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デュエル・マスターズ~龍を使役する少年の物語~

作者:ガタック
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第15話:ボルシャック・ドギラゴンの弱点

 
前書き
 お久しぶりです。
 もうすぐ冬休みが始まる中、こちらの作品はまだ夏休み前……。
 しかも、今回も前編後編の2話構成。そして、また前編後編の2話構成……この繰り返しです。
 そろそろ、モルト達の話を書きたいと思います。
 話数的には第20話の次、第21話以降をモルト達を中心に書きます。
 つまり、残り5話は勝達の話です。
 それでは第15話、どうぞ。 

 



「よし、できた!」
「んじゃ早速、回してみるか?」
「はい!」

 新しいデッキが完成した勝は早速、使ってみたいと思い、それを察したモルトは勝に提案し、それを聞いた勝はすぐに返事を返した。

「それなら相手は……」
「…俺がやる」
「えっ?龍牙さんが…!?」

 突然、自分から名乗り出た龍牙を見て勝は驚いてしまった。

「俺なら《ボルシャック・ドキラゴン》の弱点を知っている」
「《ボルシャック・ドキラゴン》の弱点……?」

 突然、龍牙が吐き出した言葉に勝は疑問に思い、問い掛けるも先にモルトが口を開いた。

「確かに。《ボルシャック・ドキラゴン》の弱点を知っている龍牙なら良い練習相手じゃないか?」
「……わかりました。やってみます!」
「決まりだな」

 話がまとまり、龍牙はデッキを取り出した。

「「デュエマ・スター―――――」」

「失礼します!」

 デュエマが始まろうとした途端、突如、多目的室に一人の少女が入ってきた。

「こちらに勝君はいませんか?」

「っ、は、はい!」

 自分の名前を呼ばれた勝は少女に近寄った。

「なぁ、龍牙」
「何だ?」
「あの子、誰?」
「……はぁ」

 モルトの問い掛けに龍牙は少し間を置いて溜め息を吐いた。

 それを見たモルトは何かまずいことを聞いたのか、と言わんばかりに、脳裏に?なマークを浮かべていた。

「忘れたのか?モルト?アイツは……――――――」

「『赤羽(あかばね) 結衣(ゆい)』。拓斗のクラスの女子で生徒会長を務めている」

 龍牙が口を開いた途端、つい先程まで拓斗の後を追っていた双子の兄、拓真が突然現れ、龍牙の代わりに目の前にいる少女について説明した。

「うわぁ!?拓真!?いつも間に!?」
「オレもいますよ!」
「お前もいたのか?拓斗?」
「酷い!オレもこの部の一員なのにぃ~!」
「まぁまぁ、そう落ち込まないの!男なら前向きにならなきゃ!」

 と、モルト達五人がそんな会話をしている中、多目的室に来た結衣は勝に耳打ちで「ちょっと、良いかな?」と、聞かれ、それを聞いた勝は一度モルト達に向き直る。

「すみません、モルトさん。少し席を外します」

 そう言って、勝は結衣と一緒に多目的を後にした。










「ごめんね、ショウ。急に呼び出したりして…」
「別に、謝らなくて良いよ。ユイちゃんが僕を呼ぶのは基本、〝兄貴〟か、デュエマ関連だからね。それで、話って?」

 部活中に急に呼び出して、申し訳ない気持ちで結衣は勝に謝罪し、それを聞いた勝は気にしてないと、そう言い、自分を呼び出した理由を彼女に問い掛けた。

「うん。実は最近、デュエマのカードが盗まれる事件が相次いで発生しているんだ。それで調べてみたら、盗んでる人達が私達と同じ、中学生なの」
「ふ~ん、それで?」

 興味なさでに勝は結衣に問い掛けた。

「それでって、なにも感じないの?」
「なにも感じないわけじゃない。ただ、どうすれば良いのか、聞いているんだ」

 結衣の問い掛けに、勝はそう言った。それを聞いた結衣は「はぁ」と溜め息を吐き、なにやら少し後悔したような顔だった。
 だが、ここまで話したからには最後まで話すことにし、結衣は覚悟を決めた。

「それで一つ、ショウに頼みたいことがあるんだけど…」
「頼みたいこと…?」
「実は……―――――」

 勝の問い掛けに結衣は彼の耳元で説明した。

「えっ!?」

 それを聞いた勝は驚いてしまった。










 それから時間は少し経過し、生徒会室。

 あの後、勝に依頼をした結衣は勝と別れ、一人、生徒会室に戻っていた。

「はぁ」

 ふっと、結衣は溜め息を吐いてしまった。
 理由は勝に頼んだ依頼は彼らの運命を大きく変えるかもしれない内容だったからだ。
 同時に……―――――



 ―――――本当にこれで良かったのか?



 と。脳裏でそう思い、1枚の写真と1枚のデュエマのカードを取り出した。

「〝兄さん〟ならどうしたんだろう?」










 一方、多目的室では……―――――

「呪文、《ゴースト・タッチ》。相手の手札を1枚、見ないで選び、捨てさせる」
「っ!?」

 ―――――勝と龍牙の二人がデュエマを始めていた。
 理由はユイが来る前、龍牙が《ボルシャック・ドギラゴン》の弱点を知っていると言っていたので、それが何なのか、勝は気になり、龍牙とデュエマを始めたのだ。

「ドロー。マナをチャージ。《トップギア》を召喚」
「俺のターン。ドロー。マナをチャージ。呪文、《ブレイン・タッチ》。こいつも、手札を1枚、捨てさせてもらう」
「っ!?」

 2ターン連続の手札破壊(ハンデス)。これではいつもの動きができない。脳裏でそう思った勝は急いで打開策を探すも、今の手札ではどうすることもできず、とりあえずマナを貯め、ターンを返す。

「俺のターン。ドロー。マナをチャージ。呪文、《エナジー・ライト》。山札からカードを2枚、ドロー。ターンエンド」

 今度は手札補充。明らかに勝との手札差をつけようとしている。
 すると、勝はあることに気が付いた。

「そのデッキ、〝ドロマー〟?」
「まさか、〝青黒〟という可能性も高いぞ」

 勝の問い掛けに龍牙はそう言った。

「いや!どう考えても、それ、ドロマーだろ!」
「何気にサイキックがある限り、〝ドロマー超次元〟だな」
「マナに光がある時点でドロマー以外、何があるの!?」
「全くっす!」

 上からモルト、拓真、アイラ、拓斗の順に四人はそれぞれ龍牙の返答を否定した。

 〝ドロマー超次元〟
 闇と水と光の三色の文明を使用したデッキであり、主に序盤からハンデスをし、強力なサイキック・クリーチャーに繋げ、反撃のチャンスを与えず、場を制圧していく。
 また、相手の山札を削って勝つ、LO(ライブラリアウト)を狙った戦術も存在する。
 最近では場を制圧して勝つより、LOを狙って勝つドロマー超次元が多い。

(これじゃ、手札に《ボルシャック・ドギラゴン》を持っても、すぐに手札に捨てられる…)

 確かに。手札に《ボルシャック・ドギラゴン》を持っていても、手札から捨てられてはなにもできない。ましては、革命0トリガーを使うこともできず、バトルゾーンに出すこともできない。

(……ん?待てよ?)

 この時、勝はあることに気が付いた。

(確か、革命0トリガーは自分のシールドが1枚もない時、相手のクリーチャーが自分にダイレクトアタックした時、手札に《ボルシャック・ドギラゴン》があることで始めて革命0トリガーの能力()が発揮する。それなら……)

 ―――それなら、自分のシールドがある時、相手のクリーチャーがシールド、ましてはプレイヤーに攻撃(アタック)せず、手札に革命0トリガーである《ボルシャック・ドギラゴン》が1枚もなければ、どうなる?

 答えは簡単だ。
 相手がなにもせず、ただ妨害して、最後にLOを狙ってきたら、革命0トリガーの意味がなくなる。

「どうやら、《ボルシャック・ドギラゴン》の弱点に気づいたようだな」
「……はい」

 それを察したのか、龍牙は勝にそう言い、それを聞いた勝は返事を返した。

「それなら、これ以上デュエルする必要もないな」
「……いいえ、続けます」
「ん?何故だ?」

 勝の意外な返事に龍牙は疑問に思い、勝に問い掛けた。

「……強くなりたい。ただ、それだけです」
「……わかった。付き合ってやる」

 勝の返答に龍牙はそう言った。

「それに、龍牙さんがそんなことを言うなんて、らしくないですね?」
「お前こと、こっちに戻って急にデュエマしろだの、強くなりたいだの、どうした?」

 質問を質問で返す。少し失礼なのは龍牙もわかっている。だが、あえて、ここは聞きたかった。彼の本音を。

「……僕に勝てたら、教えてあげます。勝てたら、ね?」
「……いいだろ!それなら、俺も全力でお前を倒す!」


 
 

 
後書き
 はい。今回はここまで。

 今回、龍牙が使用したデッキはドロマー超次元です。
 理由は最近ドロマー超次元が流行っているのと、作者もドロマー超次元を使っていたので、このデッキを選びました。
 本当は他のキャラに使わせたかったのですが、《特攻人形ジェニー》が一時期、黒単ドラグナーに使われていたので、それ繋がりでドロマー超次元を選びました。

 さて、新たに登場したキャラ、赤羽 結衣。
 彼女は一体何者なのか?

 そして、勝と龍牙―――二人の勝敗の行方は!?

 毎度、誤字脱字、ご意見、ご感想、表現のミス等よろしくお願いします。 
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