ライブラリー=ラブ
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第一章
ライブラリー=ラブ
夢野寿美礼は毎日図書館に通って本を読んでいる、友人の夜空真礼はその図書館で彼女を見て声をかけた。
「今日もいるの」
「うん、そうだけれど」
色白で目ははっきりとしていて頬は少しふっくらとしている、睫毛は長く眉は細く奇麗なカーブを描いている。
髪の毛は黒のロングヘアで背は一六〇程、胸はかなり目立っている。その寿美礼に対して真礼は髪型は寿美礼と同じだが口は少し波がかった感じで黒目がちの切れ長である。顔の形は面長で眉は自分で整えている。背は一五五程で胸は普通位の大きさである。二人共今は通っている高校の制服である濃紺のブラウスと青系統の色でまとめたタートンチェックの短いスカートに白いブラウスと緑のアスコットタイの制服を着ている。寿美礼は黒ストッキングだが真礼は絶対領域のある白いハイッソクスで脚を覆っている。
「この通り本を読んでね」
「部活でも本読んでるでしょ」
「脚本書くこと多いから」
だからとだ、寿美礼は真礼に答えた。二人共演劇部に所属している。
「だからね」
「それでなのね」
「本を読んでるの」
「そうなの、ただね」
「ただ?」
「最近あんたロシア文学の本ばかり読んでない?」
見ればプーシキンのスペードの女王を読んでいる、彼の代表作の一つだ。
「ずっと」
「面白くて」
それでというのだ。
「プーシキンにトルストイって」
「ドフトエフスキーも読んでたわよね」
「罪と罰ね」
「他にも読んでるわよね」
「ツルゲーネフとかね」
「またえらく凝ってるわね」
寿美礼の隣の席に座って言う、そう言う真礼は今度部活で演じる若草物語だ。
「ロシア尽くしで」
「本当に好きになったのかしら」
「ロシア文学が」
「そうかも。ロシアの文化とかね」
「大統領怖いのに」
元秘密警察の幹部で柔道やらサンボの達人だ、その手で何人か消しているだの普通に政敵が消えていくだの言われている。
「それでもなのね」
「あの国は昔からね」
「そうした人ばかりトップになってるの」
「そうみたいよ」
その大統領だけでなく、というのだ。
「どうやらね」
「怖い国ね」
「まあそうしたところね」
「ロシアの魅力?」
「最近そう思えてきたわ」
「ううん、やっぱりあんたロシアに魅了されてるわ」
ここまで聞いてだ、真礼はあらためて言った。
「面白いことにね」
「そうなのね」
「まああんたが好きならね」
それならとだ、真礼は友人に告げた。
「それでいいんじゃない?好きなものは人それぞれってことで」
「そう言ってくれるのね」
「というかね」
「というか?」
「人の趣味のことはね」
それこそとも言うのだった。
「言っても仕方ないでしょ」
「だからなの」
「そう、別にね」
「いいのね」
「私だってマッチョ好きだから」
所謂筋肉ムキムキの男がというのだ。
「ホーガン様みたいな」
「ハルク=ホーガンさんね」
「ああした人が好きなの」
「大柄で筋肉ムキムキの」
「強くて優しいね」
性格についても言う。
「所謂漢ね」
「真礼の好みはそうなのね」
「それで寿美礼は」
「男の人はね」
どうかとだ、そのロシア文学の本を読みつつ答えた。
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