御袋は仕事でいないがお手伝いさんはいたためお手伝いさんに看病を頼んだのに、姉貴が学校から帰ってくれば無理矢理自分が俺の看病をやると言い出した。

まあ、また風邪を引いたらどうするんですか!とお手伝いさんに怒られて、結局姉貴は部屋で勉強をしていたが、隙を見ては来て楽しそうに俺の看病をした。


「・・・・・・くっ・・・・・」

俺は苦しい声を出してしまい、それとともに涙も出そうになったが、無理に涙を流すのを堪える。

キリトもベッドのシーツに顔を伏せ、歯を食い縛り、全身をワナワナさせていた。だが涙は出ていなかった。

「・・・・・・どうしたの?お兄ちゃん、お姉ちゃん」

そう言ってアガサは柔らかく小さい掌がおずおずと差し出された。俺はその手を優しく握り、キリトは髪を撫でられていた。






おかみさんの家に何十分いたかは分からないが、少し心の整理が付いたのか、俺とキリトは外に出た。

時間を調べてみれば、もう時間は11時に近付こうとしていた。

「なあ・・・・キリト」

「ん、なにラグナ?」

家に出るまで俺はキリトに顔を見せなかったが、このクエストをやって俺の覚悟はさらに高まったためキリトに宣言しようと思う。


「キリト・・・・絶対にこのデスゲームを生き残ろう!」

「え?・・・・・・」

「このクエストを受けてみて分かったんだ。俺達の現実はここじゃない、ここにすべきじゃない。俺達の現実は俺達が本当に生きるべき場所は、あの場所だ。あの現実世界こそが俺達の居場所なんだ」

「仮想空間に安寧や居場所を求めたら、それはただの逃げになってしまうんだ。だけど俺はもう逃げない、現実世界でも戦うし仮想空間でも戦って生きて帰る・・・・・・・だからそのためにもキリトお前の力が必要だ!勝手で悪いと思う、でもお前の力を俺に貸してくれ!俺の力もお前に貸してやるから!」


俺の強い言葉にキリトは固まっていたが、数秒で硬直が解け真剣な表情になると頷いて力強い返答をくれた。


「うん!任せて!私も現実世界に帰りたい!!だからラグナに力一杯手を貸す!絶対に生きて帰ろう!」

その返答を聞き、俺は右手を差し出した。キリトは俺の右手を見て自分の右手で握った。俺達は力強い握手をして、更なる覚悟と共にこのデスゲームを生き残る決意を表した! 
 

 
後書き
はい、超絶長かったですけど、以下がでしたでしょうか?
読者様の感想を、お待ちしておりまーーーーーす!!!!!

本当にお願いします!!!

そしてコペルは生存させました。さてこれから彼の出番もあるのか?

楽しみに待っていてください!!!!!

そして本当に感想をお願いします!!!!!!!!! 
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