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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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733部分:第百十話 薔薇の毒その四


第百十話 薔薇の毒その四

 それを見ながらだ。さらに言う彼だった。
「この紅の薔薇にしても黒い薔薇にしても」
「そうだな。毒に満ちた薔薇だ」
「その薔薇の毒に常に覆われているのです。その私が生半可な毒で倒れることはありません」
「そうだな。少なくともこの程度の毒では倒れない」
 また言うミシェイルだった。
「それはわかっている」
「ではその毒はやはり挨拶なのですね」
「そういうことだ。そしてだ」
「そして、ですね」
「貴様を倒す為の切り札はもう用意してある」
 こう言いながらだった。その全身に赤い小宇宙を巻き起こさせる。それは何時になく強大なものであり。彼の全身を覆い尽くしていた。
 その中でミシェイルはまた言ってきた。
「このアスタロトのミシェイル最大の技だ」
「それを私にですか」
「そうだ。私がこの技を出す時はだ」
 言いながらさらに小宇宙を巻き起こしてだ。アフロディーテを見据えていた。
「全てが決する時だ」
「貴方の全ての力によって」
「狂闘士は戦うだけではない」 
 赤い光の中での言葉だった。
「その時に全てを賭けるのだ」
「全てをなのですね」
「命も何もかもを賭ける。アーレス様の為にだ」
「何度も言いますがそれは私達も同じこと」
 アフロディーテは今は構えてはいない。しかしその黄金の小宇宙は沸き起こっていた。ミシェイルのそれと比べても遜色がないまでにだ。
「聖闘士もまた」
「そうだな。貴様もまた全てを賭けるか」
「はい。そして」
 ここでアフロディーテはまた言ってみせた。
「おそらく薔薇で貴方は倒せないでしょう」
「それはわかるのか」
「私には三つの薔薇があります」
「紅、黒、そして白だな」
「まずはです」
 紅の薔薇を放った。それと共に薔薇の園が玄室に現れる。だがそれは瞬く間にその毒の霧によって全て消えてしまった。同時に霧もまた。
「ロイヤルデモンローズはこの通りです」
「そうだな」
「そしてこの薔薇も」
 今度は白薔薇を出し彼に向かって投げた。だがそれも彼の前で霧の様に消え失せてしまった。
「御覧の通りです」
「黒薔薇は使わないのだな」
「どちらにしても同じでしょう」
 それはもうわかっているというのだった。
「貴方に対しては」
「その通りだな。私もまた毒を使う」
「だからこそ」
「その私に毒は通じない」
 こう返してみせたのだった。
「決してだ」
「ですがそれはそうでしょうか」
「何?」
「毒の強さにも限度があります」
 アフロディーテは今度はこう言うのである。
「そう、弱い毒は強い毒に敗れるものです」
「だとするとだ」
 ミシェイルはアフロディーテのその言葉を受けて返した。
「私の毒が敗れるというのか」
「私は敗れることはありません」
 はっきりと返してもみせてきた。
「何があろうとも」
「言うものだな。それだけの自信があるというのか」
「自信がなければ聖闘士にはなれません」
 やはり強気である。その外見からは想像できないまでにだ。
「ですから」
「その自信は私も同じだ」
 ミシェイルも負けてはいなかった。
「それではだな」
「どちらの毒が勝つかですね」
「はっきりさせる闘いでもあるな。だが」
「だが?」
「ピスケスよ」
 アフロディーテを呼んできたのである。
「貴様に薔薇はもうないな」
「はい」
 アフロディーテもそのことは認めた。
「お話した通りです。三つだけです」
「そうだ。紅薔薇に黒薔薇、それに白薔薇だ」
 その言葉は続く。
 
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