オズのビリーナ
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第七幕その五
「貴女の悪い癖よ」
「本当のことだからね」
「言うっていうのね」
「そうよ」
「やれやれね、けれどね」
「おかしな意見よね」
「私が聞いてもそう思うわ」
トロットにしてもそうでした。
「御飯もパンも同じでしょ」
「というか先進国って何?」
ビリーナはこのことから言いました、ビリーナはお話を聞いていてこのことから不思議に思うのでした。
「多分いい暮らしをしてる国のことだと思うけれど」
「大体そうね」
ナターシャはビリーナに答えました。
「言葉の意味は」
「じゃあそれは人それぞれよ」
「オズの国でもそうね」
「オズの国はそれを言ったら先進国の中の先進国よ」
誰もがいい暮らしをしているからです。
「こんな幸せな国はないからね」
「そうよね」
「けれどオズの国では何でも食べるわよ」
「パンでも何でもね」
「ジャガイモでも御飯でもね」
それこそというのです。
「食べるわよ、何を食べても頭のよさは変わらないわよ」
「何かを食べて頭がよくなるなら」
トロットはトマトとチーズを食べました、赤と白の二色の組み合わせはお口の中に入れると最高に美味しいです。
「キャプテンの言う通り苦労しないわ」
「ガラスの猫もそうだけれどかかしさんもだね」
また言ったキャプテンでした。
「あの人も何も食べないよ」
「そもそもね」
「けれどオズの国で一番の知恵者じゃないか」
「そうよね」
「そういうのを見ていたら」
それこそというのです。
「その話がおかしいってわかるよ」
「大学の先生でも変な人いるんですね」
ナターシャはしみじみとして言いました。
「本当に」
「大学の先生だから頭がいいんじゃなくて」
ビリーナは胡桃を一粒一粒丁寧にお口の中に入れて食べています。その隣ではエリカがトロットにお皿の中に入れてもらったブイヤベースを食べています。
「その人自身がどうかよ」
「頭がいいかどうかは」
「そう、それに性格もね」
「大学の先生だから立派じゃないわね」
「その人自身よ、ノーム族でもそうよ」
皆が今いる地下の住人の人達です。
「かつてのラゲドー王みたいな人もいるけれど」
「いい人もいるわね」
「それぞれなのよ」
その人個人によるというのです。
「いい人かどうかはわね」
「そうしたものね」
「まあオズの国は大抵いい人だけれどね」
「そうよね」
「昔のラゲドー王みたいな人は滅多にいないわ」
これが現実です。
「この国にはね」
「けれどその人それぞれ」
「そういうことよ」
「わかったわ」
確かな顔で頷いたナターシャでした、そして。
お昼をさらに食べていってです、全部食べて誰もが満足したところでテーブル掛けがなおされてそうしてでした。
冒険の再開です、皆はさらに進んでいきますが。
途中に道にです、一匹の大きなモグラがお顔を出していました。
そのモグラさんを見てです、ビリーナは言いました。
「あら、迷い出たのかしら」
「この地下道に?」
「ええ、ここは普通はモグラさんは出ないけれど」
「そうなの」
「だって土の中じゃないから」
地下にあってもです、こうナターシャ達にお話します。
「だからお顔を出さないけれど」
「あのモグラさんは出てるわね」
「どうしたのかしらね」
「ちょっと聞いてみましょう」
こう提案したのはトロットでした。
「モグラさん自身にね」
「どうしてお顔を出しているのか」
「そのことをね」
「そうね、それがいいわね」
ビリーナもその言葉に頷きました。
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