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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第九十六話 吸血鬼のお茶会その二

「まだ」
「夏だからね」
 例え夕方でもだ。
「そうだね」
「そうね、けれど」
「うん、その日差しもね」
「そろそろ弱くなるわね」
「こういう時間になんだ」
 まさにだ。
「出ると言われているんだ」
「逢魔ヶ刻ね」
「うん、夕方はね」
「特に夜になる刻に」
「その直前だね」
 まさにその夕刻から夜になるその瞬間が特にと言われている、二つの世界の狭間である時間だ。
「その時間が特になんだ」
「妖怪や幽霊が出るのね」
「あと丑三つ刻限だね」
 この時も言われている。
「出るのが多いというのは」
「そして夕方自体も」
「言われるね、妖怪は夜の存在だけれど」
「夕方から徐々に出て来て」
「この学園でもそうなんだ、ただね」
 この学園は特別だ、そうした話がとにかく多くてだ。
「ここはお昼も出るみたいだからね」
「昼も」
「そう、出るらしくて」
 それでだ。
「昼でも見たって人いるよ」
「それはちょっとないわね」
「そうした場所なんだ」
 とかく幽霊や妖怪の話が多くてだ、とかく。
「不思議な場所なんだよ」
「不思議過ぎるわね」
「うん、まあ夕方に話を戻るけれど」
 この時間自体にだ。
「そろそろ。日が弱まってきたら」
「ドラキュラ伯爵の登場ね」
「そうだよ、日光があっても」
 それでもだ。
「出て来るから」
「吸血鬼は日の光に弱いんじゃ」
「それ不思議に思ってたよね」
「違うの」
「それがまた違うんだ」
「日の光を受けたら死ぬんじゃないの」
「いやいや、それ映画のことだから」
 友奈さんにもこう話した。
「原作だとドラキュラ伯爵夕方に出歩いていたよ」
「あっ、そうなの」
「カーミラもね」
 もう一人の有名な吸血鬼だ、美女であり同性愛者でもある。美少女から血を吸うことで生きながらえている妖艶な吸血鬼だ。
「そうなんだよね」
「そうだったの」
「うん、吸血鬼は夜の妖怪だけれど」
 それでもだ。
「昼も動けるからね、日光には弱くても」
「それを浴びても死なないのね」
「そうだよ、ここ注意してね」
「よくわかったわ」
「ただ、ここの伯爵は人を襲わないみたいだよ」
 血を吸う存在であってもだ。
「そうした話はないね」
「トマトジュースを飲んでるのね」
「それ漫画だよね」 
 友奈さんの今の言葉にだ、僕はすぐに察して突っ込みを入れた。
「怪物くんだよね」
「そうよ」
「その漫画は僕も知ってるよ」
「あの漫画はまた違うのね」
「うん、面白い漫画だったけれどね」
 藤子不二雄先生の作品の中でも名作だ、ドラえもんや忍者ハットリくん、パーマンと並ぶ作品だと思う。結末も好きだ。 
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