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我が春も上々の言よ梅の花 ~ラブライブ!サンシャイン!!アンソロジー企画~

作者:高田黒蜜
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Ideal and a dream, 

 
前書き
チーズ丸太郎さんの小説の読者様、どうも初めまして文才皆無。という者です。普段はハーメルンというサイトで活動をしていますがこの度企画をされるという事で参加させていただきました。どうか楽しく読んでくだされば幸いです。 

 
「こうして、この海で新年明かすのってなんか変な感じだなぁ」

静かな闇夜にひっそりと響いた私の声はすぅーっと消えていく。とても澄んでいる空気の中の夜空には輝く星達が己の存在を強調するかのように一つ一つが燦々と光を帯びている。
ふふ、燦々だと使い方を間違えてる気がするでしょ?でもね、ここの星達はまるで太陽のように輝いてたの。

その星は遠くにあるようで、手の届く場所にあって…気付けば元気を分けてくれるくらいに温かくて…。
それは傷心して輝く事も出来なくなっていた一つの小さく燃え尽きかけていた遠くから流れてきた星をも受け入れてくれて…本当に眩しかった。優しく、ただ受け入れてくれただけじゃなく、消えいる星を輝かせる為、救うために危険な賭けでもその星は己の危機も顧みず手を伸ばしてくれて…強い強い光と力強さを持ってて私にはない物を持っていた。
そんな星達に私も惹かれるように、いつしか私も輝きたいんだって思うようになっていた。ううん…これは口実かもしれない。

私という星はただ彼女という星がくれた物を返したかっただけなのかもしれない。
そして、彼女がくれた物全てを返すという言い訳で隣にいて大きく、もっと大きく輝けるように手伝いをしていたのかも?
最初はそうだったかもしれない。だけどこれは近いようで違う。ニアイコールな答案…何処かで納得がいってない…?
なら答えは?

ーザザァン

深い思考の中でも聞こえていた穏やかな波の音だけがすぐそばにあった。

確かに大切な何かがある気がする…。だけどその何かが分からなくて…
弱い私を繋ぎ止めてくれた大切な物…それは?

考えても分からなくて、もう何度目か分からない星たちの瞬く夜空を見上げる。分かっていたけど輝き続けている星に私はまた見惚れる。


「梨子ちゃん、此処に居たんだ。探したよ?」
「ん?あ、千歌ちゃん。千歌ちゃんの方こそどうしたの?」

後ろから声をかけられ振り向くと、輝いていて、私の手を引っ張ってくれた彼女…千歌ちゃんがそこにいた。ゆっくりと歩いてくる千歌ちゃんは私の隣に来ると私と同じように桟橋に腰掛け足を宙に浮かせている。そして、千歌ちゃんも空を見上げた。

「もうそろそろ一年経つんだね」
「まだ三学期があるのに気が早いんじゃない?」

おんなじことを考えてると思ったら何か照れ臭くて少し千歌ちゃんに意地悪をしてみた。千歌ちゃんは「もー!」って、言いながら私怒ってますというように頬を膨らませてる。千歌ちゃんといると私はとても救われたような気がする。それは泥沼でもがく私を掬い上げてくれたからかしら?

でも、『分からない』で良いのかもしれない。今はそれを表す言葉を知らなくても、いつか明確に出来るようになれれば、それで。

「うふふ、冗談よ。私も同じこと思ったもん。」
「だよねだよね!いやぁ~やっぱり此処といえばあのダイブだよね」
「私としてはあんまりほじくり返さないで欲しいんだけど…」

そう言った私だったけど千歌ちゃんは聞いてないのかずっと前の事のように思えてまだ一年も経ってないけどずっと前のことだった気さえする初めての出会いを思い出しているようだった。

「いきなり制服に手をかけて脱ぎ始めた時が初めて梨子ちゃんを見たときって考えると、今こうして隣り合わせに座って一緒に空を見上げてることも奇跡なんじゃないかなって思うよ。」
「…千歌ちゃんにとって、私ってなんだったんだと思う?」

出さなくてもいいと思ったばかりなのに、なんとなく聞いていた…。
何故だなんて、私自身にも分からない…それでも私は聞いてしまっていた。

…もしかしたらおどけて茶化す千歌ちゃんに対してのなんらかの意趣返しなのかもしれないし、ただ私は気になっているのに千歌ちゃんはなんにも気にしていないのにズルいっていうだけの軽い気持ちなのかもしれないし…
まあ、なんとなく気になったからって片付けちゃっても良いのかもしれないようなちっぽけな悩みなんだけどね。

「そうだね~…うーん…そうだなぁ……あ」
「分かった?」
「うん…あの時の気持ちとかからしたらっていう程度のだけど……」

千歌ちゃんにしては珍しい歯切れの悪い言い方にどこか疑問に思いながらも私は気になり隣の千歌ちゃんに身を寄せるように詰め寄った

「何々?ほら、勿体振らずに教えてよ」
「言うから~!うん…今は違うんだよ?でも、最初はたぶん…もしかしたら、私は自分の事に夢中になっちゃってて梨子ちゃんの事もね?ぞんざいに扱うっていうか…何て言うか…利用する?みたいな?」
「………。」

私は思わずポカーンとしてしまった。今、千歌ちゃんはなんて?ちょっと予想外な言葉がアノ!千歌ちゃんの口から出たって言うのが想定外でまさに、呆気にとられてしまった。

「うぇ⁉お、怒った?いや確かに私、スッゴい失礼な事言ったけど!
待って‼今のナシ!ジョーク!冗談!小粋なお茶目!
いや、でもそんな算段が全く無かったかと言われるとあったような気もしちゃって‼だから、それが本心?って訳じゃなくてね?えっと!えっとぉ!えっとぉ?」

焦りだす千歌ちゃんに私は心の奥底にあった悩みは小さい物へと変わっていく事を感じていた。
私は千歌ちゃんに気後れっていうのかな?後暗い思いがあったっていうのは、先程気付いたばっかりだった。

だから、今千歌ちゃんの言葉でああそうか…そうだったんだって納得がいってそういう関係でも良いんだって思うことが出来たんだと思うの。

「ねぇ千歌ちゃん。じゃあ、今の千歌ちゃんにとっての私は?」
「友達!誰よりも私を、その周りをよく見てくれてて注意してくれる存在?なんとなくそんな気がする‼」

即答だった。考える素振りもなく、千歌ちゃんは真っ直ぐ見て答えた。
千歌ちゃんは結果として利用したのかもしれない。だけど、千歌ちゃんは自信満々でそう答えてくれた…。
少し前に考えた私にとっての千歌ちゃんっていうのを話したら彼女は私をどう思うだろう…?軽蔑するのかな?それとも幻滅する?
…違うと思うの!千歌ちゃんは私を友達だって言ってくれた‼なら、私だけ聞いて言わないのは狡い。だって、後ろめたさがあったのはそこで汚い想いを私を見せるのが怖くて…だから、さらけだしてくれている千歌ちゃんに目を背けていたからだ。
私はちゃんと、千歌ちゃんと私は友達なんだって胸を張って言えるような人でありたい!


千歌ちゃんに一つ聞いてほしい事があるの…


私の一歩。
それは端から見たら進んだかどうかなんて分からない一歩かもしれない…だけど、私は私の歩み寄りで皆と一緒にいたい。
皆がどんどん先に行ってしまうなら追い付けるように頑張る。だから少しずつでもいい、みんなみたいになりたい。



これは夜空に広がる『星』に想いを馳せた小さな星の小さな決意。そして、そんな星達が織り成す場所で明るく照すために輝き続けようとするそんな夢物語です。














「…これで良いの?」
「へぇ~そんなこと考えてくれてたんだね!」
「千歌ちゃんだけ梨子ちゃんの夢に出てきて良いなぁ~私は居なかったんだぁ、ショックぅ!」

演技がかってわざとらしくがっかりしましたとアピールする曜ちゃん。だけど、私も反射的に反応してしまい焦って返してしまう。…分かってるのに体が反応しちゃうようになっちゃったのは今まで千歌ちゃんや曜ちゃん達との関わりが長いからって事かな?
反応して焦ってしまう私の脊髄反射が怨めしぃ~…

「ゆ、夢だから!それにだからと言って曜ちゃんのことを忘れてるって訳じゃないから!曜ちゃんだって大好きな仲間だよ‼」
「えへへ~大好きだってぇ~」
「わわっ!もー‼いきなり抱きついたら危ないわよ。」

私達がいるここは練習場所の一つである山道の階段の途中
日も登っていないような早朝で、寝ているときにいきなり電話で起こされ来ています。なんでも千歌ちゃんが初日の出を見たかったとかなんとか。でも、千歌ちゃんと来たのは曜ちゃんだけ。他のみんなはどうしたのだろうか?と、思ったんだけど千歌ちゃんが私の言葉を遮り初夢はどんな夢を見ることが出来た?って聞くからこうして話してたって訳です。

「そういう二人はどういう初夢だったの?私だけ話させるのは不公平じゃないかしら?」
「私は普通だったよ?海の上で白い船の上から水平線の向こうに見える山頂にかかる太陽と富士山に向かってヨーソロー!って叫んでた所で千歌ちゃんから電話が来て起きたって感じかなぁ。」
「曜ちゃんらしいね…」
「曜ちゃんだからなぁ~」
「むっ‼なら、そういう千歌ちゃんはどうなの?」

何故か言い合いになりそうな雰囲気を醸し出す二人に仲裁を入れつつ、私も少し千歌ちゃんの夢の内容が気になった。
千歌ちゃんはAqoursを今まで引っ張って来たリーダーで、誰よりも大きく成長し続けていたって知ってる。そんな千歌ちゃんは一体どういう夢を見たのか……

「えー、私の夢?面白くないよ」
「千歌ちゃんだけ言わないのはフェアじゃないよ!」
「私も気になる‼というより私だけなんか恥ずかしい思いしてズルいわ!」

勿体ぶる千歌ちゃんに詰め寄りつつ私と曜ちゃん。私達は千歌ちゃんに喋らせるように仕向けていた。

「それはぁ~」
「「それは…?」」

ドキドキ…ワクワク…

「なんとっ‼大量のみかんの山に埋もれながらお腹いっぱいミカンを食べ尽くす夢だったのだ!」

-ズルゥ!

まあ、あれだけ引き伸ばしておいてこのオチはあんまりだよね…。そんな訳で私も曜ちゃんも気が抜けちゃったわよ。

…あれ?恥ずかしい思いしたのって結局私だけ?
…もぅ!ズルいわよ二人ともぉ‼

なんて考えたけど、きっと言葉にしても二人は知りませんって顔しそう…あ、千歌ちゃんはたぶんよく意味を理解してくれなさそう…うぅ…


「3人とも遅いよー」
「遅刻ですわよ?」
「ハリアップ!もうちょっとだよ!」

「………?」

丁度階段の終わりが見えたと思ったらAqoursの三年生の果南さんダイヤさんマリーさんがいました。驚きです。
この感じだと千歌ちゃん言い忘れてるって事…だよね?はぁ…

「お姉ちゃん、時間には間に合ってるから責めちゃ駄目だよ?」
「大丈夫ずら。たぶんダイヤさんは休みなのに階段ダッシュを全力でやらさせられて行き場のない憤りをぶつけてるだけずら」
「このヨハネ様を待たせるなんて、なんて罪作りなのk…へプシッ!」

罪作りなのかしらって言いたかったんだろうなぁって分かるけど言い切れないで格好がつかない辺り善子ちゃんらしいなぁと感じちゃったのはきっと隣の二人も一緒だと思いたいなぁ…
あ、でも皆同じ考えだったみたいね。

だって、笑ってるもの。
まだ夜で暗いのに笑ってるって分かるぐらい輝いているもの。あの夢は正夢だったのかも?夢は見るものであり、叶えるもの。
私達は見続けてきたからこそ、今度は叶えるんだ‼
その夢も、目標も掴むんだ!皆で‼
なぁんてね!





…因みにあのあとに皆で初日の出見ながらどんな夢を見たのかと盛り上がったんだけど初夢っていうのは1月1日から見るもので、大晦日からにかけてのものはカウントされないんだってね。
ダイヤさんが教えてくれたんだけど、果南さんやマリーさんに空気読もうよ、とかそんなんだから硬度10なんだよ!とか言われて責められてたの。新しい年になっても私達は変わらないんだって思ったら少し笑っちゃった。

だって、これからもきっと続くんだからって!
夢は終らないんだって。ずっと、ずっと…紡がれていくんだから。



何かに気付いたようで千歌ちゃんが私達の顔を一人一人見ていきます。突然な行動は千歌ちゃんらしいな、何も言わずに手を引っ張る所が相変わらずだなって思いながら私は今日も千歌ちゃんが何をしてくれるのか見守ります。
きっと、この日常も変わらないんだろうなぁ~って考えなら笑いかけて返事をします。それだけで私達は繋がり会える強い絆があるから。

「あ‼そういえば挨拶まだだったね~じゃあ、せーの‼」

ー 夢の中の私へ ー
千歌ちゃんと私を、そして皆を繋げてくれたのは強く、太く、固い、そんな壊れて無くなっちゃう事のない…大切な絆だよ。それが信頼。助け合うってことなんだよ。
だから、不安にならないで?きっと、見つかるから…ね?
その答えを知ったから、一歩前へ私は進むね?去年の私はもう過去の思い出だよ。
明けてしまえば、過去も新しいものに変わるんだよ。だから、だから……

『明けまして、おめでとうございます‼』


…ありがとう、過去の私が見せてくれた夢。 
 

 
後書き
お読みいただきありがとうございました!いかがでしたでしょうか?
因みにタイトルの意味は『理想、そして夢』です。夢…良い言葉ですよね
此方を書いている時はまだ他作者様との順番などは決まっていないのでなんとも言えませんがまだ続くと思います。
楽しいお話が読めるので私自身読者としても楽しみにしてるんですよ。なので、まだまだ続くと思いますのでよろしくお願いします! 
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