オズのビリーナ
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第九幕その八
「王様、お久しぶり」
「ようこそ、トロット王女」
丁寧で礼儀正しい返事でした。
「闇エルフの国に」
「お元気そうね」
「この通りです、今回はどういったご用件で」
「最近ドワーフの人達と揉めているそうね」
「国境を接しまして」
それでと答えるのでした。
「今は」
「そうなのね」
「ただ」
「ただ?」
「我々に落ち度はありません」
王様はこうトロットに述べました。
「これは誓って言います」
「悪いことはしていないのね」
「間違ったことはしていません」
断じてという返事でした。
「私達は。間違っているのはです」
「ドワーフ族の人達なのね」
「いつもの通りです」
「違うというのね」
「そうです、何故彼等はです」
こうも言った王様でした。
「地形をあそこまで変えるのか」
「掘り進んでいって」
「ありのままの形を尊重しないのか」
「それがなの」
「わからないのです」
「そうなのね」
「彼等とは他のエルフ達と同じです」
闇エルフであろうともというのです。
「考えが理解出来ません」
「それじゃあ」
「はい、喧嘩にはなりませんが」
「これからもなのね」
「いがみ合いは続くでしょう」
こう言うのでした、そしてです。
ビリーナは闇エルフの王様にもです、言うのでした。
「じゃあまた来るわ」
「お帰りですか」
「ええ、またすぐ来ることになるけれど」
「何時でもどうぞ」
「それじゃあね」
こうお話してでした、そのうえで。
一行は王宮を後にしますが王様は皆を礼儀正しく最後まで送ってくれました、他の闇エルフの人達もとても礼儀正しく紳士淑女でした。
それで列車に戻ってです、ナターシャは言うのでした。
「やっぱりいい人達ね」
「礼儀正しくてね」
「マナーもよくて」
ジョージと神宝が言います。
「悪い人達じゃないよ」
「一緒にいて笑顔になれたよ」
「お互いに悪い人達じゃないのに」
カルロスはドワーフ族の人達のことも考えます。
「どうしてかな」
「仲が悪いのかしらね」
恵梨香もそこがわかりません。
「本当に水と油だわ」
「それね、私も気付いたことがあったわ」
ビリーナが言いました。
「あることにね」
「あること?」
「あることっていうと」
「それは何?」
「一体」
「ドワーフの人達もエルフの人達も確かにいい人達よ」
そこはビリーナも認識しています。
「どちらもね、ただこだわりが強いの」
「それぞれのこだわりが」
「そうなのね」
「そう、それもね」
さらに言うビリーナでした。
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