オズのビリーナ
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第七幕その一
第七幕 地下への入口
自分のお国をお花で飾ろうと決めてそのお花の一つに虹色の菫を選んだビリーナは菫の種がある地下世界に向かうことにしました。
そのことを決めてです、今回の冒険を共にするキャプテンとトロット、ガラスの猫、エリカ、そしてナターシャ達五人に言うのでした。
「地下は地上とはまた違うのよね」
「ええ、私も何度も行ってるけれど」
トロットが応えます。
「あそこはね」
「地下は地下でね」
「世界が違うわね」
「オズの世界でもよ」
その中にあることは事実です、ですが。
「また違うのよね」
「ええ、私達はこのことを知ってるけれど」
「あんた達ははじめてだからね」
ビリーナはナターシャ達にお顔を向けて言いました。
「注意してね」
「ええ、私達は地下ははじめてよ」
実際にとです、ナターシャが答えました。今は皆で地下世界の入口にビリーナの案内を受けて向かっている最中です。
「だからね」
「不安はあるわね」
「どうしてもね」
「だから私達から絶対に離れないことよ」
ビリーナはナターシャだけでなく五人に強い声で注意しました。
「くれぐれもね」
「ええ、わかったわ」
「迷ったら駄目だから」
「地下は迷路みたいになっているからね」
キャプテンも五人に言います。
「わし等についてくるんだよ」
「はい、若し迷ったら」
「もうその時は」
ジョージと神宝がその場合について考えて言います。
「大変なことになりますね」
「迷子になって」
「そうならない為にも」
「まずはぐれないことですね」
カルロスと恵梨香も言いました。
「第一に」
「それが一番いいことですね」
「そういうことでお願いするわね」
ビリーナは五人にあらためて言いました、そして。
自分の左隣にいるエリカと右隣にいるガラスの猫にも言いました。
「あんた達もよ」
「あら、私達もなの」
「迷子にならない様にって言うの?」
「だって猫はね」
それこそというのです。
「ちょっと何かあったらそれに気を取られるでしょ」
「好奇心旺盛っていうのね」
「そう、だからね」
それでとエリカに言うのでした。
「気をつけなさいね」
「好奇心旺盛の何処が悪いのよ」
「そうよ、いいことじゃない」
エリカだけでなくガラスの猫も言います。
「猫はそうあるべきよ」
「猫の高貴さの証の一つよ」
「いいと思ったものには絶対に関心を向ける」
「悪いことじゃないでしょ」
「そっちに気を取られてふらって行くことは駄目なのよ」
ビリーナが言うことはこのことでした。
「迷子になるもとだから」
「特に迷路みたいな場所だと」
「地下世界だと」
「そう、だから気をつけてね」
「やれやれね、私達にまで注意するなんて」
「徹底してるわね」
「そうしないと、むしろナターシャ達よりもね」
さらにというのです。
「あんた達には注意が必要よ」
「そう言うのね」
「全く、長い付き合いだっていうのに心配性ね」
「用心には用心を重ねることよ」
ビリーナは毅然として言いました。
「そうしてことを進めていくことが成功の第一歩よ」
「そうしたことをわかっているのがビリーナだね」
キャプテンはそのことを見て言いました。
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