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オズのビリーナ

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第二幕その二

「ブラッシングまでしてもらったのよ、香水までかけてもらってね」
「だからなの」
「そう、今の私は最高に奇麗よ」
 誇らしげに胸を張っての言葉です。
「あんた以上にね」
「言うわね、それはまた」
「事実だからよ、あんたには負けていないわよ」
「あんたはきらきらしてないじゃない」
 ガラスみたいにというのです。
「そしてハートや脳も見えないでしょ」
「そう言うあんたはふさふさしてるの?」
 エリカはここでも負けじと返します。
「私みたいに。香りはするかしら」
「だからあんたの方が上っていうのね」
「そうよ、きらきらしててもハートや脳味噌が見えていても」
 それでもというのです。
「ふさふさしてないし香りもないし」
「負けるっていうのね」
「私にはね」
「何か」
 ナターシャはソーセージを食べながら言いました、二匹を見つつ。茹でたソーセージはとても美味しいものです。
「どっちも同じだけね」
「奇麗っていうの?」
「ナターシャはそう言いたいの?」
「ええ」
 その通りという返事でした。
「どう聞いてもね」
「あら、そうかしら」
「私の方が奇麗でしょ」
「私の方が奇麗じゃない」
「どっちも同じだけじゃないわ」
「だって。ガラスの猫はガラスの身体が綺麗でハートや脳も見えて」 
 赤い宝石みたいなそれがです。
「エリカは毛と香りもだから」
「同じ位っていうの」
「どっちがどっちとは言えないの」
「そう思うわ」
 また二匹に言いました。
「というかそうとしか思えないわ」
「そうだよね、僕達にしても」
「同じだけだよ」
「ナターシャと同じだよ」
「そう思えるわ」
 ナターシャ以外の四人もこう言います。
「ガラスの猫もエリカも奇麗で」
「同じだけね」
「そもそもガラスも毛皮も違うから」
「どっちがどっちとは」
 言えないというのです、そして。
 ドロシーもです、こう二匹に言いました。
「毛皮と宝石の価値はそれぞれ違うでしょ」
「確かにそうね」
「そう言われるとね」
 二匹はドロシーに言われて応えました。
「違うわね」
「どうにもね」
「毛皮と宝石だと」
「また違うわ」
「それは貴女達も同じよ」
 二匹の猫もというのです。
「どっちがどっちとは言えないわ」
「そうなのね」
「そこは違うのね」
「それでなのね」
「優劣はつけられないのね」
「そんなことをしても意味がないから」
 だからというのです。
「言い合う時間があったら寝たり遊んだりした方がいいわよ」
「喧嘩をするよりも」
「それがいいの」
「そうなのね」
「それよりも」
「その方がずっといいわ、時間は楽しむ為にあるから」
 だからというのです。
「止めておくべきよ」
「わかったわ、じゃあね」
「私達も張り合うのは止めるわ」
「私は私、ガラスの猫はガラスの猫」
「同じ猫でエリカとは違うってことで」
「そういうことでね、じゃあ朝御飯も食べて」
 また言ったドロシーでした。
「そしてね」
「出発ね、私の国に向かって」
「ええ、私も貴女の国には立ち寄ったことがあるけれど」
 ドロシーはオズの国のあらゆる場所に行ったことがあるのです、オズの国きっての冒険家でもあるからです。 
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