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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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463部分:第六十五話 魔性の杖その二


第六十五話 魔性の杖その二

 ミロ自身もそれを見て。眉を顰めさせていた。
「事実か」
「さて、どうするのだ」
 またミロに問うてきたサリアであった。
「魔物達だけでなく私もいるのだぞ」
 サリア自身も拳を放って来た。光速の拳をだ。
 ミロはそんでのところで身体を右に捻ってかわした。その威力は尋常なものではなかった。
「確かにな」
「私はこうした場合では嘘をつくことはない」
 サリアは拳を放ったうえで冷静に述べた。
「それもこれでわかったな」
「うむ。その通りだな」
「そしてだ」
 さらに言うサリアであった。
「スコーピオンよ、何時までもかわせるとは思っていないな。私の拳と魔物達を」
「忌々しいがその通りだ」
 構えを取りそのうえで彼と魔物達の両方を前にしながら言葉を返すミロであった。
「このままでは倒れるのはこのミロだ」
「後はないぞ」
 サリアは言葉でもプレッシャーをかけてきた。
「さて、どうするのだ」
「また言っておくことがある」
 追い詰められてもミロは冷静なままであった。その冷静さによって彼は言うのであった。
「答えの出ない問題はないのだ」
「決してか」
「そうだ、ない」
 断言してみせてもきた。
「絶対にだ」
「ではどうして今の私の技を破るのだ」
 サリアは楽しむようにして彼に問い返した。
「この魔界を」
「言った筈が、破られない技はない」
 ミロはこのことをまた繰り返す。
「そしてだ。造られた世界ならばだ」
「それもまた破られるというのか」
「その通りだ。破ってみせる」
 ミロはここで己の決意を見せた。
「何としてもな。そうしてだ」
「来るか」
 サリアも身構えた。ミロが何を仕掛けて来てもすぐに対処できるようにしたのであった。この辺りの動きは流石八大公であるだけはあった。
「どう来る?」
「行くぞ、サタナキアよ」
 言いながらその拳を繰り出す。繰り出した先は。
 サリアを狙ったのではなかった。狙ったのは杖だった。ミロに向けてそのままで宙に浮かび禍々しい妖気を放ち続けているその杖をだ。
「杖をだと!?」
「貴様自身を狙っても今は効果がない」
 それはもうよくわかっているサリアだった。
「ならばだ。その杖を崩すのだ」
「何故私の杖を狙うのだ」
「すぐにわかる」
 こう言うのだった。
 そうして攻撃を放つ。光速の拳を杖の先端に浴びせた。するとだった。
 杖は先端から崩れそのまま割れてしまった。光速の拳は杖さえも砕いてしまったのだ。
 するとだった。それまで発せられていた妖気が瞬く間に消えていく。そうしてその世界もまた。瞬時にして消え去ってしまったのであった。
 彼等は元の世界に戻っていた。魔物達はすぐにミロの指から放つ炎で焼かれていく。瞬く間に形成は互角に戻ったのであった。
「杖を壊しそれにより私の技を破ったか」
「それは考えていなかったようだな」
「確かにな」 
 それを認めるサリアだった。
「杖を狙いそうして潰すとはな」
「どうやら杖は強くなってはいなかったのだな」
「そこまで考えてはいなかった」
 サリアはそのことも認めた。
「杖は戦衣の一部だ」
「そうだったのか」
「アーレス様の御力により創られたもの」
 それが戦衣だというのである。
「貴様等の黄金聖衣と同じ強度の筈だがな」
「並の聖闘士で壊せる代物ではない」
 ミロもそれはわかっていたことだった。しかし彼はその杖を壊してしまった。そのことは彼が今果たした紛れもない事実であった。
 
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