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提督と艦娘達の夏休み~夏の新メニュー開発編・2~
さて、お次は近頃有名になってきた郷土料理の再現を試みてみたい。そのメニューとは『冷たい肉蕎麦』と『瓦蕎麦』だ。それぞれ山形と山口に伝わる郷土料理であり、蕎麦を使った料理だ。任務で日本本土に行くことがあっても、地方には中々行く事がない艦娘にとっては物珍しい料理だろう。まずは山形の肉蕎麦の方から。
《家庭で再現!山形の冷たい肉蕎麦》※分量4人前
・鶏モモ肉:2枚
・めんつゆ:300cc
・水:適量
・みりん:大さじ4
・かつおパック:2袋(6g)
・長ネギ:適量
・植物油(サラダ油、米油など):小さじ1
・蕎麦:4人前
使う鶏肉だが、若鶏よりも親鶏を使う方がいい。親鶏はひね鶏又は廃鶏とも呼ばれ、産卵率が落ちた雌鳥を食肉用に加工した物だ。年を取っている為に肉は堅めだが旨味が強く、焼き鳥屋などでは地鶏として出している所があったりする……なんて裏事情の話は置いておこう。
鍋に湯を沸かし、縦半分に割った鶏肉を入れ、表面の色がサッと変わる程度に茹でる。茹で上がったら鶏肉を取り出し、鍋を一旦洗う。
茹で上がった鶏肉を皮を下にして置き、はみ出して見える余分な脂肪を取り除く。この時、肉をカットしないと取れない脂は取り除かなくていいぞ。
洗った鍋に好みのめんつゆ、みりん、分量通りの水(かけ汁用)の水を入れて火にかける。つゆが沸いてきたら脂を取り除いた鶏肉を入れる。もう一度沸いてきたら弱火にし、蓋をせずにコトコトと10分程煮込む。この間、丁寧にアク取りをする事を忘れないように。
鶏肉を煮ている間に、市販のお茶パックにかつおパックを詰めて準備しておく。
10分煮たら火を強め、沸騰してきた所に先程準備したかつおを入れて箸で軽く沈めたら、すぐに火を消す。そのまま粗熱を取りながら、鍋肌に付着したアク等を箸にキッチンペーパーを巻いて拭き取る。粗熱が取れたらそのまま冷蔵庫でよく冷やす。冷蔵庫で冷やすと鶏肉から染み出してきた脂が固まって浮いてくるので、アク取り用の網杓子等で掬い取る。
鍋に入れて一緒に冷やしていた鰹節パックも取り出す。この時、スプーンの背などを使ってギュッと搾る。
肉を取り出して削ぎ切り、長ネギは小口切りに。つゆにはお好みの植物油を加えて混ぜておく。ごま油やオリーブオイルは香りが強く、鶏や鰹の香りを邪魔してしまうので使わない方がいい。
お次は蕎麦。乾麺でも生麺でもいいが、パッケージに書かれている『冷たくする場合』の表示通りに茹でる。茹で上がったら流水でぬめりを取り、ボウルに上げて少ない水に氷を入れてぐるぐるとかき混ぜて冷やす。つゆと蕎麦はキンキンに冷やした方が美味いぞ。
氷が入ったままザルにあけ、水をよく切る。器を用意して蕎麦を盛り、鶏肉、ネギを盛ったら上からつゆをかけて完成。
「ハイよ、山形名物『冷たい肉蕎麦』だ。お好みで一味か七味をかけてな」
辛いのが好きな川内は、嬉々として七味を大量にかけている。その姿に若干引きながらも、夕張と江風は一口味見をしてから唐辛子を振るかを決めるつもりのようだ。
「普通肉蕎麦っていったら牛肉だけど……」
「鶏肉だから結構アッサリとしてんなぁ」
夕張はそのまま食べているが、江風は少し辛味が足りなかったのか七味を軽く振っている。
「まぁ、牛肉だと冷やしたら脂が固まってギトギトになっちまうしな。冷やして食う肉蕎麦なら鶏が適任なんだろ」
ちなみに具材としての鶏肉だが、親鶏だと噛み応えが強くダシが出る。若鶏はつゆの味わいが弱くはなるが具として食べるには柔らかくて美味い。どちらがいいかは好みで選ぼう。
お次は山口県の下関にある郷土料理・瓦蕎麦だ。瓦蕎麦というのは文字通り、熱した瓦の上に茶蕎麦と具材を盛り付け、温かいめんつゆで頂くという、日本蕎麦なのに焼きそばのようにして食べるという一風変わった料理だ。最初は蕎麦を焼いたり炒めるのに抵抗があるかもしれんが、その新感覚な味にハマる人は多い。
《新感覚!フライパンで瓦蕎麦》
・茶蕎麦(乾麺):4束
(牛の甘辛煮)
・牛肉薄切り(バラや肩ロースなど):200g程度
・薄口醤油:大さじ1~2
・砂糖:大さじ2
・みりん:大さじ1
(錦糸卵)
・卵:2個
・砂糖:小さじ2
・塩:ひとつまみ
(その他トッピングとつゆ)
・焼き海苔(おにぎり用):4枚~
・レモン(輪切り):4枚~
・大根:適量
・小ネギ:適量
・めんつゆ(つけ汁用に薄めた物):200cc
まずは蕎麦を茹でる。普通の蕎麦でもいいが、抹茶を練り込んだ茶蕎麦の方が焼いた時の香りがいい。表示されている茹で時間の6割程度、5分なら3分位でザルなどに上げて堅めに仕上げておく。流水でしっかりと洗って最後は氷水で〆てから水気を切っておくと蕎麦がふやけずに美味しく仕上がるぞ。
お次は錦糸卵の支度。卵に砂糖と塩を入れて溶き、薄焼き卵を焼いて冷ましておく。
お次は牛の甘辛煮。フライパンで牛肉を軽く炒め、醤油、砂糖、みりんを加えたら水400ccを加えて煮る。最終的には照りが出てくるまで煮詰めていく。大体15分位かな?
牛の甘辛煮が出来る頃には卵も冷めてるだろうから、細く切って錦糸卵に仕上げる。
薬味だが、レモンは輪切り、大根はすり下ろし、小ネギは小口切りにしておけば、具材の準備はOKだ。
……おっと、めんつゆを忘れてたぜ。つけ汁用に薄めためんつゆを温め、みりん30ccを加えて軽く煮立たせてアルコールを飛ばしておく。
さぁ、仕上げて行くぞ。フライパン(大人数で食卓囲むならホットプレートがおすすめ)を熱してサラダ油大さじ1位をひいて蕎麦を軽く炒めていく。炒めていくと言っても焼きそばのようにガチャガチャと混ぜると蕎麦が千切れてしまうため、あまり混ぜずにかた焼きそばを作るようなイメージで焼いていく。
軽く炒まった蕎麦を広げ、卵、肉、海苔、レモン、大根おろし、ネギの順にトッピングしていく。どんな感じに盛り付けたらいいかは瓦蕎麦で画像検索してくれ。
蕎麦が少し焦げ目が付くまで待つ(弱火で4分くらい)。少しカリっとした所としっとりした所が両方あった方が美味いぞ。
ちょっと深めの皿につゆを取り、そこに蕎麦と具材を取り分けて食べる。食間と薬味のハーモニーが面白い。
「お待ち、下関の郷土料理『瓦蕎麦』だ」
今回はフライパンで焼いたので、俺が取り分けて出してやった。
「カリカリのお蕎麦って新しいわね」
「うん、ちょっと意外かも」
「それよりレモンが合うのが驚きだよね~」
まぁ、蕎麦の麺を揚げてかりん糖とか作るから、カリカリの蕎麦が無いとは言わないが……あれはお菓子だからなぁ。さてさて、お次は何を作るかねぇ。
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