ドリトル先生と沖縄の蛇達
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第三幕その四
「ここはね」
「そうだったんだ」
「王様の宮殿だったんだ」
「そうしたお城だったんだ」
「そうだよ、だからまた違うんだ」
日本のお城とはです。
「そして天守閣もないね」
「そうそう、それが一番大きいよ」
「日本のお城には大抵あるよね」
「ないお城も確かにあるけれど」
「今残っているお城には大抵あるよね」
「大阪城とか姫路城とか」
「凄い天守閣あるからね」
こうしたお城達にはというのです。
「大阪城の天守閣って立派だよ」
「あれで三代目っていうけれど」
「何度登ってもいいね」
「勿論姫路城も奇麗で」
「本当に白鷺みたいで」
「熊本城もいいね」
皆日本の天守閣のお話もしますが首里城にはありません、先生は皆にどうしてこのお城に天守閣がないのかもお話しました。
「沖縄は台風が多いね」
「あっ、そういえば」
「何かあるとすぐに来るよね」
「この季節なんか特にそうで」
「日本では台風はまずここに来るよね」
「この沖縄にね」
「そう、だから高い建物はね」
そうした建物を建てるとです。
「台風の風で壊れるから」
「だからなんだ」
「高い建物は建てないんだ」
「天守閣もそうなんだね」
「あれは高いからね」
「そうだよ、あえて建てないんだ」
先生は皆にお顔を向けつつお話しました。
「ここではね」
「だから天守閣がないんだ」
「そういえば沖縄自体が高い建物全然ないね」
「どの建物も低いね」
「本州とか九州に比べたら」
「四国とも北海道とも」
「そういうことだよ」
先生は皆に穏やかな声でお話します。
「台風が多いからなんだ」
「成程ね」
「そうした事情でなんだね」
「このお城には天守閣がなくて」
「沖縄自体に高い建物がないんだ」
「今も少ないね」
高い建物はです。
「そうした場所なんだ」
「成程ね」
「そういうことなんだ」
「いや、いい勉強になったよ」
「やっぱり先生は色々知ってるね」
「お見事です」
これまでお話を聞いていた真喜志さんもにこりと笑って先生に言いました。
「よくご存知ですね」
「いえ、沖縄についてもです」
「学ばれたのですね」
「歴史学も研究していますので」
だからだというのです。
「ですから」
「沖縄の歴史もですね」
「学んでいます」
「何かです」
「何か?」
「私の仕事が楽になりそうですね」
ガイドさんとしてのそれがというのです。
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