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エクリプス(機動戦士ガンダムSEED編 )

作者:cipher
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第22話 平和の国へ

Side マリュー・ラミアス

トール
「艦前方に霧が発生しています。」

フラガ
「そんなバカな?こんな南洋の海で、霧が発生する訳ないだろう。」

光輝
「霧に侵入後、速力80%減速。宜しく艦長。」

マリュー
「霧に侵入後、速力80%減速!」

ノイマン
「は!」

光輝
「まもなく、誘導ビーコンが来る。艦を誘導ビーコンに合わせてくれ。」

ノイマン
「誘導ビーコン捕捉。ドックの着艦指示でました。進入ベクトル合わせ。」

トノムラ
「ビーコン捕捉を確認。」

ノイマン
「進路修正6ポイント、3マーク16、ポイント2デルタ。減速開始。」

眼下にドッグが映る。

ブリッジクルー達
「をぉー!」

マリュー
「これは?」

光輝
「エクリプス社の浮遊ドッグだ。」

アークエンジェルがドッグに着艦する。

光輝
「外部カメラの映像を浮遊ドッグからの映像に切り替えてくれ。」

サイ
「はい。浮遊ドッグからの映像に切り替えます。」

ドッグの上部甲板が閉じ、浮遊ドッグが海底に沈降を始める。

マリュー
「えぇ!」

浮遊ドッグからの映像は海底を捉えていた。
海底が開いて浮遊ドッグは開いた扉の中に着底する。

フラガ
「海底ドッグなのか?」

光輝
「いや、海底に見えるが、海底を偽装した。建設途中のギガ・フロートの中核だ。
建設資源はオーブが提供している。代わりにエクリプス社のオーブ支社の株を40%提供する。
実質このギガ・フロートはオーブの所有になる。」

カガリ
「私は何も聞いていないぞ。」

光輝
「それはそうだ、何せ誰かさんは砂漠でレジスタンスをしていたからな?
それより、カガリ達の正体を明かしていいのではないか?」

カガリはキサカと目を合わせて了解を得た。

カガリ
「私は…、私はカガリ・ユラ・アスハだ。」

サイ
「アスハって…」

ミリアリア
「代表首長の?」

キサカ
「オーブ陸軍、第21特殊空挺部隊、レドニル・キサカ一佐だ。これでも、護衛でね。」

ミリアリア
「あっちゃー、じゃぁやっぱり本物…。」

光輝
「ミスリルの仮入隊組はここで除隊とする。家族はオーブに招待してあるぞ。」

ミリアリア
「あー!」

トール
「わーい、やったー!」

サイ
「やった、よかった!」

ミリアリア
「トール、どうしよう!」

トール
「どうしようってミリィ、今から泣くなよ。」

カズイ
「俺家帰りたいよ!」

ミリアリア
「だって嬉しくって…、会えるのよ?」

トール
「元気かなぁ?」

フラガ
「アラスカまで…。」

光輝
「アラスカまでの護衛はミスリルの契約で、彼らの名前は記載していない。
雇用の権利はミスリルにある。」

マリュー
「抜け目ないのね。」

フラガ
「ストライクは誰が乗るんだ。」

光輝
「勿論、私が乗るよ。それに第8艦隊の補充員も訓練していたから実戦も大丈夫だ。
彼らをアラスカまで連れて行く必要がない。
それにバルキリーもリモートで私が操縦する。」

フラガ
「ストライクで戦いながら、バルキリーの操縦出来るのかよ?」

光輝
「出来るよ。逆の操縦は出来ないがな。キラ君とムーを合わせたより強いよ。」

「「…」」

光輝
「仮入隊組はご苦労様でした。後でエクリプス社の社員が迎えに来る。
それまでにはお世話になった、アークエンジェルのクルーの皆さんとお別れを済ましておくこと。
学業が途中までになっているので、エクリプス大学のオーブ校に推薦しておくよ。
学習システムを使えば、スキップして卒業出来る。
これまでの給料の受け取りと進路のことは、家族と相談するといい。
最後に軍務で知りえた情報は除隊後も守秘義務がある。」

「「は!」」

マリュー
「それで、私達はどうすればいいの?」

光輝
「整備と補給はエクリプスで行うのでクルー達は3日間休養の後、システムチェックと出港の準備、
艦長達はこれから会う人物に、直接聞いた方がいいだろうね。
オーブの獅子、ウズミ・ナラ・アスハ様にね。」

Sideout



光輝達は潜水艦でオノゴロ島へ移動した。
オノゴロは、軍とモルゲンレーテの島だ。



Side マリュー・ラミアス

ウズミ
「御承知の通り、我がオーブは中立だ。」

マリュー
「はい。」

ウズミ
「公式には貴君らは我が国に入国しなかったことになっておる。」

マリュー
「はい。」

ウズミ
「ヘリオポリスの件、巻き込まれ、ミスリルの兵となったというこの国の子供達。
聞き及ぶ、戦場でのXナンバーの活躍。」

光輝
「申し訳ありません、ヘリオポリスや子供達のこと。
私の独断で申し訳ありません。」

ウズミ
「よい、あれはこちらにも非のあること。国の内部の問題でもあるのでな。
我等が中立を保つのは、ナチュラル、コーディネイター、どちらも敵としたくないからだ。
ま、力無くば、その意志を押し通すことも出来ず、だからといって力を持てば、それもまた狙われる。
軍人である君等には、要らぬ話だろうがな。」

マリュー
「ウズミ様のお言葉も分かります。ですが、我々は…」

~~回想~~

ハルバートン
「ザフトは次々と新しい機体を投入してくるのだぞ?
なのに、利権絡みで役にも立たんことばかりに予算を注ぎ込むバカな連中は、
戦場でどれほどの兵が死んでいるかを、数字でしか知らん!」

~~回想終了~~

マリュー
「くっ!」

ウズミ
「ともあれ、こちらも貴君らを入国させた最大の訳のお話せねばならん。
ストライクのこれまでの戦闘データと、パイロットであるコーディネイター、
キラ・ヤマトのモルゲンレーテへの技術協力を我が国は希望している。」

マリュー、ナタル
「ぁぁ…」

ウズミ
「叶えば、こちらもかなりの便宜を、貴艦に図れることとなろう。」

マリュー
「ウズミ様、それは…。」

光輝
「それについては、大丈夫です。
本来、試験運用データは開発元にフィードバックします。
地球軍の機密を除いて、提供しても契約上の問題はありません。
足りない部分はミスリルの戦闘分析データを提供します。」

Sideout



Side マリュー・ラミアス

フラガ
「あいつは商法にも詳しいのかよ。」

マリュー
「正論ね。試験運用データを含めての共同開発である以上、最低限のフィードバックは必要でしょう。
それにこちらも問題点の分析をコウキさんから受けている以上、断れないわね。」

ナタル
「地球軍の方が恩恵を受けています。」

フラガ
「またボウズには、悪いけどな。」

マリュー
「それが…、アフリカでモビルスーツにこもって作業していたのは、
技術協力の為に、ナチュラル用のOSを開発してたらしいの。」

フラガ
「あいつ、アフリカに降りた時から、こうなる事を予想していたのか?」

マリュー
「ハァ…。」

Sideout



Side エリカ・シモンズ

キラ
「ここって…」

シモンズ
「ここならストライクの完璧な修理が出来るわよ。いわば、お母さんの実家みたいなもんだから。
こっち、貴方に見て貰いたいのは?」

キラ
「あっ…、これ…?」

シモンズ
「そう驚くこともないでしょ?貴方もヘリオポリスでストライクを見たんだから。」

カガリ
「これが中立国オーブという国の、本当の姿だ。」

キラ
「カガリ!」

シモンズ
「これはM1アストレイ。モルゲンレーテ社製のオーブ軍の機体よ。」

キラ
「これを、オーブはどうするつもりなんですか?」

シモンズ
「どうって?」

カガリ
「これはオーブの守りだ。
お前も知っているだろ?
オーブは他国を侵略しない。他国の侵略を許さない。そして、他国の争いに介入しない。
その意志を貫く為の力さ。」

キラ
「ぁぁ…」

カガリ
「オーブはそういう国だ。いや、そういう国のはずだった。サハク家が裏切るまではな。」

キラ
「え?」

シモンズ
「あーら、まぁだ仰ってるんですか、そうではないと何度も申し上げたでしょ?
ヘリオポリスが地球軍のモビルスーツ開発に手を貸してたなんてこと、ウズミ様は御存知…
えっ?何でサハク家の事、ご存知なの…」

カガリ
「黙れ!そんな言い訳通ると思うのか!国の最高責任者が、知らなかったと言ったところでそれも罪だ!」

シモンズ
「だから、責任はお取りになったじゃありませんか。」

カガリ
「職を叔父上に譲ったところで、常にああだこうだと口を出して、結局何も変わってないじゃないか。」

光輝
「仕方ない。ウズミ様は、今のオーブには必要な方なんだ。
プラントとの関係改善、地球軍に与しない第3勢力をまとめ上げるには、彼の力量が必要だ。」

カガリ
「…」

シモンズ
「あれほど可愛がってらしたお嬢様がこれでは、ウズミ様も報われませんわねぇ。」

カガリ
「ふん…」

シモンズ
「さ、こんなおバカさんは放っといて、来て!」

オペレータ達
「起動電圧正常。システムチェック。…」
「CPU温間温度正常。…
「ナンバー7から183までオールグリーン。…」

シモンズ
「アサギ、ジュリ、マユラ!」

アサギ、ジュリ、マユラ
『はーい!』

キラ
「あっ!」

マユラ
『あぁ、カガリ様?』

ジュリ
『あら、ほんと。』

アサギ
『なーに、帰ってきたの?』

カガリ
「悪かったなぁ。」

シモンズ
「始めて!」

アサギ、ジュリ、マユラ
『はい!』

カガリ
「相変わらずだな。」

シモンズ
「でも、倍近く速くなったんです。」

カガリ
「けどこれじゃぁ、あっという間にやられるぞ。何の役にも立ちゃしない、ただの的じゃないか。」

アサギ
『あ、ひっどーい!』

カガリ
「ほんとのことだろうがー。」

マユラ
『人の苦労も知らないで。』

カガリ
「敵だって知っちゃくれないさ、そんなもん!」

ジュリ
『乗れもしないくせに!』

カガリ
「言ったな!じゃぁ替わってみろよ!」

シモンズ
「はいはいはい、止め止め止め!
でも、カガリ様の言うことは事実よ。だから、私達はあれをもっと強くしたいの。貴方のストライクの様にね。」

キラ
「えぇ?」

シモンズ
「技術協力をお願いしたいのは、あれのサポートシステムのOS開発よ。」

キラ
「あのー…。
出来てます、OS。」

シモンズ
「えぇ?」

光輝
「ブロック構造で、ナチュラル用OSを開発済みだ。
今はインターフェースがストライクになっている。
インターフェースのパラメータを、M1アストレイ用に修正しなければならないが。
基本構造や操縦方法は試作機と同じだろうからな。」

シモンズ
「…」

光輝
「ただ、それだけでは問題は解決しない。
ナチュラルとコーディネイターでは反応速度が違う。
そこでエクリプス社と別組織であるL.A.I社が、ブラックボックスで技術提供を行う。
・量子コンピュータと間接思考制御
・機体制御に超電導モータやターボ型油圧ポンプに替わる、電磁伸縮炭素帯(カーボニック・アクチュエーター)
・動力源にバッテリーに替わる熱核タービンエンジン
・装甲素材にPS装甲に替わる軽量なフェイズシフト装甲」

カガリ
「それモビルスーツと別物だろう!」

光輝
「カガリは既に体験済みだよ。」

キラ
「バルキリーの基本システムですね。」

シモンズ
「納得したは。それでバルキリーの機動力がモビルスーツを凌駕していたのね。」

光輝
「モビルスーツは近接戦闘を主眼に置いた、戦車の発展形に過ぎない。
バルキリーは遠距離攻撃を主眼に置いた戦闘機の発展形だ。
戦車では戦闘機を上回れない。
M1アストレイは宇宙専用として開発して貰い、ザフト軍を誤魔化す。
大気圏内用はバルキリー VF-0 フェニックスを元に開発して貰う。
VF-0 フェニックスの情報は地球軍とザフト軍にリークして、
宇宙での戦闘では役に立たない、ミスリルのモノマネの、ただの高価な戦闘機と思わせる。
地球軍とザフト軍には、しばらくモビルスーツ主義と思わせる様にミスリードしていく。」

カガリ
「あははは…、相変わらず酷いな、お前!」

光輝
「ミスリルは所詮、パイロットの腕と小手先に長けた戦術。
そんな傭兵部隊と思わせないとね。
ミスリルの戦力で、この戦争の早期終結は可能だ。
しかし、与えられた平和では意味がない。
自分達の手で掴み取った平和でないと意味がないのだ。」

キラ
(自分達の手で掴み取った平和…)

Sideout

 
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