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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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471部分:第六十六話 獅子出陣その三


第六十六話 獅子出陣その三

「背には翼を生やし足がガチョウのだったな」
「そうだ、その魔神だ」
「流星に姿を変えるというが」
「アンデスとの戦いの時だ」
 先のミロと共に戦ったその時の話もしてみせたのであった。
「その時サタナキアが言っていた」
「あの男がか」
「アスモデウスが司るのは星だ」
 まさにそれだというのである。
「それがあの男の力だ」
「そうか、星か」
 それを聞いてまずは頷くアイオリアだった。
「やはりそうか」
「わかったな。これで」
「うむ。星を操る魔神か」
「その力、尋常なものではない」 
 そのうえでこのことも弟に告げた。
「よく覚えておくことだ」
「わかっている。相手は八大公だ」
 何といってもここにあった。アスモデウスという魔神のもとは。
「尋常なものではないのはわかっている」
「八大公、まさにトラキアの象徴だ」
「我等と同じくだな」
「そうだ。そして」
「そして?」
「おそらくあの者達以外にもいる」
 こうも言うのだった。
「八大公以外にもだ」
「というと一体」
 兄の今の言葉に問わずにはいられなかった。
「誰がいるのだ、八大公とエリスの他に」
「先の聖戦でそれが出て来たというが」
 アイオロスの顔はここで微かに曇った。
「何者かは文献には残されてはいない」
「そうなのか」
「しかしおそらくいる」
 それは察しているアイオロスだった。
「これからのトラキアとの戦いにおいて間違いなく姿を現わして来るだろう」
「というとまさか」
 アイオリアの脳裏にある存在が浮かんだ。それは。
「先の聖戦の時のあの」
「タナトスとヒュプノスか」
「あの二柱の神々の様な」
 その存在を話に出したのであった。
「そうした存在か」
「そうかも知れない」
 その可能性を否定しないアイオロスだった。
「若しかするとだ」
「そうか。まさかか」
「そのまさかであった場合はだ」
 話は仮定ではなかった。事実への対処を語るものだった。
「どうするつもりだ」
「倒すしかない」 
 これまた実にアイオリアらしい返答であった。
「その場合はな」
「そうか。そう言うのか」
「うむ」
 兄の言葉に対してまた頷いてみせた。
「俺はそう考えているが」
「正解だ」
「それでいいのか」
「戦うしかないのだ」
 そして彼もこう言ったのであった。
「若しアーレスが我々に勝利を収めこの地上を治めるとなるとだ」
「この世に平和はなくなる」
「あるのは破壊と戦乱だけだ」
 その二つだけになるというのである。
「火と炎」
 そしてこうした言葉を出していく。
「災難と恐怖の四つが荒れ狂うのだ」
「エリスの司る嫉妬やそういったものもだな」
「そうした存在がこれまで以上に世を荒れ狂い」
「人々を戦乱へと駆り立てる」
「それこそがアーレスの世界だ」
 彼等にとってはまさに魔界である。アーレスの望む世界とは。
 
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