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魔法少女リリカルなのは innocent ~海鳴に住む鬼~

作者:88打
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鬼、名を上げる

 
前書き
明星高校の制服は"めだかボックス"の生徒会メンバーの制服に近いです。ちょっとだけメインキャラクターが出てきます。

※修正:舞川静の通り名を訂正しました 

 
~菓家 自室~

「やっぱり……落ち着かねぇ」

俺はエルトリア・G・Hに向かうため、1度家に戻り制服に着替えた

「いやまぁ……和服着なれてる俺のほうが可笑しいのはわかってるけどさ……」

黒のブレザータイプの制服に襟や裾に合わせて黄色の線が付いている、ネクタイの色は赤だ

「幹太~どこか出掛けるの~?……わぁ!」

部屋に入ってきたあずきが驚いた顔をしている

「幹太が和服以外の服着てるとこ初めて見た!」

「まぁ……普段着ないしな……」

「でもかっこいいよ?」

「お、おう……ありがとう……」

普段、服装で誉められることがないので少し驚いた

「そんじゃ、出掛けて来るから。お袋の手伝いよろしくな」

「はーい!」

あずきに見送られ、俺はエルトリア・G・Hを目指す





~エルトリア・G・H 校門~

目的地に着いた、校門前で既に周りから好奇の眼差しを感じる。調度近くに女性職員がいる、話しかけてみよう

「あの……すみません。明星高校の者なんですけど……」

「はい?……あぁ!例のイベントの事ね!中で話を聞くから付いてきて」

言われるままに俺は、その女性職員の後に付いていく。校内に入ると好奇の眼差しはより一層高まった

「むぅ…………」

「ご免なさいね?居心地悪いでしょ?」

「え……あぁいえ!そんなことは……」

「うちの学校は、教職員も殆どが女性でね……校内に男がいるってだけで、珍しいのよ」

「動物園の珍獣になった気分です……」

「ふふ……確かにそうかもね……着いたわ、入って」

「失礼します!」

女性職員に連れられ、応接室に入る

「それで……詳しい話なんだけど……」

「あぁ……ちょっと待って下さい」

俺はカバンから担任に受け取った資料を取り出す

「細かい所は全部この資料に書いてあるそうです」

「フム……ちょっと読ませて貰うわね」

ペラペラと資料に目を通していく

「成る程……解ったわ。日程と場所はこれで問題ありません」

「ありがとうございます」

よし、思いの外早く終わりそうだ。終わったらこんなとこさっさっと抜け出そう

「ところで、この資料によると……そちらのメンバーはあなた以外全員女子なのね?」

「あぁ……はい、そうです」

本当は、その人がやりたいかどうかで人選が決まるのだが……うちの男子達は全員めんどくさいと言ってやらなかった。協力校が女子校と知ってたら違ったのだろうか……

「うちも女子校だから、参加メンバーは全員女子だけど……大丈夫?」

「まぁその……なんとか」

「無理しないでね……」

変な気を使わせてしまった。その後、つつがなく話は終わり、俺は急ぎ足で校門まで向かった

「んん~もう少し~」

「危ないわよ……やっぱりやめましょう……先生に頼んで脚立持って来よう?」

校門の近くで何やら奇妙な二人組を発見した。一人はボブカットの活発そうな女子、もう一人はポニーテールの穏やか雰囲気の女子。何やら木に引っ掛かった物を取ろうとしている。

「…………ん~」

見てしまったので、見てみ見ぬふりも出来ない

「あの……すみません」

「はい?……うお!なんで学校に男子が!」

「えっと……どちら様でしょうか?」

学年が分からないので取り合えず敬語で話す

「明星高校の者です……今度のイベントの打ち合わせに来てました……」

「イベント?」

「あれじゃない?ほら、カレー作りの……この間皆で出るって言ってたでしょ?」

「あぁ!」

どうやらこの二人もイベント参加者のようで納得してくれたようだ

「それで?その明星高校の男子くんが私達になんの用?……あ!もしかしてナンパ!?」

「違います…………えっと、何かを取ろうとしてる用に見えたので……」

「あぁ……それね……」

ボブカットの女子は木を見上げる

「ほら、あそこにハンカチが引っ掛かってるでしょ?」

「…………あぁ本当だ」

木の枝にチェックのハンカチが引っ掛かっている

「学校の窓から落としちゃって……あれ友達からのプレゼントでさ、どうしても取りたいんだよ……」

「成る程……」

あの位の高さなら……

「ちょっと離れて貰っていいですか?」

「え?うん……いいけど」

女子二人を木から遠ざけ、俺も木から数m程離れる。助走をつけて飛び、ハンカチを手にする

「よっと…………取れましたよ」

「おぉ!ありがとう!」

「ありがとうございます」

二人はハンカチが無事で安心したようだ

「それじゃ……俺はこれで」

「バイバーイ!カレー楽しみにしてるよー」

「イベントの時にまたお会いしましょう」

二人と分かれ、校門の方へと向かう。すると、校門から少し離れた所に人だかりが出来ていた

「お姉さま!私クッキーを焼いてきたんです!」

「お姉さま!私はマフィンを!」

「お姉さま!」

「お姉さま!」

「あ、あの~お気持ちは有り難いんですが!私、少し急いでいるので道を開けて下さい~!」

何やら一人の女子がほかの女子にもみくちゃにされている

「……そっとしておこう」

つーか、お姉さまって……ゲームや漫画じゃあるまいし……

「戻って先生に報告しないとな……」







~明星高校 中庭~

時は少し流れて、平日の放課後。ブレイブグランプリ開催日まで一ヶ月をきり、そろそろ参加申し込みの期限が迫っていた。そんなある日、俺は後輩達に呼び出されて中庭にいる

「それで?話ってなんだよ」

「フッフッフ~そ・れ・は~」

静がニヤニヤと勿体ぶった喋り方をしている。後ろの三人も静同様、ニヤニヤしている

「ついに!」

「僕達!」

「通り名を!」

「ゲットしました~!」

宗輝、賢斗、桜馬、静は高らかに通り名取得を宣言する

「マジか!」

この短期間でよく取ったもんだ……

「それで?どんな通り名なんだ?」

「ではまず私から……」

宗輝の取り出したカードに記されている通り名は

「光弓の鷹……」

「はい、私にピッタリかと」

確かに光ってるし……鷹だけれども……

「ワシの通り名はこれじゃ!」

「斧盾の鉄仮面……」

これ、斧盾って……字体見ないと不純に見えるのでは?

「僕のは……これです……」

「影這う暗殺者……」

全体的におっかねぇな……この通り名……  

「カッコいいですよね!」

「お、おう……」

本人はお気に入りのようだ

「ハイハーイ!最後は私!」

「癒しの歌蝶……」

何故だろう……一番まともに見える

「全員の通り名をゲット出来ましたし、私達はこれからグランプリの参加申し込みを済ませてきます」

「おう、よろしく頼むわ」

後輩達はこれからグランプリの参加申し込みをしに、T&Hに行くようだ

「さて……帰って店の手伝いだな……」




~菓家 自室~

店の手伝いも終わり、やることも無くなった俺は椅子に腰掛けひたすら編み物に集中している。あずきが編みぐるみを店に来た子供に見せるもんだから、追加の注文が出来てしまった……

「あぁ~目が疲れてきた……」

少し休憩しようかと思った時、俺の携帯が鳴った

「誰だ?……」

画面を見ると相手の名前が書いてある

「宗輝?珍しいな…………ハイ、もしもし」

「あっ!すみませんくるみん先輩、今お時間いただいても?」

「別に構わねぇよ……どした?」

「はい、今週末連休がありますよね?」

確かに……今週は祝日、土日、開校記念日の四連休になっていたな…… 

「あるけど……それがどうした?」

「実はですね、その連休を利用して私達の仲をさらに深めようと思うのです」

??どゆこと?

「私や桜馬、賢斗さんや静さんは日頃からよく放課後一緒に行動しているので仲はそれなりに良いんですよ……」

「まぁ……同い年の方が仲よくしやすいだろうな……」

「はい……ですが私達後輩一同はまだ、先輩との仲を深められて無いと思うのです」

いや、そんなことはないと思うが……

「先輩は休日の朝はお店の配達に行くのですよね?」

「まぁ……そうだな……」

「でしたら、連休のチーム練習は午前で切り上げて午後は私達の内の一人と過ごして貰っていいですか?」

「別にいいけどよ……なんで一人となんだ?皆と過ごせばいいんじゃ……」

「いえいえ……こうゆう時は一人づつ相手のことを深く知るべきです」

「ん~そんなもんか?」

こうして、俺は連休を後輩達と過ごすことになった




・一日目:宗輝(トレーニングジム)

「今日はありがとうございました。先輩」

「いや、俺もいい汗かけたし。あんがとな」

連休の一日目、俺は宗輝と共にトレーニングジムで汗を流した。今はシャワールームで体を洗っている

「にしても、こんなジムがあったとは」

「ここ、機材は少し古いですけど毎回料金を払う仕組みなので、面倒な会員登録なんかはありません」

シャワーで汗を流していると、話は少し別の方向へと変わる

「フム……」

「な、なんだよ……ジロジロと人の身体見やがって」

「いえ……こうして見ると、先輩って結構いい身体してますよね」

「は?」

何を言ってるんだこいつは

「腹筋割れてますし、胸筋や背筋も浮き出てますし…………」

「ヤメロ気色悪い、野郎の裸なんか見ても楽しくねぇだろ……」

「大丈夫ですよ……私、男もいけますから……」

ファッ!!

「嘘です♪」

「次ふざけたら、顔面に破砕拳くらわすからな……」





・二日目:桜馬(ラーメン屋)

「うめぇ!!」

「そうじゃろう?」

二日目は桜馬と一緒にラーメン屋に来ている。商店街から少し離れた所にある"翁"というラーメン屋だ

「いや~ほんと旨いわ、このラーメン」

「ここは味噌、醤油、塩なんでも旨いんじゃよ、ワシもよく放課後に食いに行くの」

ラーメンを食べながら俺達はお互いの話をする

「なぁ桜馬……」

「なんじゃ?先輩」

「お前ってさ……家が鉄工所なんだよな?」

「そうだの、何処にでもある町の鉄工所じゃ」

「だったら、進学しないでそのまま家業継げばよかったんじゃないか?」

桜馬は箸を置き、少し考える仕草をする

「フム……では逆に先輩はなんで実家の甘味処を継がづに料理科に入ったんじゃ?」

「それは……まぁ、色んな技術を学んで、もっと家の……店の為になることをしたいと思ってな……」

「ワシもじゃよ……家の鉄工所は小さいがそれでも、家で作っている製品が誰かの役にたつのなら、ワシはその製品をもっといい物にしたいんじゃよ……」

桜馬の目は真っ直ぐに先を見据えていた

「そうか……お互い、頑張らないとな……よし!まだ食えるか?今日は俺が奢るぞ!」

「よいのか!ゴチになるぞ!」

二人でラーメンを三杯平らげた




・三日目:静(商店街)

「幹ちゃん先輩~早く~」

「待てって!まだ買うのかよ……」

三日目は静と商店街で買い物に付き合わされている。勿論、荷物もちだ

「あ!このワンピ可愛い~。先輩どう?」

「どうって……まぁ、似合うんじゃねぇの?」

「ぶ~、なんかなげやり~」

「うるせぇ、俺にはよくわからん」

基本的に和服しか着ないからな……

「先輩和服しか着ないからな~……あ!そうだ!」

「あん?……ちょっ!引っ張るなって!」

静に手を引かれ、大型の洋服店に連れてこられた

「じゃぁ、今から私が服持ってくるから。先輩はそれに着替えてね」

「は?」

そして、そのまま俺は静の着せ替え人形になった

「んん……」←ジーンズに白のシャツ、黒の上着に帽子

「おぉ~なかなか似合ってる~……次はこれ」

「これは……」←黒のボトムスに灰色のシャツ、深緑のパーカー

「いいねぇ~次はこれ!」

「…………おい」←迷彩柄のカーゴパンツに黒の革ジャンとサングラス

「アッハハハハ!ヤンキーだ!ヤンキー!」

「しばくぞてめぇ……」

こうしてしばらく着せ替えは続いた

「はー面白かったー」

「こっちは疲れたよ……たくお前は」

「あ!クレープだ、先輩食べよう!」

聞けよ!人の話を!

「いらっしゃいませ、ご注文はいかがなさいますか?」

「どーしよっかな~」

「ただ今でしたら、カップル限定クレープがございますが、どうでしょうか?」

「は?」

「あ!じゃあそれにしまーす」

「おい!」

「いーじゃんいーじゃん」

しばらくすると店員がクレープを持ってきた。普通のクレープと違い、かなり大きくフルーツが沢山入っている。恐らく、これを二人で別けて食べるのだろう……

「あむ……んん~おいひ~」

こいつはなんでも旨そうに食うな……

「はい先輩!アーン」

「は?」

「だーかーらー……アーン」

静がこちらにクレープを突きつけてくる

「あ……あーん」

やらないと後でうるさいので渋々応じることにした

「おいしい?」

「……あぁ」

その後も何度かこのやり取りを繰り返しクレープを食べ終えた

「は~楽しかった~、じゃあ私そろそろ帰るね」

「おう、気をつけて帰れよ」

「え~と……先輩?」

「ん?どした?」

「今日は……私と一緒で楽しかった?」

「なんだよいきなり……」

「いや……ほら……色々と振り回したから……」

自覚あったんだな……

「別に……振り回されて大変だったけど楽しかったよ」

「本当?」

「本当本当……それにな」

俺は静の頭に優しく手を置いた

「お前はそうやって元気にしてる方がずっと可愛いよ……」

「ッ~~サヨウナラ~」

ダッシュで帰ってしまった

「………………あれ?」

今気づいたけど……俺すごいこっ恥ずかしいこと言わなかった……

「やべ……次会ったときどうしよう」







・四日目:賢斗(喫茶店)

「随分とこ洒落た店知ってるんだな……」

「そうですか?」

四日目は賢斗と一緒に喫茶店でお茶をしている。"喫茶翠屋"……隠れ家的名店で、シュークリームが絶品らしい

「僕、休みの日は日がな一日中本を読んでいる事が多いので、あまり外には出ないんですけど、たまにお店で本を買った帰りに、こうして喫茶店で本を読むのが好きなんです」

「ふーん……じゃあ、ここにはよく来るのか?」

「はい、いつも商店街の"八神堂"っていう古本屋で本を買った帰りに寄りますね」

八神堂……確かあそこもブレイブデュエルのランキング上位のショッププレーヤーがいたはずだ……

「にしても……うまいなこのシュークリーム……」

「はい、絶品ですよね……はむ」

賢斗が口を開けてシュークリームを頬張る、勢いよく食べたせいか頬にクリームが付いている

「賢斗……クリーム付いてる」

「え!どこですか?」

「動くな……取るから」

頬に付いたクリームを人差し指で取る、もったいないのでそのままクリームを食べる

「……!!」

「ん?なんだ?」

「い、いえ……なんでもないです……」

心なしか頬が赤い……どこか具合でも悪いのだろうか……つか、店員さんがなんか微笑ましいものを見る目をしている

「あ、あの!先輩!」

「……ど、どうした?」

いきなり声を荒げるから少し驚いてしまった

「ど……どうですか!」

賢斗が両手を広げて何かをアピールしている

「どうって……何が?」

「えっと…………ふ……服」

服?…………あぁ

「いいんじゃないか?女の子らしくて」

「本当ですか?」

「本当だよ……」

賢斗の服装は全体的にフリル多めの黒を中心としたファッションだ

「でも……なんで俺なんかに服の感想なんか……」

「先輩……初めて会ったときの事……覚えてます?」

「あ…………え~と……その……スマンあれは俺が悪かった……」

「結構……ショックだったんですよ……もう」

賢斗が少しむくれてしまった

「ゴメン……お詫びに、俺に出来る事はなんでもするから」

「なんでも……ですか?」

「あぁ……なんでも……」

「じゃあ…………これからも時々、僕と一緒に……喫茶店に来てくれますか?」

「おう!喫茶店っと言わず何処にでもついてくよ」

「約束ですよ」

機嫌が治ったようで良かった……





~菓家 自室~

「ふぅ……」

賢斗と別れた後、俺は家に帰り。自室の椅子に腰を下ろした

「なんか……色々あったな……」

少々忙しなかったが、こんな休日も悪くないと思った

「……さてと」

机のパソコンを使いブレイブデュエルのホームページを開く

「……フム」

そこには現段階での、俺の順位が記されていた

「50位……」

ロケテスト時の最終順位と並んだ

「さーて……こっからが本番だな……」 
 

 
後書き
キリエ、アミタのクラスメイト二人を出しました。あの二人、名前がないんですよね…… 
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