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デュエル・マスターズ~龍を使役する少年の物語~

作者:ガタック
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第19話:敗北の後に残ったもの

 
前書き
 公式サイトでミルザムがプレ殿、ブラックサイコ、マナロック、イーヴィル・ヒートが殿堂になったので、この作品にあまり影響がでないよう、あらすじに2016年2月28日の殿堂レギュレーションを追加しました。
 また、話が進む度にあらすじに追加で殿堂レギュレーションを書きます。
 さて、前書きはこれくらいにしてそろそろ本編に入りましょう!
それでは第19話どうぞ!  

 



 あれから二日が経過した。

 とある病院。

「いやー、参った参った!目が覚めたら、病院に運ばれていたなんて、マジ参ったわ!あはははっ!」
「あははは、じゃないですよ!心配してきてみたら、普通に元気だし、心配して損したじゃないですか!?」

 そこで頭に包帯を巻いた少年、紅蓮 モルトと、彼を心配する少年、日伍 勝の二人は他愛もない話をしていた。

「まぁまぁ、そう言うなよ、勝」
「フン。お前もまだまだ甘いな、拓真」
「はい?」
「良いか?アイツがあの馬鹿を心配するなんて、今まであったか?」
「ん?そう言われてみると、以前の勝なら、モルトさんを心配する余裕はなかったな」
「だろ?つまり、アイツはメチャクチャあの馬鹿を心配していた、と言うことになる」
「あ、成る程」

 そんな中、二人の喧嘩を止める少年、神原 拓真が二人の間を入るも、モルトの隣のベッドで意味不明なことを述べる少年、黒炎 龍牙の言葉に拓真は納得してしまった。

「そこ!然り気無く会話してるかもしれないけど、全部聞こえてるからね!」
「聞こえるように会話をしていた」
「ちょっ!?龍牙さん、それを言ったらダメっすよ!」

 龍牙の軽い挑発に拓真の双子の弟、拓斗は止めに入るも、もう遅かった。

「ん?どう言うことだ?拓斗?」
「りゅ・う・が・さん……!」
「っ!?なんだ!?この異様もない気配は…!?」

 後ろから感じる異様な気配に龍牙は恐る恐る後ろを振り向いた。

「一回、あの世に行ってこぉぉぉぉぉい!」
「ギャァァァァァ!?」

 そこにいたのは右手に何故かスタンガンを持っていた勝の姿だった。

 それをそのまま、龍牙の首筋に突き刺した。










 それから暫くして、赤羽 結衣と白井 アイラの二人の少女が来て、結衣は勝を、アイラは龍牙を、それぞれ説教した。

「全く、男子はどうして、こんなに馬鹿なの?」
「馬鹿じゃなくて、アホなんですよ、白井さん」
「あ、それもそうね」

 毒舌を吐く二人の少女。
 ぶっちゃけ、男子は皆、馬鹿なのは仕方がないが、勝に関しては別である。

「……女子の会話って恐いっすね、兄貴」
「そうだな、拓斗」
「いや、あれはまだ可愛い方だぞ」
「「えっ?」」

 二人の女子の会話を聞いて恐ろしく感じる拓真と拓斗の二人は再度認識し、それを聞いたモルトはまだ可愛い方だと、そう言い、それを聞いた二人はモルトの意外な言葉に驚いたのか、あれ以上に恐いものがあるのか等と、想像したくても想像したくない領域であることは変わりない。

「それで何があったのか、説明してくれますか?」

 このままでは埒があかない。そう思った勝はモルト達に何故、襲撃されたのか、問い掛けた。



 勝が部室を出た後、拓真達は謎のグループに襲撃されたことを結衣から知らされた。
 しかも、そのグループはモルトと龍牙の二人を強制的にデュエマを挑んできた。
 結果は黒星。その際、モルトは《燃える革命 ドギラゴン》を、龍牙は《極・魔壊王 デスゴロス》を、この2枚が奪われた。
 幸いにも、拓真と拓斗とアイラの三人はデュエマを挑まれなかった、とのこと。



「と言う訳だ」
「大体のことはわかりました。ですが、どうして襲撃されたんですか?」

 モルトの説明を聞いた勝は大体のことは理解したが、どうして襲撃されたのか。それが一番わからないことだ。

「わからない。ただわかっていることは……」
「アイツ等にとって、俺達は邪魔な存在なんだろうな」

 モルトの言葉を続けて龍牙はそう言い、手元に持っていた缶ジュースを一気に飲み干し、そのまま握り潰した。

「と、兎に角、奪われたカードを取り返さないと!」
「そ、そうっすよ!その為にはデッキの強化っすよね?ね、兄貴?」

 不安な感情を無理矢理振り払い、アイラはいつも通り、元気な声でそう言い、それに反応して拓斗は拓真に問い掛けた。

「その前に、二人の怪我が治ってからだ。それまではダメだ」
「そ、そんな~」
「ちょっと、拓真!ノリが悪いわよ!」

 折角エンジンを掛けたのに、拓真の言葉に拓斗は断念そうな声でそう言い、アイラはムッと頬を膨らましながらそう言った。

「………」
「ん?ショウ、どうしたの?」
「……なんでもない」

 すると、先程から黙っている勝を見て、結衣は少し気になり、声を掛けるも、なんでもない、と勝はそう言った。

 未だに言い合っている拓真と拓斗とアイラの三人とベッドの上で座っているモルトと龍牙を見ると何故だか自分が情けなく感じ、黙ったまま部屋を出た。

「……ショウ」

 小さく彼の名を口にし、結衣は勝の背中を見ることしかできなかった。










 それからと言うもの、学校にいる間、勝はあまり元気がなかった。同時に拓真や拓斗、アイラの三人共会話をせず、ただ一人でいることが多くなった。

「勝君、どうしたんだろう?」
「……さぁな。アイツはアイツで何か背負い込んでるんだろうな」

 そんな中、アイラは拓真に問い掛け、それに対して拓真は冷たく、そう答えた。

「……拓真君って意外と冷たいよね」
「冷たいんじゃない。ただ、アイツは自分の問題は自分の力で乗り越えないと、自分の為にはならない。アイツは……自分で俺達にそう言った」
「勿論、モルトさん達が来る前の話っす」

 その余りにも冷たい言葉にアイラは拓真にそう言い、それを聞いた拓真と拓斗は補足を入れながら勝のことを少し説明した。

「あの子、意外としっかりしてるんだね」
「アイラさん、一言多いですよ」
「あ、ゴメンゴメン。つい、ね?」
「何で疑問形?」
「なんとなく」

 それを聞いたアイラは意外だったのか、勝がしっかりしていることに関心し、それを聞いた拓真は突っ込みを入れ、アイラは謝罪の言葉を述べるも、最後の言葉が疑問形だったことに拓斗は引っ掛かり、問い掛けるも、アイラはそう答えた。

(……まぁ、昔と比べれば、やっと、部長らしくなったな、勝)

 そんな中、脳裏で拓真は勝がようやく部長らしくなったことに嬉しく思った。

(……勝、お前は今、大変な時期なんだろうが、今のお前なら乗り越えられる!何故なら、今のお前は強い!それだけは絶対に忘れるなよ!)

 だが、やはりと言うべきか、勝が今、何を抱えているのか、少し気になり、心の中で勝を心配しながら応援する拓真。


 
 

 
後書き
 はい。今回はここまで。

 次回は勝君の復活回の予定です!

 毎度、誤字脱字、ご意見、ご感想、表現のミス等よろしくお願いします! 
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