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ガンダムビルドファイターズ ~orbit~

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孤独の戦い 前編

 
前書き
お久しぶりです。心はいつも自由(フリーダム)です。中々更新が出来ずに申し訳ありません…………ここからの話は、設定と話の内容が中々纏まらず、次の部まで書き終える必要がありました。

さて、今年もあと僅か。少なくとも前半は書き終える事を目標として書き進めていこうと思います!

では、本編をどうぞ! 

 
孤児院に帰った後、俺はアイツが言っていた言葉を思い出す。


『そうそう。僕以外にも知ってる人達はいるよ。それは、とても身近な人物だ。その人達は、あえて君に黙っている。レイがレイの過去を思い出させないようにね…………』


「どういう事なんだよ…………」

ベッドで仰向けになり、腕を頭の後ろに回して考える。

アイツ以外にも俺の事を知っている…………それは、とても身近な人物…………しょうがねぇ。今まで聞いて来なかったけど、この際聞いてみっか。

自室から出て、一階へと降りて目的の人物を探す。

「おーいレイナ。いるかー? 」

………………返事ねぇな。いつもだったら、はーい、いますよーって言って出てくんのに。用があって出掛けてんなら連絡が入ってるはずなんだけどな。
…………なんか嫌な予感がすんな。まさか、また拉致られたとかじゃねぇよな?

あの時と似たような感覚が離れず、玄関へと走って向かう。靴を履き、扉を開けようと手を掛けようとした瞬間、急に頭に強い衝撃が走った。

「いってーー!! 」

「あっ、ごめんなさいレイ君!大丈夫ですか? 」

「あー、大丈夫大丈夫…………拉致じゃなくてよかった」

扉で強く打った頭を押さえながら、安堵する。
気のせいでよかった…………。

「えっ?何か言いましたか? 」

「なんでもねぇよ。それよりもどこ行ってたんだよ? 」

「外の門の所にいました。なにやらレイ君宛てに小包が届けられましたよ? 」

「俺宛て?俺なんも応募してねぇんだけど」

「本当ですよ?ほら」

レイナが渡してきた小包には、確かに俺宛てのようだ。

「確かに俺宛てだな…………まあいいや。あとで開けてみっか」

小包を受け取り、ヒラヒラしながら戻ろうとすると、レイナに呼び止められた。

「あ、あと伝言も預かりました。受け取ったら自室ですぐに開封するようにと言われました。
もしかしてレイ君………………いえ、そういうお年頃ですし、仕方ないと言えば仕方ないですよね」

「違ぇよ!?さっきも言ったよな!?なにかに応募したことも頼んだ覚えもねぇよ!?なんでソッチの思考に行くんだよ!? 」

「冗談ですよ。レイ君はそういう人じゃありませんから」

冗談かよ…………まあ信じてくれてなによりだけど。……って待てよ。なんで伝言付きで渡されんだ?普通伝言なんてねぇよな?

「なあレイナ。これを届けた奴ってどんな奴だった? 」

「渡してきた人ですか?確か黒いスーツに黒い帽子に黒いサングラスを掛けた人ですよ? 」

「それ完全に怪しい奴じゃねぇかよ!?なに普通に対応してんだよ!?少しは警戒心を持てよ!? 」

「けど、渡されただけですし、物腰柔らかそうな感じでしたよ? 」

アンタそんなんだから拉致られんだよ…………あー、もういいや。諦めよう。

「それよりもレイ君。なにか用があって来たのではないのですか? 」

「あっ、そうだった。話があんだけど、いいか? 」

「私は別に構いませんよ?とりあえず、まずは伝言通りその中身を確認してからにしましょう。私は自室で待っていますので、確認次第呼んでくださいね」

「ん、分かった」

レイナに言われた通り自室へと一旦戻り、小包を開封する。

「……なんだこれ? 」

小包の中身は、手のひらサイズの箱と封筒、それと手紙が入っていた。

「なんだよこれ…………やっぱ怪しいじゃねぇかよ」

手紙から開封し、内容を確認する。

『封筒の中にある白いものから確認せよ』

「無駄にこってるなこれ…………」

今度は封筒を開封すると、黒と白の二枚が入っていた。手紙に書かれていた通り、白いものを取り出して見ると、どうやら写真のようだ。

ただし、写真に写っていたものはとんでもないものだった。

「…………なんだよこれ…………どういうことなんだよっ!? 」

写真に写っていたのは、拘束されているアマネの写真だった。目隠しをされ、両手両足を縛られている。

「連絡を………! 」

スマホを取り出してアマネに連絡してみたが、何度かけても繋がらない。

「くそっ! 」

スマホをベッドへと投げつけ、写真を握り潰す。

「誰がこんなことやりやがった…………! 」

小包の方へと視線を動かし、乱雑に封筒から黒いものと箱を取り出す。黒い紙には、箱の中身を見てからスイッチを押せと書かれており、箱の中身はアニメやマンガ見たいに耳に付けても分かりづらいイヤホンが入っていた。

イヤホンを左耳に付けてスイッチを押すと、ピーッという音が流れたあと、ネットリした男の声が聞こえた。

『写真は気に入ってくれたかな? 』

「テメェ…………ふざけんじゃねぇぞ!? 」

『安心したまえ。彼女に危害は加えていない。それに親族には友達の家へ泊まりに行くと連絡してある。誰にも心配はかけてない。君を除いてな』

「ふざけんじゃねえって言ってんだろうがっ!! 」

『分かっていると思うが、取引と行こう。応じるかどうかは君の自由だが、彼女がどうなるかは分からない』

「ぐっ…………! 」

『理解してもらえたようだ。こちらからの要望はシンプルなものだ。明日の試合に負けてもらえばいい』

「なっ!? 」

『試合中はこのイヤホンを付ける行うこと。それと、この事が誰か一人にでも漏れたら取引不成立として扱う。以上だ』

「待てよ!くそっ、切りやがったっ! 」

プツッと音がしたあと、ネットリとした声は途切れた。

わけわかんねぇよ!なんでこんなことばっか起きんだよ!ただでさえ今日の事もあるっつうのにっ!!

イヤホンを外し、八つ当たりするかのようにベッドへと投げつける。

「はあ………はあ…………なんで…………。なんで、俺ばっかりこんな目に合わなきゃいけねぇんだよ……」





ーーー--





ブルルルル……ブルルルル………ガチャ

「はい、もしもし」

『私だ』

「あなたですか。どうですか?きちんと出来たんでしょうね? 」

『もちろんだ。一番厄介そうな人物に圧力をかけた。あとはそちらの頑張り次第だ』

「感謝します。報酬は後日口座に支払います」

『分かった。では健闘を祈る』





ーーー--翌日





「やあやあ。皆揃って…………ないね。マヒルさんがいないね」

「珍しいな。二年間一度も遅れたことないのに」

「確かに、アマネにしちゃ珍しーな」

「マヒル……ドウしたんダロ……」

「…………………」

「うーん…………皆にも連絡来てないんじゃ、僕にも分からないな~。もう二十分前だし、ガンプラの調整もあるのに」

「問題ないだろう。元よりビルダー専行だ。いなくても試合はできるだろう」

「そういうことじゃないよサクラ。俺達は六人で一つのチームなんだから」

「風邪ってわけじゃねーよな? 」

「キノウはそんなヨウスナかった……」

「んー…………ひとまず、皆は試合の準備をしといて。ムウさんにも今連絡したし、すぐにミーティングをしといて。その間に、僕はもう一度連絡をしてみるよ」

「りょーかいッス」

「承知した」

「じゃあ行こっか」

「………………」

黙ってアキザワ達の最後尾にいると、誰かに裾を引っ張られる。誰かと思い見てみると、前にいたはずのセシリアが隣で引っ張っていた。

「レイ……ドウかしたノ? 」

「……大丈夫だ。心配すんな」

そう言ってセシリアの頭をポンポンとし、再び前へと向く。

結局、昨日はレイナから話は聞いていない。というかそれどころじゃなかった。何かしたくても何も出来ずにいる苛立ちや焦燥感で頭がいっぱいだった。

「…………」

ポケットから例のイヤホンを覗かせ、男から言われた言葉が頭に過る。

『明日の試合に負けてもらえばい。試合中はこのイヤホンを付ける行うこと。それと、この事が誰か一人にでも漏れたら取引不成立として扱う』

…………つまり、他の皆にバレないように負ければ、アマネは無事返してくれる。代わりに、俺達はここで敗退だ。シンドウにも借りは返せない。

「……………けど、それでアイツが助かるなら、別に負けてもいいよな? 」

誰にも聞こえないほど小さな声で呟き、イヤホンを握りしめる。





ーーー--





「結局来なかったね……」

「連絡もつかなかったみてーだし、本当にどーしたんだ? 」

試合開始時刻五分前になり、壁際で話している。

「ふん。どうせ寝坊か体調を崩し、情けなくて連絡が出来ないだけだろう。そこまで気にする必要など無いだろう」

「けど、ワタシはシンパイスル……」

「…………アイツなら大丈夫だ。明日になったらケロッとした調子で会えんだろ」

「ならいーんだけど…………よっ」

ヒメラギは俺の肩に腕を回し、三人から気づかれない程度に距離を取ってきた。

「カグラ。今日のオメー…………口数も少ねーし、なんか元気ねーぞ。もしかしてアマネ関連か? 」

「……違ぇよ」

「つっても、普段のオメーなら口悪くアマネの事ゆーだろ。もしかしてなんか知ってんのか? 」

「知らねぇよ。いいからほっとけ。昨日の事で考え事してただけだ」

「ほっとける訳ねーだろ。仲間なんだからよ。昨日の事ならもう気にしちゃいねーから、思いっきり戦えよ。んで、アマネに勝利報告でも入れよーぜ」

「……ああ」

「うし。んじゃ、行こーぜカグラ。サポートは任せろ」

回していた腕を解くと、小気味良く背中を叩かれた。

「…………待ってろ、アマネ」

ヒメラギの後についていき、アルケオニスガンダムを持ってバトルシステムに向かう。





ーーー--





「…………様子がおかしいよね? 」

隣に座っているヒロヤ君に話しかける。様子がおかしいというのは、レイ君の様子についてだ。

「…………そうだな」

「そして君もおかしいよね? 」

「気のせいだろ? 」

「いやいや。まるで知ってはいけないことを知ってしまった的な感じに見えるよ? 」

「ちっ。人の心を読むな。三回死んで二回生き返って土に還れ」

「元ネタがパワーアップしてるよそれ!? 」

「うるせい。気が向いたら話してやるから、今は試合を見届けてろよ」

「う~ん。マヒルさんの事や昨日の事もあるし、何か引っ掛かるんだけどな~」

「分かったから、大人しくしてろ。それより、次の対戦相手ってどこだよ? 」

「うっわっ…………せめてトーナメント表を見ててよ。次の対戦相手は、黒鉄(くろがね)学園だね。ムウさん情報だと、最近の戦績はウチと似たものだって」

「じゃあここまで勝ち上がってきたってことは、強くなってきたってわけか」

「かもね。けど、今回黒鉄学園と当たった対戦校はそこまででもないらしいし、戦っても天山学園と比べれば難しくないはずだよ」

「だといいけどな。さて、そろそろ試合が始まるし、俺達は見届けるとしよう」





ーーー--






「…………始まるか」

バレないようにイヤホンを耳に付け、対戦相手を見る。

条件はコイツらに負けること…………もしかしたら、コイツらが何かしたかもしれねぇな。けど、今はどうでもいい。

『GUNPLA BATTLE combat mode』

『Startup』

『Model Damage level Set to B』

『Please Set Your GPベース』

今は…………アイツを助けるために…………。

『Beginning plavsky particle 』

『Dispersal』

『Field 6 Ruins』

フィールドは廃墟で、薄暗い街並みだ。

『Please Set Your GUNPLA』

『BATTLE START』

「…………カグラ レイ。アルケオニスガンダム…………やるぞ」

「ヒメラギ トウヤ!ヴァサルティスガンダム!いくぜー!! 」

「サクラ!ティグリスガンダム!出る!! 」

「セシリア リート…………ブラウドライツガンダム…………イキます! 」

「アキザワ セイヤ!チームアスタリスクホープ!!発進する!! 」

バトルが開始すると同時に、イヤホンに機械音が流れた。そういや、スイッチを入れっぱなしだったな。

『試合中はこうして通話をさせていただく。状況に合わせて指示も行う。いいか? 』

「…………アマネは無事なんだろうな? 」

スザクモードに変形し、ティグリスガンダムを上に乗せて先行する。

『勿論だ。なんなら、映像をそちらに送ろう』

男がそう言うと、画面の右側に映像が映った。そこには、写真と変わらずアマネが拘束されたままだった。

『さあ。では健闘を祈る』

負けろって言っときながら、何が健闘を祈るだ。

「カグラ レイ。何をボーッとしている。撃墜されたいなら構わないが、私を巻き込むな」

「…………悪い」

「どうした?いつにもなく素直ではないか。気色悪い」

「うるせえよ。それより敵が見えてきたぞ」

正面を見ると、前衛に白いガバカーリーにヤークトアルケーガンダム。
後衛には黒白のダブルオーライザーに、GNソードⅡブラスターとGNソードⅡに変わってGNソードⅡロングを二本に変更。
右のGNドライブはGNソードⅡブラスター。左のGNドライブはGNシールドピット七基を装備している。

そして、中衛にはセラフィムガンダムをベースに 、両肩にはガンダム試作二号機のフレキシブル・スラスター・バインダー。 脚部にもガンダム試作二号機の装甲を追加している。武装は大型のトンカチの形をしたハンマーを装備していた。

 
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