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終わらないジングルベルを ~ラブライブ!サンシャイン!!アンソロジー企画~

作者:高田黒蜜
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一番の笑顔

 
前書き
こんにちは!どうも嘆きの妖精です(^_^)ノ

さてさて今回の話はクリスマスかお正月ということなので自分はクリスマスで書きました!

ちょっと主人公が偏見が凄いかもです^_^;

それではどうぞ! 

 
「はぁ~」

学校からの帰り道を歩いているとふとため息が漏れる。


吐く息が白い。


季節は冬……今日は世に言うクリスマスという日。


世の中で一番嫌いな日。


クラスのみんなは「今年もクリボッチか~」「俺はボッチじゃねぇけどな!」などと盛り上がっていた。



正直………



どうでもいい



クリスマスが1人とか2人とか……2人だからなにかあるのか?別に死にやしないんだからさ。それに家族が居るくせに1人とか言うなよ。こっちは……

「くそっ……イライラする」

家に帰っても誰かが出迎えてくれるわけじゃない。母さんは俺を産で5歳を過ぎるといつの間にか居なくなっていた。父さんは仕事が忙しくいつも帰ってくるのが遅い。

だからクリボッチって言うのは俺みたいな奴のことを言うんだよ。家族が居るのにクリボッチとか言いやがっておもしくねぇしイライラする。

視界に入った道に転がってる石を歩きながら蹴り飛ばした。

コッ!と音を立てて前に転がった。

石を蹴ったくらいでイライラが収まればいいのに……どんなに思ってもこの怒りが鎮まることはない。

転がった石に近づき再び蹴り飛ばした。

次はカッ!と音を立てて壁に当たった。

「壁でも蹴ってやろうかな……」

人の家の壁を蹴ろうか悩んだがやめた。

これ以上このイライラを他にぶつければさらに面倒ごとになる。だから自然に鎮まるのを待つしかない。

「なーにしてるの~?」

「あ?」と言いながら後ろに振り返った。

もし知らない人だったらどうするって?この声には聞き覚えがあるし、自分の声の次に聞き慣れてる声だ。

オレンジ色のショートカット、頭のてっぺんにはアホ毛、かめかみの右は三つ編み、左は三つ葉のクローバーのピン留めで止めてる娘。

「んだよ、千歌か……」

「んだよはないでしょ!」

うるせぇ……。千歌とは小学校からの付き合いだ。付き合いと言っても仲が良いってことだからな。彼女じゃねぇ。

今は浦の星女学院でスクールアイドル、AQOURSのリーダーをやっている。やりたいことがないって言ってた千歌だがスクールアイドルは続いているみたいだ。

あの千歌が長続きしてるスクールアイドルはやってて楽しいんだろうな。まぁ曜も一緒にできて良かったって言ってたし。

それにスクールアイドルの認知度はかなりのものだ。アイドル類に全く興味のない俺でもスクールアイドルの事は少し知ってる。その知識は全部千歌からの受けよりだけどな。

「つうか今日は練習ないのか?」

「う、うん。今日はみんな用事があるんだ」

「ふーん」

怪しいなこいつ………。なんでみんなは用事あるのに千歌だけないんだよ。

さては千歌の奴……

「お前まさか……暇だから俺のところに来たな?」

「そ、そんなことないよ」

図星だな。そんなんで幼なじみの俺を誤魔化せると思ってるのか?俺と千歌は文字通り小さい頃から一緒に居る。さっきも言ったけど小学校からだけど、千歌のことはだいたいわかる。

すると千歌は俺のことを横から顔を覗いてきた。

「なになに?」としつこい千歌にデコピンをした。すると千歌はでこを抑えながらギャーギャー文句を言い始めた。

「もう!いきなりなにするの!」

「ギャーギャーギャーギャーやかましい。黙って歩け」

と言いながらポケットに両手を突っ込み、歩き始めると俺の横に来た千歌は腕を組んできた。

邪魔だし歩きづらいし鬱陶しいの三拍子だなおい。笑ってる顔がさらに腹立つな。

「はぁー……。なんで腕組んでるんだよ。鬱陶しい」

「いいじゃん!なに?まさか照れてるの~~?」

「3秒以内にどけろ。はっ倒されたくなかったらな。1……」

俺は左手で千歌のこめかみを掴み軽く力を入れた。いわゆるアイアンクローと言う奴だ。またの名をゴッドフィンガーとも言う。

「痛い!痛い!2と3は!?」

「男に2と3は要らないの。1だけ覚えてればいいの。わかった?Do you understand?」

「わかった!わかりました!」

千歌の頭から手を放した。その場から動かず千歌は頭を抑えていた。

まぁそんなに力は入れてないからな。誤解しないでくれよ。それに俺と千歌にとってはこんなの日常茶飯事だ。そして俺は千歌のあることに気付いた。

「お前冬なのに手袋もマフラーもしてないのか?」

「今日は持ってくるの忘れちゃったの!」

「お前はアホか?マフラーと手袋は冬の必需品だろ?」

「そういう君はどっちも付けてないから、説得力ゼロだよ……」

まぁそりゃそうだ。たまには、まともなこと言うんだな。それはどうでもよくて。さっさと帰るか。

「明日からはちゃんと付けてこいよ」

再びポケットに手を入れて歩き始めると、次は俺のポケットに手を入れてきた。

きつい、冷たい、めんどくせぇの3点セットか次は。

そう思いながらもその冷たい手をはじき出すことはしなかった。逆にポケットの中で手を握った。

「手……暖かいね」

「お前の手が冷たいだけだ」

「でも手が暖かい人は心が冷たいって……」

「ホントお前は余計なこと言うの好きだよな」

「なんか余計なこと言った?」

言ったからそう言ったんだよ………。何回も言うけどそういうところはアホだよな。まぁもう慣れたけど。

俺はその足で千歌の家に向かった。

またあの人に絡まれるのか………





「ただいま~」

「お邪魔します」

千歌の家の中に入ると居間には台所で食器洗いをしている、志満姉さんの姿があった。

「あら~いらっしゃい」

「お邪魔してます」

「後でおやつ持っていくわね」

「ありがとー」

居間を後にした俺と千歌は千歌の部屋に移動した。ここに来るのももう何回目だろうか。小さい頃から何度来ているため覚えていない。

でも2人とういのはあまりない。最近は曜と梨子を入れて4人とかが多い。

「結局来ちまった……」

「いいじゃん!いいじゃん!どうせ暇でしょ?」

「そのどうせはやめろ。またアイアンクローされたいか?」

「それは勘弁してよ………」

暇なのは暇だけどどうせとか言われるのは気にくわない。こっちがいつも暇してるとか思われたくないからな。

すると部屋のドアが開き志満姉さんがお盆を持って入ってきた。お盆の上にはお菓子やお茶が乗っていた。

「千歌ちゃん練習なかったの?」

「うん。みんな用事があったからなくなったの」

「あらそう~。だから一緒に帰ってきたの」

ん?志満姉さんはなにか勘違いをしているようだな。

「いやいや。俺は千歌と付き合ってる訳じゃないですよ」

「え?まだ付き合ってなかったの?」

「なんで付き合う予定なの!」

「そうそう。千歌の言うとおりだ」

どうやら俺と千歌は付き合ってると思ってたらしい。さすがに俺と千歌が付き合うのはないな。千歌もこんな男嫌だろうし。

「でも、そのうちわかる時がくるわよ」

志満姉さんは謎の言葉を残して部屋を出て行った。

どういう意味だ?そのうちわかる時が来るって………

因みに俺と千歌はよく付き合ってるの?と聞かれる時が多々ある。それはお互い一緒らしい。まぁ理由としては仲が良いのといちゃいちゃしてる訳ではないけどお互いに触れることが多い。例としてはさっきのアイアンクロー辺りだ。

「志満姉まで……」

「まそんなに気にしてもしょうがないだろ?」

「それは…そうだけど」

「ああは言うけど、志満姉さんは彼氏とか居ないのか?」

「うん。全く聞かない」

確かに俺もたまに出掛けた時に買い物してる志満姉さん見ることはあるけどそれ以外はないな。ん~気になるな。

「あ、でも美渡姉さんは彼氏とか居ないよな~」

「あ~確かにね。だって美渡姉に彼氏出来たら大事だよ」

「だな。あの美渡姉さんに彼氏はない」

この時俺はかなり油断していた。まさか居るとは思わず結構大きな声で言ってしまった。

「なんだって?誰が彼氏が出来ないだって?」

「げっ!?美渡姉さん………」

「げっ!?じゃないわ!げっ!?じゃ!」

俺の後ろに美渡姉さんに回りこまれ頭をグリグリされた。

「痛たたたた!ギブ!ギブ!だから!」

ようやく解放された。まだ頭がいてぇ………。それに千歌の奴は笑ってやがるし。後で同じことしてやろうかな。

「あんたいつになったら懲りる訳?」

「いつか」

「もう一回やられたいのかな?」

「すいません。もう懲りました」

くそっ……いつになっても美渡姉さんには頭が上がらない。

なぜ俺が千歌の姉を姉さんを付けて呼んでる理由は簡単だ。小さい頃からお世話になってるからな。まぁ美渡姉さんとはしょっちゅう口喧嘩とかするけど勝てない………だから頭が上がらないのだ。

「でも美渡姉さんに彼氏が居ないのは事実だろ?」

「それはそうだけどさ~。聞いてよ、仕事も仕事で忙しいしさ」

「確かに美渡姉、帰り遅いよね」

「そうそう。こないだ上司にコピーの仕方間違って怒られちゃって」

どうやら美渡姉さんも仕事が忙しいらしい。なんやかんやバカにはする美渡姉さんだけどいつもこうやって話に混ざってくる。だいたい愚痴ったりして終わるんだけどな。

「世間はクリスマスとか言ってるけど大人は仕事だよ」

「その前に俺にクリスマスとかいう概念はない」

「あんた寂しいこと言うね~。で、2人はいつくっつくの?」

「「それはない」」

お互い即答だった。どこか悲しいと思ったりしたのは最初だけだ。それに俺は「いつくっつくの?」とか「いつ付き合うの?」とか言われるのが嫌いだ。

「あんたたち変なところで気が合うよね」

「例えば?」

「私に対抗しようとしてくる時とか」

「あっ、確かに」

まぁ千歌の言うとおりだな。でも2人でも歯が立たないけど。

こないだはプリンを食べられただの千歌が言ってたから2人の話を聞いてたけどいつの間にか千歌側に付いてた。そう考えると変なところで気が合うのかもな。

「もうこんな時間か」

「あっ、本当だ。私は志満姉の手伝いしてくるね~」

そう言って美渡姉さんは部屋を出て行った。

てことは俺もそろそろおいとまするかね。このまま行くと夜ご飯を千歌の家で食べることになるし。

「んじゃ俺も帰りますわ」

「えー、ご飯食べていきなよ~」

「AもBもCもDもねぇよ。もうすぐ俺のパピーも帰ってくるから今日は遠慮しとく」

「パピーって………。わかった。外まで送るよ」

鞄を持って俺も千歌の部屋を後にした。家を出る前に志満姉さんと美渡姉さんに挨拶をしてから家を出た。

まだ6時半くらいなのにもう暗い。遅い時間帯になると車の通りも少なくなる。俺の家と千歌の家はそんなに遠くはない。歩きながら話始めた。

「今年のクリスマスは話して終わったな」

「そうだね」

千歌の表情はどこか寂しそうだった。

なんかこいつ今日は変だな。

「どうかしたか?」

「えっ?なんで?」

「なんか元気ないなって思ってさ」

帰り際でも元気が有り余ってるのに今日の千歌は違った。緊張してるのか?でも緊張するような関係でもない。なにか言いたそうな表情はしてるのはわかった。

そう考えてるうちにいつも千歌に送ってもらえる場所まで来た。

「んじゃーな」

「うん。じゃあね」

千歌に背を向けて歩き始め、左ポケットから赤いイヤホンを取り出した。

絡まってる………こういうのムカつくよな。

「ねぇ!」

「ん?」

後ろから張り上げられた声。振り返ると千歌が走って追いかけてきた。

「な、なんだよ」







「私ね、あなたの事が好き」








「はい?」

かなり…いや。かなり突然な告白。あまりのことにイヤホンが絡まってるのをとることを忘れた。

そこだけ時間が止まってしまったのかのように、ただ横を車が通っていった。

「お前……本気なのか?」

「うん。さっきは、それはないとかすぐに言っちゃったけど……本当は前からあなたのことが好きだったの」

真剣な表情で話千歌からは嘘は感じられなかった。相手が本気なのにふざけた返しは出来ない。

俺の本当の気持ち…………

「お前も物好きだな。クリスマスに1人でイラついてる奴を好きになるとは…………」








「でもまぁ………退屈はしないかもな」

「ってことは……」

「おう。こんな俺でも良ければな」

「やったー!」

「はしゃぐな。……ん?」

目の前に落ちてきた白い物。上を見上げると空から雪が降ってきた。まるで俺たちのことを祝福してくれるかの様なタイミングで。

「雪だね」

「ああ。グットタイミングだな」

イラつきから始まったけど最後には良いことがあって良かった。後で志満姉さんとか美渡姉さんになにか言われるのは確定だな。

でもお陰で始めてクリスマスが最高な日になったし。

「千歌、ありがとな」

「うん!」

この日千歌の一番の笑顔が見れた。 
 

 
後書き
雪が降るとスノハレとか冬がくれた予感がものすごく聴きたくなります(^-^)

さて今回は普通にオリ主が告白された話です。AQOURSかμ'sの誰かに告白されたらOK以外の言葉が出てこないような気がします^_^;

このような企画に参加出来て楽しかったです!
 
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