八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第九十六話 吸血鬼のお茶会その十四
「また違うよね」
「ええ、確かに」
「昆虫の管轄となると」
「難しいわね」
「水族館でもないしね」
海洋や河川の生きものだ、蛍は川や湖の生きものだけれどだ。水族館も昆虫はあまり関係がないということになってだ。
「蛍は奇麗で植物のあるところにいるから」
「それで植物園になったの」
「水族館も協力してるらしいけれど」
「じゃあ植物園に行けば」
「観られるよ」
友奈さんにはっきりと答えた。
「毎年この季節になったら蛍の鑑賞会もやるから」
「風流ね」
「夏は蛍と花火だからね」
夏祭りに海もある、考えてみると夏もまた楽しめる事柄が多い。これもまた日本の季節の楽しみ方ということか。
「それでなんだ」
「学園の植物園でやってるのね」
「ただね」
「ただ?」
「蛍を捕まえたら駄目だよ」
観るのはよくてもだ。
「そこはちゃんと係の人が観てるから」
「捕まえて持って行ったりすることは」
「そう、それはね」
誰であろうともだ、それこそ学園の理事長さんでも許されない。こうしたことはかなり厳しいのが八女学園だ。
「駄目だから」
「皆がそうしない様に監視員さんもいるのね」
「そうなんだ、ただ観る分にはいいから」
それは自由だ。
「夏の温室の中で観られるよ」
「そうなのね」
「行ってみる?」
僕は友奈さんだけでなく詩織さんにも誘いをかけた。
「明日からだけれど」
「明日から」
「そう、暫くの間するんだ」
「もう少ししたら旅行に行くけれど」
八条荘の皆でだ、畑中さんもついてきてくれての八条荘の慰安旅行だ。裕子さんにとっては里帰りにもなる。
「その前にね」
「蛍の鑑賞会」
「それに行くかどうか」
「考えてみてね、じゃあ今日はね」
僕にしてもドラキュラ伯爵が出なかったことは残念にしてもだ。
「八条荘に帰ってね」
「宿題ね」
「そちらも頑張らないとね」
「そう、学生の本文は果たさないとね」
こう言って実際にだった、僕は詩織さん友奈さんと一緒に八条荘に帰った。ドラキュラ伯爵に会えなかったことを少し残念に思いながら夜は宿題をした。
第九十六話 完
2016・6・15
ページ上へ戻る