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ドリトル先生と沖縄の蛇達

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第十幕その三

「気をつけないとね」
「まあ先生はね」
「傲慢とは正反対だね」
「怒ることもないし」
「憤怒とも無縁だね」
 こちらの罪ともです。
「嫉妬もね」
「全然嫉妬しないしね」
「強欲でもいし」
「こっちも正反対だね」
 本当に無欲な人です。
「怠惰でもないね」
「いつも学問に励んでるし」
「先生が言うには楽しんでるだけだけれど」
「怠けることもしていないよ」
「まあ大食はね」
「食べる量は多いけれど」
「残さないし」
「貪らないね」 
 あくまで必要なだけ食べています、それに美味しいものは大好きでも決してご馳走や贅沢を求めることもしません。
「こちらもね」
「別にいいね」
「沢山食べるけれど」
「それでもね」
「そうだね、そしてね」
 さらにでした。
「一番縁がないことは」
「好色だね」
「先生ってね」
「本当にそっちは全然だね」
「傲慢、憤怒、嫉妬、強欲と並んで」
「先生とは縁がないね」
「昔から女の人にはもてないし」 
 自己認識の欠如はここでも出てはいます。
「元々女の子に興味があっても」
「好色かっていうと」
「全然違うね」
「自分で声をかけることもしないし」
「そうした本とかビデオも持ってないね」
「これも学生時代から?」
「学生時代僕の学校は厳しかったよ」
 寄宿舎の伝統が残っていました、イギリスの学校は寄宿舎ですととても厳しいものであるのであるのです。
「そのこともあってね」
「女の子のスカートの中とか」
「胸とかお尻とか脚とか」
「そういうことにもだね」
「強く興味はないんだね」
「あまりね」 
 どうしてもというのです。
「ないね」
「ああ、やっぱり」
「そうなんだね」
「じゃあ先生はね」
「特にだね」
「好色とは無縁だね」
「無縁過ぎる位だね」
 実は先生の場合こう言っていい位です、とにかく先生は女の人については奥手というレベルでは済まない位です。
「神様の教えには正しいけれどね」
「七つの大罪とは無縁だから」
「このことはいいことだね」
「何といっても」
 動物の皆も先生が好色とは最も無縁であることには少し残念に思っていてもです、このことは今は深く言いませんでした。 
 そしてヨットに乗って本島に帰ってです。動物園の人達にハイ達が入っている水槽を手渡したのでした。それから。
 先生にです、安座間さんと真喜志さんが言いました。
「今晩ですが」
「どうされますか?」
 こう先生に尋ねてきました。
「若し予定がないのなら」
「紹介させて頂きたいお店があるのですが」
「どういったお店ですか?」 
 先生はお二人にすぐに尋ねました。
「それで」
「カレー屋さんです」
 安座間さんが先生ににこりと笑ってお話しました。
「そちらになります」
「カレー屋さんですか」
「沖縄の」
「そういえばです」 
 先制も言われて気付きました。 
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