ドリトル先生と沖縄の蛇達
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第十幕その九
「すぐに出会えるなんて」
「何か先生と一緒にいますと」
「先程のアマミノクロウサギもですが」
「珍しい生きものと会えますね」
「何かと」
「流石といいますか」
「あらゆる動物のお友達と言われるだけはありますね」
先生に賞賛の言葉すら贈ります、そして。
その紅色の蛇、ヒヤンは先生に尋ねてきました。
「私達に用があるのよね、先生は」
「僕のことも知ってるんだね」
「先生が私達のことを知らなくても」
それでもというのです。
「私達は皆先生のことを知ってるわ」
「そうなんだね」
「そうよ、動物の間じゃ有名人だから」
この奄美大島でもというのです。
「私達でも知っているわよ」
「ヒヤン君達の間でもだね」
「そうよ、それで用があるのかしら」
「うん、それはね」
先生はヒヤンにその用をお話しました、するとヒヤンはお話を聞き終えてからそのうえで先生に対して言いました。
「わかったわ、じゃあね」
「それならだね」
「ええ、すぐに皆を集めてね」
そしてというのです。
「相談するから」
「来てくれる子達をだね」
「そうしたお話をするから」
「それじゃあだね」
「今すぐに皆を呼ぶわ」
言った通りにです、ヒヤンはです。
一旦地面まで降りてそこから鎌首をもたげさせたうえで舌をちろちろと出しました、蛇の赤くて細長い先が二つに分かれた舌をです。
するとです、沢山のヒヤン達が四方八方からぞろぞろと出て来てでした、顔を寄せ合ってお話をしだしました。
そのヒヤン達を見てです、安座間さんと真喜志さんはまた先生に言いました。
「ハイ達の時もそうですが」
「今回のヒヤン達もです」
「こうして沢山見ることは」
「とてもです」
「ないです」
「一匹を見ることすら稀ですから」
そうした蛇だというのです。
「いや、夢みたいな光景です」
「携帯で写真も撮っていますが」
「ハイ達の時もそうしていましたが」
「いや、何かと」
「凄い光景ですね」
「嘘みたいな」
「僕もそう思います、一度にこうして大勢のヒヤン達がいる場面は」
それこそとです、先生も二人にお話します。ヒヤン達がお互いに彼等の言葉でお話をしているのを聞きながら。
「奇跡の様な」
「はい、全くです」
「そうした場面です」
「本当に」
「凄い場面です」
「こうした場面も見られるなんて」
またこう言った先生でした。
「僕達は幸せですね」
「運がいい」
「そう言われますか」
「本当にそう思います、神様に感謝します」
微笑んで言った先生でした。
「このことについてもまた」
「そして、ですね」
「彼等にもですね」
「動物園に来てもらいますね」
「是非」
「そうなれば有り難いです」
笑顔で言った先生でした、そしてです。
先生達はヒヤン達のお話が終わるのを待ちました、お話は暫くして終わってでした、何とヒヤン達はです。
雄と雌、つがいで何と三十匹も動物園に移住すると言ってくれました。先生はこのことには驚いて言いました。
「いや、多いね」
「多いかな」
「そうかしら」
「この森に残る方が多いよね」
「ずっと」
「いや、僕達からすればね」
それこそというのです。
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