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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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90部分:第十話 サガの力その七


第十話 サガの力その七

「御前もだ。戦いに参加しろ」
「三人がかりってわけかい?」
「それもまた違います」
「エリシャ」
「シロウ」
 見ればエリシャも前に出て来ていた。そのうえでシロウの名を呼ぶのだった。
「四人です」
「ここにいる全員かよ」
「黄金聖闘士の中でもこの男は違う」
 ロジャーは今はサガの小宇宙を見ていた。その恐ろしいまでの質と量を誇る黄金色の小宇宙をだ。
「先程のキャンサーもかなりのものだったがこの男もな」
「確かにそれは凄いさ」
 伊達に魔神ではない。ロジャーもそれはわかってはいた。
「けれど。それでも俺がいれば」
「駄目だ」
 ロジャーははやるシロウをまた制止したのであった。
「シロウ、下手をすれば死ぬぞ」
「死ぬ!?俺が」
「そうだ」
 険しい顔でそのシロウに答える。
「下手をすればだ」
「馬鹿言えよ、ダンタリアンだぜ」
 ここで己が司る魔神の名を出すシロウであった。
「先の戦いでも聖闘士の雑魚共を散々倒した俺が。やられるかよ」
「何度も言う。侮るな」
 それでもロジャーの言葉は変わらない。
「わかったな」
「ちぇっ、じゃあ四人がかりかよ」
「そうだ」
「ライネル」
 今度はエリシャがライネルの名を呼んだ。
「貴方も。それでいいですね」
「俺は構わない」
 ライネルは至って冷静にエリシャに言葉を返す。その態度はまさにシロウのそれとは正反対であった。
「全くな」
「そうですか。それでは」
「シロウ」
 ロジャーがシロウに声をかける。
「何だよ」
「私と御前は正面から攻める」
 こう彼に告げるのであった。
「そしてエリシャとライネルは側面からだ」
「わかりました」
「それではな」
 二人はロジャーの言葉を受けそれぞれ左右に散った。サガから見てエリシャが右手、ライネルが左手に位置している。そして正面にはロジャーとシロウであったのだ。
「これでいい」
 ロジャーは布陣を終えてから満足そうに答えた。
「これでな。ではジェミニよ」
「来るというのだな」
「そうだ」
 サガに対して答えるのであった。
「四人だが。不服か」
「構わん」
 サガは至ってクールに返事をした。
「何人いようがな。私は闘うまでだ」
「流石と言っておくか」
 それを利いたロジャーの目が光る。
「黄金聖闘士。覚悟はできているか」
「覚悟、違うな」
 サガは今のロジャーの言葉は否定したのだった。
「私は相手が誰だろうと何人だろうと戦う。それだけだ」
「そうか。それではな」
 ロジャーはこれ以上は聞こうとはしなかった。彼の判断でもう話をしても得られるものはないと判断したのである。だからであった。
「戦わせてもらう。いいな」
「参ります」
 エリシャも言う。シロウ達ももう身構えている。
「ジェミニのサガ、今ここで」
「倒す」
「覚悟しろ」
 ライネルとシロウもまた。赤く禍々しい光を放つ戦衣が輝く。その瞬きが辺りを覆ったかと思うと。一斉に宙に跳んだのであった。
「まずは俺だ!」
 シロウが蹴りを繰り出してきた。
「インフィニティ=フェイス!」
 蹴りは一つではなかった。無数の蹴りから同じく無数の禍々しい顔が放たれそれがサガを襲う。これがダンタリアンの顔であったのだ。
 続いてライネルが。攻撃を繰り出してきた。
「シャドークローーーーーーーッ!」
 彼は爪であった。その爪から黒い影の衝撃波を出しサガに放っていた。
 エリシャは空中で身構えそこから身体を拡げる。すると彼女の周りに無数の目が発生していてそこから黒い光を放つのだ。
「エビルアイ!」
「最後は私だ」
 そしてロジャーもまた動いた。一旦着地しそのうえでサガに一直線に向かいそのうえで横薙ぎに必殺の一撃をサガに撃つのだった。
「ミッドナイトアクス!」
 彼のは渾身の一撃だった。四人の攻撃はそれぞれサガに向かって放たれていた。しかしそれを受けてもサガは身動き一つできなかったのだ。
「やったな!」
 シロウは着地してサガが死んだと確信していた。
「これでジェミニも終わりだ!」
「いえ、まだ油断はできません」
 しかしその彼にエリシャが言うのであった。
「相手は黄金聖闘士です」
「何だよ、エリシャ」
 彼にとってはエリシャの慎重は臆病にすら見えるのだった。
「黄金聖闘士ってばかり言ってな。幾ら何でも今の攻撃で」
「ですから。安心するにはまだ早いのです」
 だがそれでもエリシャの言葉は変わらないのだった。
 
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