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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第九十六話 吸血鬼のお茶会その十二

「仕方ないから」
「うん、じゃあね」
「ガーデンに行きましょう」
 こうしたことを話してだ、そしてだった。
 僕達は三人でガーデンに向かった、ガーデンはイギリス風の緑が目立つ整えられた奇麗な場所だった。
 その丁寧に刈られたガーデンを見ながらだ、詩織さんはこんなことを言った。
「いないわね」
「そうね」 
 友奈さんも言う、伯爵達が座っているとされる白いテーブルも見た。見ればそこには今は誰も座っていない。
「誰もいないわね」
「そうね」
「やっぱりいないのかしら」
「いても見に来たとわかるから」
「出ないのね」
「そうかも知れないわね」
 こう二人で話していた。
「あえて隠れてるのかしら」
「見たいと思って見に来たらいない」
 詩織さんはテーブルと椅子達、四つあるその白い今は誰も座っていないその席も見ながら友奈さんに話した。
「そういうものね」
「妖怪は」
「それじゃあ」
「帰る?」
 友奈さんは詩織さんだけでなく僕にも聞いてきた。
「いないなら」
「待っていても出ないわね」
 詩織さんも言う。
「相手が私達が自分達を見に来ているのを察しているのなら」
「向こうが気まぐれを起こさないとね」
 そうでもないと、とだ。僕は詩織さんに答えた。
「やっぱりそうした時はね」
「出ないわね」
「うん、それにね」
「それに?」
「ドラキュラ伯爵って姿も変えられるから」
 この変身能力も有名だ。
「蝙蝠なり狼なり霧になりに」
「霧に変わったら」
「それこそ少し隠れられる場所にいたらね」
 もうそれだけでだ。
「相当なことじゃないとわからないよ」
「そうなるから」
「うん、だからね」
「こうしていないって思ったら」
「もう諦めるしかないかな」
 少し首を捻る感じになってだ、僕は詩織さんに答えた。
「やっぱりね」
「じゃあ帰るしか」
「そうしよう、多分伯爵達に会えるのは」
 それは何時かともだ、僕は詩織さんに話した。
「こうした時じゃなくてね」
「何気なくここを通った時」
「そうした時か伯爵達が自分達を見せたいって思った時だね」
「気まぐれで」
「そうした時だろうね、少なくとも今じゃないよ」 
 このことは間違いないとだ、僕は詩織さんにも友奈さんにも話した。
「じゃあ帰ろうね」
「それじゃあ」
「帰って」
 僕は二人にさらに話した。
「ゆっくりと休もうね」
「そうね、じゃあ」
「帰りましょう」
 二人も僕に答えてくれた。
「帰って夏休みの宿題をしないと」
「後々厄介だし」
「うん、宿題はね」 
 夏休みの宿題は日本の学園の必須のものの一つだ、夏休みとセットになっていて必ずしなければならないものだ。 
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