聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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455部分:第六十三話 遺跡での死闘その七
第六十三話 遺跡での死闘その七
「一度に集めて撃つことができる」
「それがどうしたのだ」
「一体何だというのです」
「話は最後まで聞くことだ」
今はこう返すミロだった。
「つまりだ」
「つまり?」
「一度に放つこともできるのだ」
ミロが言いたいのはこのことだった。このことを狂闘士達に対して言ってみせてきたのである。
「そうだ、一度にだ」
「それではまさか」
「今も」
「このミロ、敵をいたぶる趣味はない」
また告げたのだった。
「それは決してない」
「では何を」
「するというのですか」
「仕える神が違い敵である者達よ」
狂闘士達である。それ以外に有り得ないことであった。
「今その誇りの下にだ」
「誇りの下に?」
「死ぬのだ」
言いながらだった。そのスカーレットニードルを一度に撃ち込んだ。そうして最後の一撃もまた五人に対して放ってみせたのである。
「ぐっ・・・・・・」
「これは」
「アンタレスだ」
それだというのであった。
「蠍座のとりわけ大きな星、スコーピオンの心臓でもある」
「それを撃ち込んだというのか」
「今我々に」
「これは止めの一撃だ」
ミロはまた彼等に告げた。それぞれ心臓を射抜かれた彼等をだ。
「これを撃つまでがスカーレットニードルであり最後の一撃がアンタレスなのだ」
「ではそれを撃ち抜かれた我等は」
「これで」
「安らかに眠るがいい」
こう五人に対して告げた。
「誇りと共にな」
ミロがこう彼等に告げたその瞬間に彼等はゆっくりと崩れ落ちた。そうしてそのまま静かに息絶えたのであった。
「これでよし」
「礼を言おう」
勝利を収めたミロに声をかけてきた者がいた。
「あの者達に名誉ある死を与えてくれて」
「礼には及ばん」
その声の主にも言葉を返す。
「相手に名誉ある死を与える」
そうしてこう静かに言うのだった。
「それもまた戦士の務めだからだ」
「だがそれを現実に行える者は少ない」
サリアであった。彼がミロに対して言うのだった。
「とてもな」
「それをしたことへの礼か」
「そうだ。あの者達は誇りを抱いて死ぬことができた」
またこのことを言うサリアであった。
「そのことには幾ら礼を言っても足りるものではない」
「そこまで言うのならばその言葉受けよう」
彼の言葉を正面から受けてみせたミロであった。
「しかしだ。それと戦いは別だ」
「わかっている」
サリアはミロを見据えて静かに答えた。
「あの者達の仇は取らせてもらおう」
「いいだろう。それでは次の相手はだ」
「私だ」
ここで名乗りを挙げたのであった。
「このサタナキアのサリアが相手をしよう」
「八大公の一人がか」
「スコーピオンよ」
既にミロと対峙している。鋭く睨み合う。
「私の相手は貴様ではないかと思っていた」
「ローマで会った時からか」
「そうだ。貴様と戦いそして勝つ」
既に勝利も見ているのだった。
「それが私の運命なのだからな」
「運命か」
ミロはその運命という言葉に反応を見せた。
「運命はだ」
「どうしたというのだ?」
「変えられるものだ」
これがミロの運命への考えであった。
「人の手によってな」
「戯言を。運命はそれこそが神の決められたもの」
しかしサリアは運命をそうしたものだと捉えているのだった。
「アーレス様によってだ」
「アーレスが貴様の勝利を約束しているというのか」
「その通りだ。アーレス様こそが至高の神」
アーレスに対する絶対の忠誠、それはサリアにも健在であった。むしろ八大公だけありそれはかなり強いものであると言えた。
「運命もまた決められるのだ」
「アテナはその様なことは仰られない」
そしてミロが出した神はアテナだった。彼女以外には有り得なかった。
「仰ることはだ」
「どうだというのだ、それは」
「運命は己が切り開くもの」
彼は言った。
「そう仰った」
「ではどちらが正しいか決めるとしよう」
「それではだ」
両者は互いに身構えた。彼等の闘いもはじまろうとしていた。
第六十三話 完
2009・10・23
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