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オズのビリーナ

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第二幕その十二

「夫は王様よ」
「貴女のお国の」
「私は女王でね」
「同列でもなのね」
「夫を立ててるのよ」
「貴女が思うにはなのね」
「そうなるわ、じゃあ行くわよ」 
 ビリーナは皆をあらためて先に先にと行かせます、自分が先導して。
 その時にです、ナターシャはお空を見上げて微笑んで言うのでした。
「この青いお空もいいのよね」
「オズの国のお空が」
「はい、ロシアだとどうしても」
 自分の横に来てくれたトロットにお話します。
「曇っていることが多いので」
「雪が多い国だから」
「冬が長くて」
「こうした青いお空はなのね」
「あまり見られないです」 
 特に冬はです。
「ですから」
「オズの国のお空も好きなのね」
「そうです、今は日本にいますけれど」
 留学して、です。
「日本のお空も好きです」
「ナターシャは青空が好きよね」
 日本人の恵梨香も言ってきました。
「いつも青空だと機嫌がいい位に」
「そうでしょ」
「ロシアではあまりないからなのね」
「そうなの、晴れることがね」
「それでなのね」
「好きなのよ」
「青空も普通にあるものじゃないのね」
 恵梨香はこのことも知ったのでした、ナターシャとのお話で。
「お国によっては貴重なのね」
「そうなの」
「よくわかったわ」
「アメリカもアラスカだとそうだね」
「中国だと四川かな」
 ジョージと神宝はそれぞれのお国のことを思い出しました、この二国にも青空になることが少ない地域があるみたいです。
「あそこは北極に近いし」
「四川はいつも曇ってるらしいからね」
「ブラジルは毎日決まった時間に降るんだよね」
 カルロスのお国はそうみたいです。
「スコールがね」
「ううん、雨が降ることはあっても神戸だと」
 どうかとです、恵梨香もお国のことから言うのでした。
「晴れが多いから」
「そうでしょ、その青空がね」
「ナターシャは好きなのね」
「雨が降っても」
 それでもというのです。
「青空になることが多いことは素敵なことよ」
「そうなのね」
「オズの国はいつも青空よね」
「だから余計になのね」
「私この青空が好きなの」
 見上げながらの言葉です、そのオズの国の青空を。
「ずっと見ていたい位よ、夜までね」
「夜になったら寝るわよ」
 ビリーナはこのことははっきりと言いました。
「いいわね」
「わかっているわ、それじゃあね」
「お日様が暮れるまで歩いて」
「それからよね」
「寝るわよ、いいわね」
「わかったわ」
 ナターシャはビリーナの言葉にも頷きました、そしてです。
 皆で東に向かって歩いていくのでした、緑の国から青の国へ。 
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