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英雄伝説 絆の軌跡

作者:フェルト
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第5話 華姫

 
前書き
皆さんはアップルパイ好きですか?
あのリンゴのシャキシャキ感、私は好きです。 

 
エステル達はジークの案内でグランセルの波止場に向かった。
自分が離れたことによりアガット達に被害が及んでしまった事、無関係の一般人2名を巻きこんでしまった事を悔やみ全力で走る。
やがて着いた波止場にはかつて情報部が使役していた犬型魔獣がいた。
ここが手紙にあったお茶会だと確信したエステル達は近くの倉庫で話し声が聞こえたのでそこへ向かった。
すると情報部の兵士が倉庫の荷受人に危害を加えようとしていたのでこれを無力化、荷受人に話をきくと新型エンジンのサンプルを盗まれてしまった事を聞いた。
情報部の狙いは不明だが大きさと重さ故、近くにいると判断して奥の方へ向かった。
暫く探索すると怪しげな物音がする建物を見つけたので突入を試みた。

「ふん、ようやく来たわね。エステル・ブライト」

「その声…カノーネ大尉!?」

「ここに来た時点で怪しいとは思っていたけどやっぱりね」

カノーネ・アマルティアはかつてリシャールの右腕として情報部を纏め上げていた。様々な裏工作を一手に引き受け知力はかなりのものである。

「多くを語る気はないわ。情報部の栄光のため足止めをなさい!」

そう言い残すと建物の中へ消え、兵士達が襲いかかってきた。
特務兵は近接と遠距離専用でそれぞれ別れている。
近接特務兵がエステルの動きを止めるため戦技『影縫い』を使うが見切ったエステルからカウンターを受けうずくまる。
その隙にシェラザードが鞭を振るい戦闘不能に陥った。
しかし数はまだ多い。
エステルとシェラザードが果敢に攻めるがやがて押され始める。
ケビンもボウガンを使い援護するが乱戦状態のため、狙いが定まらない。
このままでは埒があかないと判断したシェラザードは一旦下がり、導力器を駆動させる。
当然特務兵に狙われるがエステルとケビンが必死にフォローし、導力魔法『エアリアル』を発動させる。
エアリアルで宙に浮いた特務兵達が着地すると同時にエステルが旋風輪で吹き飛ばし残った敵をケビンが射る。
こうして何とか撃破するも時既に遅し、情報部が秘密裏に開発していた戦車『オルグイユ』が出て来てしまう。
カノーネの発言により狙いがグランセル城だという事が分かり後を追った。
波止場の入り口付近に来た所でユリア率いる王室親衛隊が止めに入るが黒の導力器、ゴスペルにより導力停止に陥ってしまう。
これを見たエステル達はケビンがユリアから渡された古代異物『封じの宝杖』をゴスペルに叩きつけることにより、莫大なエネルギーを受けたゴスペルをショートさせることに成功。
オルグイユが動かなくなったことによりカノーネ率いる特務兵とエステル率いる遊撃士の戦いが始まった。
カノーネは遠距離から導力銃を使いユリア中心に狙い撃つ。カノーネの狙いが自分だと悟ったユリアは狙いが定まらない様に絶えず動きカノーネに迫る。
エステルとシェラザードは周りの特務兵を狙う。
特務兵は一刻も早くカノーネの元に向かうため影縫いを中心に攻めてくる。

「くっ…流石に分が悪いわね」

「シェラ姉、一旦下がって!」

シェラザードは1回下がろうとするが特務兵に阻止され不得意な近接で何とか凌いでいる。

「ふーん…教授が目をつけているっていうから楽しみにしてたんだけど拍子抜けね」

「戦闘だけで決めてはいけませんよ。彼女の真の強さは別の所…そこに教授は目をつけたのでしょう」

「ふーん。よく分からないわ」

「きっといつか分かりますよ。あら…戦況が動き始めたようですよ」

エステル達に見付からないように気配を断ち倉庫の屋根の上から見ている2人組は様子を見ていた。
最初は特務兵達が押していたが途中でユリアがエステル、シェラザードのフォローに入りタイミングを見計らっていたケビンがヘルゲートで何人か気絶させるとそこから体制が崩れ始めユリアのSクラフト『ペンタヴァクライス』で決着が着いた。

「ふう、終わったか」

「流石ユリアさん。王国軍若手最強と言われるだけの事はあるわね」

「いや、私の剣はまだまだ未熟さ。それより公爵殿と君達の知り合い2人はいないのか?」

公爵はオルグイユの中から出て来た。助けられたことにより礼を言ったがエステルがメルトとレンの場所について聞くとさらわれたのは公爵1人だけだった。

「嘘…じゃあ2人はどこなの!?」

「2人…?ふふっははははは!」

「え?」

エステルがカノーネに問い詰めると突如狂った様に笑い始めた。
話を聞くと「おどろされていた」らしいがその言葉の意味が分からず?マークを浮かべているとどこからか声が聞こえ始めた。

「うふふ…今晩は。今夜はとってもいい星ね」

「皆さんの健闘はここから見させていただきました」

「レン、メルト…?何をやってるの?そんなところで…」

「そうですね…あの時とは立場が違いますし改めて自己紹介させていただきましょう」

「そうね。……執行者No.X殲滅天使、レンよ」

「執行者No.XX華姫、メルトと申します」

メルトは上品にスカートの端を指で摘まみ上げながら、レンは自分の背丈程もある鎌を構えながら自己紹介した。

「え…何言って…それにメルトのお兄さんとレンの両親は?」

「メルトの兄は嘘よ。エステル達が探してる偽物のパパとママならこれのこと?」

レンがそう言うと2人の男性と女性が現れそれを鎌で振り払い地面に落とした。

「な…何やってんのあんたはぁ!」

「落ち着くなさいエステル、それは人形よ!」

シェラザードの言うとおりそれは精巧な人形だった。
レンは脅迫状とエステルとケビン宛の手紙を書いたのは自分であること、メルトはエステル達の監視と計画が失敗しないようにレンのサポートとして生まれ持った能力を使いエステル達の行動を操作した事を白状した。
それが言い終わると巨大な導力人形が表れた。

「これは…超弩弓の古代異物?」

「結社で作ったゴルディアス級人形兵器、パテル=マテルです」

「そうよ。あんな人形と違って強くて優しくて頼りになるんだから」

ここでアガット達が急いでやって来た。

「なっ…これは…?」

「結社の人形兵器か…」

「それにあれに乗ってるのって…レンちゃんとメルトさん!?」

「ご機嫌よう、ティータ♪」

「昨日の昼間は楽しかったです」

突如表れた人形兵器。更にレンとメルトがそれに乗っているという事実から誰も動けずにいた。
暫くするとパテル=マテルのブースターが起動し、動き始めた。

「それでは皆様、今宵はお茶会に参加して下さり有難うございました」

「皆さんとすごした2日間、とても楽しかったです。特にエステルさんとは違った出会い方をすれば楽しいお友達になれたでしょう」

メルトとレンは挨拶を澄ますと結社の拠点へ向けて動き始めた。 
 

 
後書き
書いていたらすごい駆け足になってしまった…
次回は番外編(番外編の話を載せるほどの話数ではありませんが)になります。 
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