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オズのビリーナ

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第八幕その八

「この地下世界まで」
「途中で会ったモグラさんに事情は聞きましたけれど」
 恵梨香は騒動のことに言及しました。
「本当にそうでしたね」
「見ての通りだよ」
「毎日何度もああした騒動を起こしているんだ」
「ドワーフとエルフは本当に仲が悪くてね」
「ああなっているんだ」
「まあ何時かはって思ってたよ」
 地下の世界でもというのです。
「ドワーフとエルフがかち合うってね」
「地下でもそうなると思っていたよ」
「王様も何時かそうなるって仰ってたけれど」
「解決案は誰にも浮かばなくてね」
「それで実際に今こうなった」
「そういうことだよ」
 こう五人にもお話するのでした、そして。
 ナターシャがです、ノームの人達に言いました。
「これまではノームの人達と闇エルフの人達はかち合わなかったのね」
「闇エルフの数は少ないんだ」
「オズの国の地下でもあまりいないんだ」
「エルフ族は森エルフや山エルフが多くてね」
「海エルフは彼等よりずっと少なくて」
「闇エルフはもっと少ないんだ」
 そうだというのです。
「地下で数ヶ所にいるけれど」
「全員合わせても相当に少ないよ」
「ドワーフ族はわし等と同じ位いて領土も広いけれど」
「闇エルフは少なくて領土も狭いんだ」
「だから今までそれぞれの国で国境を接することもなかったんだ」
「そうだったんだ」
「けれどお互いの国の領土が広くなっていて」
 地下の中で、です。
「掘っていってね」
「それで鉢合わせしてね、遂に」
「今に至るんだよ」
「最初から鉢合わせしなかったらね」
「よかったのにね」
 ガラスの猫とエリカはお話を聞いてこう言うのでした。
「避けてね」
「合わなかったらよかったのに」
「ところがそうはいかなかったんだよ」
「だからこっちの王様も何時かはって思ってたけれど」
「実際にそうなったしね」
「なったからには今更言っても仕方ないよ」
 それこそというのです。
「起こってしまったからには起こったことについて考えないと」
「そうしないとね」
「それで、これからどうするか」
「それで王様も悩んでるんだよ」
「そうよね、じゃあまずはね」
 トロットはノームの人達の話を聞き終えてから彼等に言いました。
「カリフ王とお話したいけれど」
「はい、じゃあ案内します」
「王の宮殿まで」
「そうさせてもらいます」
「それじゃあね」
「あと」
 ここでノームの一人がこんなことを言いました。
「いますね、彼女」
「あっ、ビリーナのことね」
「雰囲気でわかります」
 はっきりと、というのです。
「それは」
「私達にとって卵とそれを産む鶏は天敵ですから」
「もうわかります」
「皆さんの中にいますね」
「そうですね」
「ええ、あえて隠れていたけれどね」
 ビリーナは声で答えました。姿は見せずに。
「いるわよ」
「その声は」
「ああ、やっぱりいるんだ」
「出来れば卵は産まないで欲しいけれど」
「いいかな」
「卵は産まないわよ」
 ビリーナもこのことを約束します。 
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