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HUNTER×HUNTER 六つの食作法

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020話

「いってぇ……まだ腕がじんじんと痺れる感覚が残ってやがるぜ……」
「大丈夫シャネル?」
「ったく、俺達に黙って旅団と戦ったんだから良い報いだってぇの」
「そう言うなよキルア……巻き込んじゃ悪いと思ったしお前らじゃ、まだ勝てなかっただろうしな」
「自分だってそうなくせに」
「一緒にすんじゃねえよ、引き分けだ」

治療も終って漸く帰ってこれたシャネルだが既に昼になってしまった。ホテルで引き続きクラピカの鎖で治療を受け続けるシャネルに向けて向けられている視線はどれも痛い。理由は単純、たった一人で旅団と真っ向から対峙したから、その結果大きな怪我をしたからだ。痛い視線と言葉を浴びながらクラピカが作ってくれた食事を食べ続ける、オーラと共にカロリーも枯渇しかけていた身としては素早くカロリーを摂取するのが一番優先される。なら帰ってくる途中で食べてくれば良かったのにと思うがそれほどにクラピカの料理が楽しみだったのだ。

「んで、お前らは如何だったんだよ。グリードアイランド、出るオークションに出てきたんだろ?」
「……んぁああああ思い出したら腹立ってきたぁああ!!!」
「うおっ!?」

質問をしてみたらいきなり激しく怒りながら練をしてオーラを発散し始めるゴン、珍しく怒りの感情を露にしつつキレている。クラピカも若干驚いている、そんなゴンを放置しつつキルアが説明してくれた。

結局の所資金は集め切れなかった、だがゴンには秘策があった。競り落とした人物はそれと同時にプレイヤーを集める筈だと、セーブデータを持っている自分達ならプレイヤーとして採用してくれるのではないかと言う考えだった。実際に案としては良案である、一週間にも満たない期間で約90億を稼ぐよりもよっぽど現実的で可能性としても高いとキルアの御墨付きだった。が

それは無理だった。グリードアイランドを競り落とした大富豪のバッテラに会談する事は出来たが、練を見せろと言った専属のハンターと思われる男から

『逃げ回って死ぬのが落ち』

と言われてしまい一蹴されてしまった。まだやる気があるのならオークション最終日に審査をするから来て見ろ、と挑発紛いのおまけを付けて。

「練を見せろ、って言ったのか?」
「うん、そう言ってた!!」
「……プッ。ダァ~ハッハッハッハッハ!!!!」

ゴンがイラつきながらもそう答えるとシャネルはもう堪えられないと言いたげに大口を開けて大爆笑をし始めた。左手でテーブルを叩きつつ涙を流して爆笑している、思っても見なかった爆笑にゴンは凍りつきキルアは若干引いている。クラピカは少々頭を押さえつつ微笑ましい物を見るように笑っている。

「何が可笑しいのさ!!?練を見せろっていうから練をやったのに!!!」
「ヒィヒィ……ああなるほど……解った、解った……プクク……」
「ゴンにキルア、練を見せろというのはハンターの間のスラングで鍛錬の成果を見せろとも言えるんだ。故にその男が言っていたのは、念の強さの集大成である"発"を見せろっと言う事にもなるんだよ」
「えええっそうなの!?」
「いやぁまさかそのまま四大行の練を見せられたらそりゃ嘲笑されるわ」

唯の練を見せた場合は世間知らずのハンターだと笑われる、それがハンターの間でのスラングの練である。まあ知らなかったのではしょうがないだろうが。

「よしなら俺の師匠としての付ける指導は発って事だな」
「おう頼むぜ、シャネル師匠」
「うんお願い!!」
「おう任せとけ」

ゴンとキルア、シャネルの元で念能力の集大成、発の修行に入る。

「その前にクラピカお代わり~!」
「はいはい」


「っつう訳で発に入る」

十分に食事を堪能したシャネルは早速二人に修行を付ける事になった。

「発は念能力の集大成、個別の能力まあいわゆる特殊能力・必殺技を指す事になるわけだな。俺の場合は念弾を飛ばして攻撃したり、念弾その物を操ったりだな。二人の系統は、解ってるだろ?」
「俺は強化系、キルアが変化系だよ」
「了解だ。まずはどんな能力にしたいかだな、応用が利く能力であるが好ましいな。制約と誓約を課しても良いが重過ぎ軽すぎるってのが一番だ」

そう言われて早速ゴンは考え込むが直ぐに頭から煙を出してショートし始めている。まあいきなりこんな事を言われて困るのは解るが……。

「んじゃまずはどんな能力にしたいかを考えろ、クラピカは具現化系と解った時には何を具現化したかを問った。そしたら鎖が良いって言った。そんな感じにまずはどんな感じのが良いのかなぁって考えるんだ」
「俺はもう考えてあるぜ」
「………兎に角すっごい能力が良い」
「ちょっち漠然としすぎだな……キルアはどんなの?」

耳から煙を出しているゴンを差し置いて既にどんな能力にするかを考えているキルアの意見をこっそり聞く。ゴンが聞くとそれに影響されて自分にあっていない能力になってしまう可能性がありそれを防ぐ為。

「へぇ面白いな、めっちゃ応用利くし」
「だろ?ゴンの邪魔になると拙いから他でちょっと実験してくるわ」
「おう許可する。クラピカ、一応付いてやってくれ」
「ああ行こうキルア」

と出て行く二人。ゴンはいまだに煙を出し続けている。

「わ、解らないよぉ……ヒ、ヒントください!」
「否ヒントってお前自分で考えるもんなんだけど……んじゃ一つ一つやっていこう。まず強化系、何かを強める系統だな」
「俺の何かを強める……(ブシュゥゥゥ……)」
「……そこからぁ……?」

最早論外に近い現状、発に十分入れる状態なのにどうしたら良いのか思い当たらない。解らなくも無いがこれでは修行のしようがない。どうした物か……自分はゴン達と別行動を取っていたし念を教わったウイングさんとやらがどんな指導がされたのか、どんな修行経過だったのか知り得ない。なら、本人にこれまでその師匠に習った事を実演してもらおう。

「良し解った、ゴン。俺に師匠から何を習った、それを全部だ」
「……あっうん解った!」

ゴンが見せてくれたのは纏、絶、練、発、凝。基本的な四大行であるそれらと応用技、それが教わった事。発は水見式と言う形で見せてくれた。基本に忠実で良い教え方だと思う、此処から如何それを開花させるか……少々頭を捻るとある事を思いついた。

「ゴン、今やってくれた事を全部同時にやってみな」
「同時に……うん!」

言葉通りに実践するゴンだが絶から練に入る際に戸惑った。錬は通常の以上のオーラを生み出す事だが絶は出さない事。それを同時にやると言う事が解らなかった、取り合えず凝を行う。そして身体を見て見ると目にオーラを集中しているのにまだオーラが出ているのが見えた、それさえも閉じて集中させれば全て同時に出来ると気づいた。

「そうかこうすれば良いんだ、うわっ!?」
「(気づいたか)」

練で生み出したオーラ全てを一点に、拳へと集めたゴン。これにより纏、絶、練、発、凝を同時にやった事になったが出来たと喜んだ途端にオーラがはじけ飛んでしまった。

「出来たけど少しでも集中力欠いたら解けちゃった……」
「はははっ練習すれば良いんだよ。強化系の能力者は身体強化とか威力の増強を計る奴が多い、俺が戦った旅団のウボォーって奴も拳にオーラを集めたパンチだったからな」
「へぇそうなんだ」
「そもそも強化系ってのは攻守のバランスが一番高い。故に。単純に拳に凝をやって殴っただけでも十分な必殺技になる」
「成程ぉ……良し、シャネル。俺、これをずっと練習してみるよ!!」
「おう良いやる気だぞ!」

その後、順調に修行をしていくゴンとキルア。ゴンは全てのオーラを拳に集めて攻撃する技を練習し、キルアはオーラを電気に変換する技を修行し続けた。そしてオークション最終日に行われた選考会。そこには面白そうという理由で参加したシャネルと個人的に興味があるというクラピカも参加し見事4人とも合格した。 
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