オズのビリーナ
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第四幕その十一
「この国に来ることになるなんて」
「想像もしていなかったね」
「行けたらいいとは思ったことはありますけれど」
「それでもだね」
「はい」
キャプテンにもはっきりと答えます。
「来られて嬉しいです、それと」
「こうして来られたことにだね」
「感謝しています」
「神様にだね」
「そうしています」
「オズの国に来られることも不思議だよ」
こうもお話したキャプテンでした。
「この不思議な国にね」
「奇跡みたいなことだね」
「そしてその奇跡の国でだよ」
ここで言ったのは王様でした。
「私はこれ以上ない奇跡に巡り会えたんだ」
「奥さんと出会えたことね」
「そうだよ、我が妻にね」
こうトロットに答えます。
「そして今こうしてここにいることがね」
「奇跡なのね」
「この奇跡に感謝しているよ」
まさにというのです。
「オズの神様達にね」
「私もよ、この国に来られてこの人と出会えたなんて」
ビリーナも王様の横で言うのでした。
「これ以上はない奇跡よ」
「ううん、ビリーナもこの国に来られてよかったのね」
「とてもいいわよ」
こう恵梨香に答えるのでした。
「最初は大変だったけれど」
「ドロシーさんと嵐の中だったわね」
「そう、海に放り出されてね」
「死ぬかも知れなかったわね」
「どうもオズの国には死にそうになって来る娘が多いわね」
トロットを見て言うのでした。
「この娘とキャプテンさんもそうだったし」
「ええ、オークにしがみつく様にしてね」
「大変だったわね」
「ベッツイやドロシーさんも大変だったわね」
「ドロシーなんか竜巻で来たりね」
「嵐の中とかね」
「私と一緒にね」
まさにというのです。
「そんなのだから」
「普通死ぬんじゃ」
「そうだね」
ジョージと神宝も言います。
「竜巻とか嵐とか」
「ドロシーさん運がいいのかな」
「元々凄く運がいいんじゃない?」
カルロスも考えてみればという感じで言います。
「だからオズの国にも来られたんだよ」
「そうね、ドロシーの運のよさは天下一品よ」
まさにとです、ビリーナも指摘します。
「何かあっても絶対に助かる娘だから」
「そうよね、ドロシーは」
トロットもこのことに気付きました。
「どんなことがあっても大丈夫だから」
「あんな嵐だったら」
ビリーナは自分がドロシーと一緒にオズの国に来たその時のことを思い出します、思い出すとそれこそです。
「普通海に飲み込まれて終わりね」
「そうなるけれど」
「ドロシーも運がよくて」
そしてというのです。
「私もね」
「それ自体が不思議だよ、ここに来るまでも不思議でね」
キャプテンがビリーナに応えます。
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