MS Operative Theory
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内部図解
ビーム・ライフル
——MS用の携行式メガ粒子砲=ビーム・ライフルの構造——
MSの主兵装として広く使用されている兵器として、MSが携行可能なまでに小型化されたメガ粒子砲「ビーム・ライフル」が知られている。
今日ではビーム・シールドなどの耐ビーム兵装の一般化によってビーム・ライフルの相対的な価値が低下していることや、ほとんどのMSがビーム・ライフルを標準装備していることもあって「当たり前の兵装」と見なされている。一般的な装備となったビーム・ライフルだが、その誕生から現在まで、MS用火器の中では最高の性能を持つ兵装であることには代わりが無い。勿論威力や効果範囲、射程などでは、一部のハイエンド機が装備するメガ・ビーム・キャノンやハイパー・メガ粒子砲、艦艇用メガ粒子砲のほうが優れている。だが、コンパクトなサイズによる取り回しのよさや連射性能、エネルギー・パックなどを併用することで実現した発射可能回数(装弾数)の多さ、そして目標を一撃で破壊する威力など、兵器としてのトータルバランスはビーム・ライフルのほうが遥かに優れている。また、ビーム・ライフルの威力は巡洋艦の主砲にも匹敵し、RX-78-2(ガンダム)が装備したBLASH・XBR-M-79-07Gは「戦艦の主砲なみ」とジオン公国軍将兵に評されるほどであった。
ビーム・ライフルと艦艇の主砲が同程度の威力を持つと言われる要因と、その二つの決定的な違いはどういった点にあるだろうか?それは「エネルギーCAP」と呼ばれるデバイスを搭載しているか否かに集約される。
「エネルギーCAP(Energy CAP=Capacitor)」とは、メガ粒子化する直前まで圧縮したミノフスキー粒子(Iフィールド)を保持、蓄積するデバイスである。正と負のミノフスキー粒子を圧縮、縮退させ、これが限界に達すると融合してメガ粒子となる。しかし、ミノフスキー粒子を圧縮、縮退するには、莫大なエネルギーが必要であった。そのため、ジェネレーター出力に余裕の無い初期型のMSは単独でこの工程を行うことが困難とされた。一年戦争期のMSでRX-78を遥かに上回るジェネレーター出力を持つ水陸両用MSは、内臓式メガ粒子砲を搭載できたが、これは冷却水の確保が容易な水陸両用機だから実現可能なことで、当時の一般的なMSでは不可能であった。そこで、実体弾式兵器を凌駕する威力を持つメガ粒子砲をMSに装備させるため、一般的なMSには困難な「ミノフスキー粒子の圧縮・縮退」を事前に行い、その状態を維持できるエネルギーCAPという「弾装」を内蔵することで、MS側から僅かな電力を供給するだけでメガ粒子を発生させることが可能となったのである。
——ビーム・ライフルの内部構造——
エネルギーCAPの有無を除けば、ビーム・ライフルと固定式メガ粒子砲の構造は殆ど同じである。しかし、ビーム・ライフルは各種デバイスが小型化されている以外に、最終的にビームの発射方向を決める偏向リングが装備されない場合が多い。これはビーム・ライフルがMSの腕部に装備されるためで、偏向リングなしでも十分な射角が得られることに起因している。なお、ビーム・ライフルを稼動される電力は、グリップのコネクタを通じてMS本体から供給される。
■収束、加速リング
メガ粒子を一条の「ビーム」に束ねる収束リングとメガ粒子の運動エネルギーを増幅する加速リング。このライフルでは、収束リングと加速リングが交互に配置されている。通常、砲身部分に配される。
■エネルギーCAP
メガ粒子化する直前のミノフスキー粒子が封入された、ビーム・ライフルの「弾装」。これを取り外し式にしたものが「エネルギー・パック」である。
■メガ粒子発生装置
エネルギーCAPから供給された圧縮ミノフスキー粒子を縮退、融合させてメガ粒子化する装置。
——ビーム・ライフルの発射プロセス——
エネルギーCAPには、事前に圧縮・縮退されたミノフスキー粒子が封入されているため、ビーム・ライフル内での圧縮は行われず、メガ粒子発生装置にミノフスキー粒子を送ることから発射プロセスが開始される。チャンバー内に送られた圧縮限界状態のミノフスキー粒子は、僅かな負荷を与えるだけでメガ粒子となる。このメガ粒子を一定量蓄積した後、収束リングと加速リングを通過させ、砲口から発射する。
——ビーム・ライフルの種別——
RX-78用から始まったビーム・ライフルには(同時期にRX-77(ガンキャノン)用も開発)、人間用のライフルや、カービン銃を模したシルエットを持つものが多い。しかし、中には極端に砲身が短いショートバレル・タイプや、長砲身型など、用途に応じて様々なモデルが開発されている。これは生産性の向上や取り回しの良さ、威力の向上などを目的としたものである。また、弾装型エネルギーCAPである「エネルギー・パック」が普及した後も、内蔵型が使われることも多かった。
■短砲身、簡易型ビーム・ライフル
「ジム」の名を持つRGM系MSは、「ビーム・スプレーガン」に代表される短砲身型ビーム・ライフルを主兵装としていた。威力ではフルサイズモデルに劣るが、近距離での命中率や生産性に優れるなどのメリットがあった。
■大型ビーム・ライフル
小型化とはまったく逆のベクトルで進化した手持ち式火器が、ビーム・スマートガンやビーム・ランチャーに代表される大型ビーム・ライフルである。長大な砲身————粒子収束・加速器————持つため、取り回しは悪いが、絶大な威力を誇る。
補足事項
——ビーム・ライフルの発展と派生——
ビーム・ライフルは、エネルギー・パックを採用した子銃のタイプがスタンダードとなっている。70年以上に亘るMS開発史の中で試行錯誤が繰り返された結果、上述のショートバレル型やロングバレル型を始め、ビームを連射するビーム・マシンガンや、ビーム・サーベル兼用型、ビーム・ピストルをコアユニットとするビーム・ライフルなど様々なタイプが開発された。こうしたタイプのビーム・ライフルは各組織特有のドクトリンの中で有効に活用されたようである。
後書き
次回 メガ粒子砲
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