八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第九十七話 蛍の光その七
「ころって死んでな」
「飼うの大変でな」
「生物部でも飼育に気を使ってるらしいな」
「金魚と違ってな」
「グッピーとかともな」
こうした魚は強いらしい、考えてみれば金魚は元々鮒なので頑丈なのも納得出来ると言えば出来ることだ。
「ああした魚は強くてな」
「メダカは弱いんだよな」
「しかも油断したら共食いしてな」
「そのことも厄介らしいな」
「それで蛍もだね」
僕はまたこの虫の話をした。
「相当に奇麗なお水じゃないと駄目」
「そうなんだな」
「それで今夜から鑑賞会」
「そうなるんだな」
「そうだね、毎年やってるけれど」
それでもだ。
「その蛍を観られるなんてね」
「風流だな」
「そうだよね、蛍はね」
何度観てもだ。
「何といってもね」
「奇麗だよな」
「俺も行くか、蛍観に」
「そうするか」
「蛍なんかいるだけでも凄いよ」
ここでロシアから来ている彼が言ってきた。
「モスクワにそんなのいないよ」
「寒いからか」
「だからいないんだな」
「そこはやっぱりロシアだな」
「寒いから虫はいないんだな」
「いてもね」
それでもというのだ。
「あまり、だから」
「蛍もいないか」
「そうなんだな」
「色々と厳しいな」
「風流についても」
「ダイアモンドダストはあるけれどね」
大気中の水分が凍って結晶となってキラキラと舞う、極寒の地ならではの自然現象だ。日本でも北海道の北の方である。
「そっちはね」
「けれど蛍になるとか」
「いないか」
「そうなのか?」
「いるかな、けれどいてもね」
それでもというのだ。
「ロシアの夏は短いからね」
「いる期間はすくないんだな」
「日本と比べても」
「どうしてもね」
実際そうだというのだ。
「これがね、だから今日は是非行きたいね」
「植物園の蛍の鑑賞会に」
「絶対にか」
「そう思ってるよ」
こう僕達に話してくれた、彼は僕達よりもずっと蛍の鑑賞会に行きたそうだった。僕達はこの日は鑑賞会を楽しみにして部活をした。
そして終わって八条荘に帰るとだった、畑中さんが僕に言ってきた。
「もう用意は出来ています」
「植物園まで行く用意が」
「バスの用意はしておきました」
「早いですね」
「気が急いていまして」
だからだというのだ。
「もうです」
「用意が出来てるんですね」
「そうです、では夕食の後で」
「はい、皆と一緒に」
「行きましょう」
八条荘にというのだ。
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