オズのビリーナ
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第三幕その八
「そうするわね」
「ええ、そうしてね」
トロットも将軍に言います。
「貴女の好きなものをね」
「飲みものもそうしていいかしら」
「そうしてね」
「じゃあココアにするわね」
将軍が今飲みたい飲みものはそれでした。
「それにね」
「それじゃあね」
「クッキーやビスケットは果樹園から持って来て」
そしてというのです。
「ココアは淹れるから」
「じゃあその間は」
「あなたがお相手してくれるかしら」
将軍はご主人にお顔を向けて言いました。
「そうしてくれるかしら」
「うん、いいよ」
ご主人は将軍に笑顔で応えました。
「それじゃあね」
「私はお菓子とココアを持って来るから」
こうしてです、将軍が用意に入ってです。
皆はご主人に案内されてお家に入りました、そして木造の広いお家の中のリビングでお菓子を待つ間楽しいお喋りに入りました。
するとです、エリカはいきなりご主人に尋ねました。
「あんたいつも奥さんの言いなりね」
「そう言うんだ」
「だってそうでしょ」
ぶしつけにです、エリカはテーブルの上にちょこんと座って自分の目の前にいるご主人に尋ねるのでした。
「奥さんああしろこうしろばかりでしょ」
「それは違うよ」
「違うの?」
「そう、違うんだよ」
実はと言うご主人です。
「僕はいつも妻のアドバイスを受けているんだ」
「命令じゃないの」
「命令じゃないよ、だって果樹園に植えるものも御飯のメニューも家の仕事のことも全部僕が決めているんだよ」
「あら、そうなの」
「そう、妻はその決定に従ってくれているんだ」
「じゃああんたがお家のことを」
「全部ね」
決めているというのです。
「妻はその決定にアドバイスはしてくれてもね」
「反対はしないの」
「僕を立ててくれているよ」
「全然そうは見えないわよ」
「実はそうなんだよ」
このお家はというのです。
「結婚した時からね」
「ずっとそうなの」
「僕が気付かないこと、忘れていることをね」
「奥さんがフォローして?」
「言ってくれているんだ」
「ううん、そうなのね」
「かかあ天下と思っていたね」
ご主人はくすりと笑ってエリカに聞き返しました。
「そうだったね」
「ええ、そうよ」
これまたはっきりと答えたエリカでした。
「あんた奥さんの尻に敷かれてるって思ってたわ」
「やっぱりそうなんだね」
「だって将軍はオズの国で大叛乱を起こした位の人で」
そして一時はエメラルドの都の主になていました。
「物凄く気が強いじゃない」
「確かにしっかりしてるけれど」
「それでもなの」
「そうだよ、妻はとても優しくてね」
気が強いのではなくしっかりしているというのです。
「いつも僕と家のことを気遣ってくれているんだ」
「それでなの」
「そう、いつも感謝しているんだ」
まさにというのです。
「いい妻だよ、そしていい母親になるね」
「思っていたのと全然違うわね」
ガラスの猫も言います。
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