| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

~異世界BETA大戦~ Muv-Luv Alternative Cross Over Aubird Force

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

作戦会議

 
前書き
自分より一回りも年上の部下がいたとして、相手にもよると思いますが、ある程度の敬意を持って接するのって中々難しい事なのでしょうか。
常に効率・スピードを求められる職種ほど難しいのかも知れないですけどねー。
本当は、みんな笑顔で平和が一番!ですけどね。 

 
8月21日 21:00 オルフェーリア作戦会議室

俺が部屋へ入ると既に主要メンバーは揃っていた。
ユウナやタケルちゃんも着席している。
俺は空いてる席を探し、真ん中列の一番端の席に着席した。
視線を移すと前方の大きなモニターには資源惑星ラガールの地表図が映し出されている。
元々この星にいた資源採掘作業関係者3万人はBETAのハイヴが降着する少し前に全員が退避に成功した。
これは偶々至近の宙域で訓練航海中だった輸送艦隊が駆けつけて、そのほとんどの人員収容を行った為、迅速な避難が可能だったのだ。

そしてその地表図の中で赤い光点が4つほどあり、それはBETAのハイヴであった。
―――この短期間で3つもハイヴ増やすとは・・・・・。
しかもこの無人惑星のオリジナルハイヴはフェイズ4まで成長しているし・・・・・。
ほんとうにゴキブリよりも始末におえないな・・・・・。
「諸君、夜遅くに申し訳ない。ラガールへはあと4日で着くのだが、私は明日から3日間ほど留守にしなければならなくなったので急遽、事前作戦会議を開くことにしたのだ。」ディーは申し訳なさそうに俺たちに釈明している。
ま、仕事だし、別に気にしてませんよ。

「それでは早速だが、参謀チームで策定した作戦案を提示するので、諸君には忌憚のない意見を披露してもらい、修正点の洗い出しも行えればと思う。」あれ??ディー司令はああ言ってるけど、普通は参謀達が作った作戦案を司令部と参謀で検討・修正したものをブリーフィングで部隊に伝達、作戦開始の流れなんだと思うけどな・・・・これは参謀達頼りにならないって言ってるようなもんだよ。
彼らもプライドつぶされてるなきっと、かわいそうに・・・・?!って俺めっちゃ睨まれてるんだけど?!
いやいや俺のせいじゃないし・・・・。
―――ディーの隣に座っている2人の参謀将校は、明らかにダイスケをキッと睨んでいた。
憎しみの視線だけで人を殺せるなら、ダイスケは3回くらい死んでるかもしれないくらいに・・・・。

・・・あーあ、もう・・・せめて作戦案策定の時呼んでくれれば良かったのに・・・・面倒事が増えるとかお断りだよ全く・・・。
てゆうか、オリジナルハイヴ最初につぶしてから各個撃破の一択しかないと思うけどな、全く・・・。
「現在策定されている作戦案では4つの敵拠点のうち1か所づつを保有戦力全力でつぶしていくという作戦もしくは第14機動師団を連隊毎に分けて3か所同時に攻略し、残った最後のひとつを合流した全戦力で攻略する作戦の2つが提示されている。」ディーが、現在策定している作戦案を披露してくれたが・・・・。
あれ???・・・・・あっそっか!オリジナルハイヴがその星全てのBETAの司令塔だという事を皆知らないんだっけか!
タケルちゃんを見るとやはり気づいたみたいでうなずいている。
ユウナも何故かニッコリうなずいている・・・・・・なぜ??なんか知ってる??・・・・・いやいやあれは単なる愛想笑いだな、きっと・・・・・紛らわしいな、まぁかわいいからいいけど、うん・・・。
・・・そうすると、オリジナルハイヴの事をそれとなく示唆してやらないといけないんだけど・・・・・どうするかな?・・。
とりあえず携帯端末で・・・・ロドリグの戦闘詳報は・・・・・っとこれだ!
えっと、ハイヴの攻略情報と・・・BETAの活動記録と・・・んむー、時系列になってないから説得力にかけるなぁ、こうと知ってたら整理してから臨んだのに・・・・ピロン!ん?ユウナからメールだ。
・・・・・・・・おお!時系列でまとめられてるBETAの活動記録だ!これなら説得できるな・・・・ってなんで??ピロン!“貸しひとつね!今度の休暇に、わたしの話を聞くこと!”・・・・・・い、イエスマム・・・。
ユウナさんおそろしや・・・・なんで俺の求めるものがわかったんだろう??
ユウナを見るとにっこりと“ふぁいと!”のポーズをとっていらっしゃる・・・。
とても助かったのだけど、今度いろいろと問いたださないとな・・・・・。

「カミナガ中佐、情報部で何か追加情報があるかな?」おおう、いきなり振ってきたよ。
さて、ユウナにも手伝ってもらったし、サクッとやっちゃいますか。
「はい、まずはこちらをご覧ください」俺はさっき端末で検索したハイヴの攻略情報とユウナに送ってもらったBETAの時系列になっている活動記録をモニターの操作端末に送信して映し出した。
「これはロドリグでの敵の拠点攻略の推移と敵性生物の活動記録ですが、敵性生物がある時間を境に撤退行動あるいは活動鈍化しているのがわかります。」
ロドリグ戦でオルキス軍が攻略したのはオリジナルハイヴではなく、通常のハイヴだったので、頭脳級(コア)を破壊した時点では他のハイヴへと撤退しようとしたが、後半アマティス軍が最後に残ったオリジナルハイヴを攻略した際、重頭脳級を仕留めたときから全てのBETAが新たな命令を受けられなくなって活動鈍化したので、俺はそれを説明した。
そして「つまり、その惑星に最初に降着した拠点のボスが全体の司令を司っていると考えられるので、まずはこのオリジナルの降着拠点を潰してから、他の拠点を潰すとやりやすいのではないかと考えます。」
――――と締めくくった。
「なるほど、そういう事なら最初にオリジナル降着拠点を全力かつ迅速につぶしてから他の拠点を1個連隊づつで攻略するのが良さそうだ。」
ディー司令がさっさとまとめてしまった。
この会議の意味あったのか?・・・・・・・最初から俺が作戦の策定に参加するべきだったんじゃ・・・・?

「いえ司令、これはたまたまロドリグではこうなっただけ、とは考えられませんか?私はカミナガ中佐の見解には浅慮しか感じられず、検討の価値があるように思いません。」あー、来た来た・・・・すっごい形相で俺を睨みながらとか、あからさまだなぁ・・・・。
俺あの参謀部のおっさんに何かした覚えないんだけどな・・・・。
「司令!よろしいでしょうか?」ん?ユウナ?
「もちろんだホウジョウ中佐」司令ニコニコしてるな・・・。
「ラファリエス領でも掃討作戦が行われたはずですが、そちらから情報提供を受けて参照すれば真偽の確認が可能なのではないでしょうか?」なるほど、さすがだね。
さっそくラファリエス軍へ問い合わせが行われ、即座に戦闘詳報が送られてきた。
まぁ、参照する必要もなく全く同じ結果が出た。
・・・・・・・・・参謀部のおっさん、不貞腐れちゃってるな。
まぁ仕方ない・・・・・これは苦笑いするしかないな・・・・・。

ピロン!ん?ユウナからまたメールだ・・・・“あのセコイネン中佐は確か46歳。ダイスケ君と私は26歳。軍歴の長さが20年は違うのに同じ中佐なのだから、ね。”んーなるほど、やっかみって奴か。
それにしてもあのおっさん、セコイネンっていうんだ?それだけに、せこいねん・・・・・なんでやねん・・・・・げふんげふん・・・・やってもうた。
「さて、それでは作戦内容が固まったので、これにて解散。」全員起立して敬礼、司令が退出してそのすぐ後をセコイネンがそそくさとついていく。
「ありがとう、助かったよ。」俺はさっそくユウナに礼を言った。
「いいのよ!・・・・そのかわり約束だからね?」ユウナは満面の笑みだった・・・・・なんかこわい。
さて、気を取り直して、というか今日は本当に疲れたので早く寝ようっと!

翌日朝、士官食堂でケローグ(ええと、お察しのとおりコーンフレークのようなものの事です)とスクランブルエッグにカリカリベーコン、ミルクにオレンジジュースと、まるでシティホテルの朝食のようなメニューを堪能した後、アントワープに頼まれた演習管制官をする為にブリッジへと向かった。

今日から地球人組はラガールに着くまでにスクワイエルの操縦習熟訓練を行う事になっている。
アントワープは既にブリッジにいて何やら忙しく指示を飛ばしていた。
モニター越しに「レッドチーム、リーダーはウスイ中尉、ブルーチーム、リーダーはトーノ中尉です。」
「「了解しました」」碓氷と遠野が同時に応答している。
「ブルーチームは一人少ないので、私の部隊のうちランディール中隊から一人参加させます。シーモア軍曹、頼みますね。」
「は!お任せください。フリージア連隊の名に恥じぬよう奮闘いたします!」気持ちいいくらいの直立不動の敬礼だ・・・・・本当に心からランディールを、そしてアントワープを慕ってるんだろうな。
そういえば、帝国軍はG弾の爆発に巻き込まれたときには僚機がもう1機いたんだったな。
入江少尉って言ったかな?彼の機体(激震)はちょっと離れた場所で無残な状態で見つかったんだっけ。
検証ではBETAにやられたのではなく、爆発で破壊されたようなので、最悪の死に方ではなかったのがせめてもの救いだったな・・・。

「よし、では始めます。まずは無重力環境下での操縦感覚を掴むために、左舷方向から2周し、その後反転、右舷方向から2周してください。その次は天頂方向へ20宇宙キロ進んだ後、反転して戻ってください。」
アントワープの命令一下、12機のジクレータMk4は一斉に所定のコースを突き進む。
――――全行程30分ほどで戻ってきたのだが、皆感覚は掴んだみたいだ。
特にA-01の連中は馴染むの早い気がするな。
いや、帝国軍の連中も精鋭らしくかなり習熟度高いのだが(特に遠野中尉なんかは)、連携という面も含めると今のところA-01の方に軍配が挙がるかな。

「よし、それではお待ちかねのフラッグ戦(チーム模擬戦)といきましょうか!・・・・・現在艦隊は
オルフェーリアを中心にちょうど二つに分かれています。」
アントワープがモニターを示すと進行方向を上方とした艦隊の俯瞰図が表示されるが、それはちょうど二つに分かれていた。
「天頂方向から見て右翼がブルー部隊の陣地、反対側の左翼がレッドの陣地とします。」
アントワープの説明に合わせてモニター上で右側の艦艇の表示色がブルーに変わり、左側の艦艇の表示色がレッドに変わった。
「それぞれの陣地の最深部にいるエルガウェインR級(戦艦)が本拠地となり、そこに到達して艦橋にロックオンした方が勝ちとなります。ブルー側はガムス、レッド側はジェイコフですね。」
モニター上ではそれぞれの一番奥に位置する艦が点滅している。

「何か質問はありますか?」
――――「禁則事項はあるのでしょうか?」遠野が早速に質問をした。
「そうですね、模擬モードになっているので兵装は無効になっているし、操縦ミスで艦艇に接触しそうになっても制御AIが防いでくれるので、特に注意点はありませんが・・・・あ、そうそう、そういう兵装の用意はありませんが、格闘戦は禁止します!損傷する可能性がありますからね。」
そうして模擬戦の幕は切って落とされた。
 
 

 
後書き
巷はなにやらクリスマスムード一色のようですが、中止のお知らせは届いていないのでしょうか・・・?
さて、次回は「模擬戦」どうぞお楽しみに! 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧