とある地下の暗密組織(フォートレス)
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ep.018 『ghoulとfortressとGROWとその他』
前書き
結構空きましたね。まあ、何はともあれ続きです。
あと、2月の末ごろまでまたドロンさせていただきます。
「叶世さーん。叶世リーダー。」
と、後ろから聞いたことのある声が聞こえる。
振り向くとそこには、『島崎 光利』が女の子らしい走り方でこちらへと向かってきていた。
着き、調査の結果を少し呼吸を乱しながら言い始める。
「腐敗区、支配区の順に調査しましたが、特に不審な人物は見当たりませんでした。」
そこで呼吸を整え、一度落ち着いた後再び報告を続ける。
「ただ、途中で大きな爆発がありました。念のためその付近を詳しく調べたのですが、特に怪しい人とかはいなかったです。
」
と言うが、『島崎 光利』はもうすでに『奈津野 刹那』達をもう目撃している。それに彼女が気付かなかったのは彼女自身が純粋に彼らを、怖いと認識し無意識に視界から避けていたのだ。
そりゃ、外国人の武装集団とその後ろを堂々と歩く青年を見ればその気持ちもわかるが、彼らが武装している時点で報告しなくてはいけないということをまだ他のメンバーよりも歴の短すぎる彼女はその場で言えなかった。
というか、混乱のあまり頭が回っていなかった。
4人から5人へと変わった一行はまた再び本部へと足を進める。そこでまた話題が飛び出る。
「そう言えば、『|矢田<やだ>|姉<あね>』はどうした?」
支配区の管理者であり、この|第0学区<ちか>で最も恐れられている人物だ。今回は管理者にも応援を仰いだが時間指定まで詳しくはしていなかった。
まあ、相手が相手なだけに察してくれるだろうが、今来てもらった方が後々都合がいい。あいつが来ることで確実に腐敗区の管理者である弟は来る。
「あ、管理者さんならお店の方をお任せしています。」
いきなり叶屋が頭を抱える。彼女はそこにいるだけで抑止力となる人物だ。あの喫茶店は1人で店全体を回している特殊すぎる店だ。今あの店にいるとなれば、こちらの手伝いは不可能だろう。
(各区の管理者が手を貸すというのは事前に伝えていたはずなんだがな。)
まあ、今は良しとしよう。彼女がいるといないとでは途中経過が大きく変わるが、結果は同じだ。
まあ、望み薄だが『名瀬 極芽』等があの店に行ってくれることでも願っておくことにしよう。
そんな駄弁りもすぐなくなり会話は助っ人の学生二人、『島崎 光利』と『久安 唯』という組み合わせになり、叶世は完全に会話から切り離される。
彼にとってはこれこそが自然体。会話を基本的に苦手とする彼にとってこの状況は幸運なのだ。
道中、なんの邪魔もなく本部まで戻る。
帰って来て早々会議室に助っ人である2人を入れさせ、残っているメンバーも招集する。
残っている面子が揃いだした頃、気づいた。
夢絶がいない。
「またあいつは・・・・。」
さすがに頭を抱える。
「どうした、叶世。『無絶 叶』なら一人で腐敗区に行ってくると言って出たきり戻っていないが・・・・、そのことで合っているのかな?」
とやけに上から目線の『瀬貝 大丈夫』が言う。
知り合ってもう何年も経っているはずなのに、この距離感と話し方にはなれない。
「そうか。ならあいつは結局個人行動ということになるのか。あいつらしいが、集団意識が足りていない証拠だな。」
思わず全く同じトーンで返す。ここまで感情の出ない人間なのでそれを察知できるのはごく少数だが、一応そういう描写を入れておこう。
何故なら、一応は彼も人間なのだから。
と、夢絶以外の全員が集まっていることを確認した叶世が今回の助っ人として呼んだ二人を紹介する。
「少し待たせてしまってすまないな、この二人が今回地下の巡回の非常要因として雇った『Ghoul』の二人だ。」
拍手は全く沸かず、二人も急いでいるということを知っているので、叶世を少し急かすように見つめる。
「待て。お前たちのその気持ちは俺にも理解できる。今回狙われたのは『これまで俺たちが解決してきた案件』と『fortressと学園都市上層部との通信ログ』だ。」
続きを言おうとした時、会議室入り口に突如青い光の門が天井から現れ『島崎 向子』が落ちてきた。
着地するなり、
「ヤホー、ジュンジュン。頑張ってジュンジュンの欲しがってた情報見つけてきたよぉ~。」
不動の叶世に比べ他のメンバーは驚きを隠せない様子。特に地上からわざわざやって来てくれた二人は大きく動揺している。
「お、メガネ君に弟くんもいるんだぁ~。あ、これがその情報ね。君の性格から察してわざわざ紙にコピーして持ってきたんだから、もう少しだけ報酬のほうも上げてもらうわよ?」
と、机の上にファイルを置きカーリングが如く机の上を滑らせて言う。
「なら今度飯でもおごってやるから。」
その言葉に子供の様にはしゃいで喜んでいる『島崎 向子』を指さしながら『Ghoul』のメガネの方が口を開ける。
「なんで『これ』が此処にいる!」
明らかに怒りが感じとれる鋭い声。
それもそうだ。彼は以前、事前の情報よりも明らかに危険な依頼を彼女から受け、本当に死を覚悟するような状況に陥ったのだから。
その間彼女は、
「せっかく囮になってくれているんだから。」
等というよくわからない理由で依頼元の組織の情報を根こそぎ持って行って挙句に姿を消したのだ。
敵対こそしないが、嫌悪感を感じるには申し分ない理由になると言える。
「おい、そこまでにしておけ。それに、今回に限っては余り責めたててやるな。」
そういう叶世はファイルを手に取り中身を見ている。
その中身が何かはわからないが、彼の落ち着きすぎている表情が謎の安心感を生み出している。それが何か気になってきてしまいつい口から言葉がこぼれる。
「その情報というのはなんだ?『島崎 向子』が持ってくるということはそんなに役に立つ情報なのか?」
彼は自分たちが利用されたことを根に持ちつつも、仕事と自分の感情をしっかりと切り離す。
つまりは、彼女の少しねじ曲がった性格を知りつつも、彼女の技量をしっかりと称賛しているということなのだ。このような一大事にしょうもない情報や現状どうでもいいことは一切せず、慣れた手つきで『まるで嘘のように』有り余るほど多くの情報を持ってくる。
今回はファイルに紙が5枚ほどさらに半分で二つにクリップで分けられていた。
3枚の束を叶世がちらりとめくり見ている。死んだ魚の目に光は宿らず、不動の眼がただ分を見つめる。
「役に立つと言えば役に立つ。事実、今必要な情報かわからんがこいつが持って来るということは必要なんだろう。」
謎の信頼感を見せてもらって悪いが、今はとりあえず見せてもらう。
『アカウント』、『アナコンダ』。
その2つの言葉が分けられた2つの束のそれぞれに大きく書かれている。それをまじまじと見つめる叶世に『島崎向子』が一言。
「ジュンジュンは、やっぱり気になるの?」
叶世が見ているページ、そこに書かれている島崎向子と夢絶叶の名前。これまで3年間全く過去を知らなかった奴の過去まで乗っているのかと死んだ目に一瞬驚きという名の輝きが宿った気がしたがそれも刹那とでも言ってしまえる瞬間に消え、死んだ目が再び文字の羅列を見つめ始めた。
後書き
ようやく助っ人のグループ名が出ましたね。向こうではもう名前が出されているのでこちらで伏せておく必要性を考え直しています。
◾️
また、向こうの方の更新速度も速く、こちらで数週間かかってしまう文面を2、3日で描きあげてしまわれるのでちょっと面目ないです。
◾️
それに向こうの方のほうが描写がうまく、いつも別作品のような感じで読ませてもらってます。
ほんとお疲れ様です。これからも楽しみにしてますよ〜(*゚▽゚*)
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