手は早いが
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第四章
「皆さんもベトナムの女性と交際して下さい」
「ただし怒らせるな」
「そういうことですね」
「ましてや浮気はですね」
「絶対にしないことですね」
「切り取られたくないですね」
このことはどうしても真顔になって言ってしまうゴーだった。
「どなたも」
「そんなの絶対に嫌ですよ」
「想像しただけで震えます」
「どれだけ痛いか血が出るか」
「というかどれだけ怖いか」
「伊達に並み居る大国に果敢に向かう訳ではありません」
自分から進んでだ。
「武器を持って」
「そうですね」
「強さ、猛々しさは敵国だけに向かわない」
「自分の国の男にも向かう」
「そういうことですね」
「そうです、身を守る為にも」
他ならぬ自分の為にもだ。
「注意して下さい」
「わかりました」
「切り取られたくないですから」
「絶対に注意します」
「気をつけます」
学生達も誓う様にして言う、そしてだった。
ゴーは家に帰ると妻の手料理を二人で仲良く食べた、普段の妻は確かに優しく気立てもいい。だが怒った時の姿を観ているだけにだ。
それだけにだ、妻にもこんなことを言うのだった。
「ベトナムの女性を怒らせたら駄目だね」
「大学でよくそう言ってるらしいけれど」
妻もこう返す、耳もいいのがベトナムの女性だ。
「否定しないわ」
「そうなんだ」
「自分で言うけれど私もね」
「怒ると怖いね」
「妹との喧嘩見たわね」
「見たよ」
素直にだ、ゴーは妻に答えた。
「凄かったよ」
「あれが普通だから」
「ベトナムの女の人は」
「怒ったらね」
まさにその時はというのだ。
「そうなるから」
「わかったよ、手は早いんだね」
「手は早いけれどね」
それでもというのだ。
「頼りになるから」
「そうだね」
「けれど本当に手は早いから」
「そして一旦手を出したら」
「徹底的だから」
「気をつけるよ」
「そういうことでね」
夫婦でもこう話した、とかくベトナム女性のことをよく知っているゴーだった。歴史からだけでなく今現在の社会でも。それでついつい自分の股間に目をやってから絶対に敵に回すまいと思うのだった。
手は早いが 完
2016・8・21
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