ドリトル先生と沖縄の蛇達
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第八幕その二
「それは残念でした、ですが」
「それでもですか」
「それはそれで、です」
「お握りやパンをですね」
「食べます」
「それでは」
「はい、行きましょう」
こうお話してでした、そのうえで。
皆で、です。ヨットに乗り込みました。ヨットは先生達が船に乗り込むとすぐに出港しました。朝の海を勢いよく進んでいきます。
その朝の海を見てです、チープサイドの家族はこんなことを言いました。
「沖縄の海って何度見ても奇麗だね」
「そうよね」
青い、何処までも澄んでいるその海をヨットの傍から水平線の向こうまで見ながら言うのでした。
「文字通りサファイアを溶かした」
「そんな感じね」
「この海を見ていたら」
チーチーはずっと遠くを見ています。
「ずっと見ていきたいね」
「海はね」
ジップも言います。
「見ているだけで何かを感じるね」
「いつもそうなんだよね」
ホワイティはそのジップの頭にいます。
「海を見ていると」
「自然にね」
そのホワイティにダブダブが応えます。
「普段は感じないものを感じるね」
「神戸の海もそうだけれど」
トートーもその丸くてとても大きな目で海を見ています。
「沖縄の海もそうだね」
「それでいて沖縄の海は凄く奇麗だから」
神戸の海とはまた違った奇麗さだとです、ポリネシアは言うのでした。
「感じるものが違うわ」
「この海をずっと見ていきたくて」
老馬の言葉です。
「そして護っていきたいね」
「この海をずっと見ていたいから護る」
ガブガブは老馬の背中から彼に応えました。
「そういうことね」
「素晴らしいと思ったものを護りたい」
「誰でも思うことだね」
オシツオサレツも二つの頭で海を見ています、この人の場合はその二つの頭でヨットの左右の海を見ています。
「こう言うと奇麗ごとじゃないかも知れないけれど」
「エゴかも知れないけれどね」
「いや、奇麗と思うとね」
先生も言いました。
「護りたくなる、そして動くことはね」
「いいことなんだね」
「そうしたことも」
「それでもいいの」
「うん、結果としてそれが素晴らしいことを護ることなら」
それならというのです。
「いいと思うよ、僕は」
「皆の為とか思ったり」
「そこにいる生きものの為とか」
「そう思わなくていいんだ」
「別に」
「その為に動くのならね」
それならというのです。
「いいんじゃないかな、むしろね」
「むしろ?」
「むしろっていうと」
「そこでもっと崇高な理想とか言ったり極端に走る方がね」
そうしたことの方がというのです。
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