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ドリトル先生の名監督

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第十幕その九

「ウェイトも決して悪くはないけれど」
「そればかりしてるとですか」
「力士さんの身体じゃなくなるからね」
「だから怪我が多かったんですね」
「そうだったんだ」
 まさにというのです。
「そこが問題だったんだよ」
「成程、そうだったんですか」
「偏食、偏った力士さんとは違うトレーニングがね」
「怪我の元になっていたんですね」
「ここでも言うけれど野球選手が格闘家の食事やトレーニングをしても駄目だよ」
 こう言うのでした。
「怪我の元で変な筋肉もついたりして」
「肝心の野球にもですね」
「支障が出るよ」
 そのお話を聞いて動物の皆がカレーを食べながら言いました。
「そうした人いたよね」
「何を思ったのか」
「周りも止めなかったしね」
「逆に持て囃してたみたいだね」
「ああしたことは問題外だよ」
 先生は皆にも言いました。
「野球選手は野球選手のトレーニングをする」
「打って走って守って投げる」
「そうしたトレーニングだね」
「戦うことはしないから」
 格闘技ではないというのです、野球は。
「そうした鍛え方をするのは筋違いだよ」
「食事もね」
「そうした食事にするのも」
「やっぱり筋違いなんだね」
「それも完全な」
「そう、何であの人はそんなことをしたのかな」
 先生は首を傾げてさえしています。
「僕にはわからないよ」
「プロの野球選手なのにね」
「それ位のこともわかってなかったのかしら」
「僕達でもわかることなのね」
「そうしたことが」
「もう全然」
「わかっていないのなら」
 もうその時点でというのです。
「野球をわかっていないってことかな」
「周りもね」
「そんなことを止めないで」
「しかも持て囃すとか」
「おかしいよね」
「そう、そこも変だと思ったよ」
 止めないどころか持て囃した周りにも問題があるとです、先生は言いました。
「どう考えもおかしいのにね」
「マスコミとかね」
「ファンの人とか」
「おかしいことはおかしいって言わないと」
「そうしないと」
「だから最後はああなったんだろうね」
 先生は食べながら首も傾げさせました。
「番長とか言われていい気にもなってたし」
「野球選手なのに」
「番長とかね」
「それもおかしいよね」
「やっぱり野球選手は野球選手」
「番長とかじゃないよ」
「あの、番長って何ですか?」 
 トミーは食べながら先生にこの言葉の意味を尋ねました。一緒にちゃぶ台を囲んでいる先生に対してです。
「それで」
「うん、今はもういないらしいけれど」
「昔はいたんですか」
「そうなんだ、日本の学校にね」 
 番長と言われる人達がというのです。
「不良の子達のリーダーがいてね」
「その人達がですか」
「番長って呼ばれてたんだ」
「そうだったんですか」
「他には副番、外番、若番頭、あと参謀がいたかな」
 昔の学校の不良にはというのです。 
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