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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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428部分:第五十九話 盆地での戦いその三


第五十九話 盆地での戦いその三

「何としてもだ」
「貴方だけ行くというのはね」
「いささかずるいのではないのか」
 ずるいという言葉さえ出る。そこにははっきりとした批判まであった。
「我等も行かせてもらおう」
「何としてもな」
「御前達もか」
 フォルスはその彼等を見回したうえで述べた。
「行くというのだな」
「その通りだ。貴様一人戦いを楽しませてなるものか」
「だからよ。私達もね」
「聖闘士達を倒させてもらおう」
「いいだろう」
 その彼等の申し出を受けるフォルスだった。否定することは何一つとしてなかった。
「それではだ。その時は共に行こう」
「ええ、それではね」
「行くとしよう」
 今はその機会を待つ彼等だった。ミロとインプ達の戦いを見守りながら。今は動くことはなかった。
「行くぞスコーピオン!」
「我等の手で死ぬがいい!」
「ここが貴様の墓場となる!」
 インプ達は口々にこう叫びながらミロに対して上から総攻撃を仕掛けんとする。ミロは地上に留まったまま彼等を見上げているだけである。
「この槍でだ!」
「受けよ!」
 彼等は一斉にその槍をミロめがけて投げた。まさに雨の如き有様だった。
 しかしミロはその槍が降り注ぐのを見ても動じない。そしてやはり動くことはなかった。
「動かぬのか!?」
「どういうことだ!?」
 インプ達もそれに眉を顰めさせる。それには他の聖闘士達も怪訝な顔を見せるのだった。
「どういうことですか!?」
「早く逃げないとこれは」
「逃げることはない」
 ミロは上を見上げたままだった。それを変えようとは一切しない。
「その必要は一切ない」
「必要ないとは」
「ですがそれでは」
「見るのだ」
 こう言うとだった。右手を上に向けてそのうえで。無数の拳を放ったのである。
「拳!?」
「拳をここで!?」
「しかしこの数の槍にはだ!」
 インプ達はミロが拳を放ったのを見てもすぐに余裕を取り戻した。
「その程度では通じん!」
「そう、我等の勝利は揺るぎない!」
 こう勝ち誇った声で叫ぶのだった。彼等はまだ空中にいる。
「死ね、スコーピオン!」
「我等のこの槍でな!」
「通じないかどうかはだ」
 しかし当のミロは彼等以上に余裕があった。まるで空には何もないかの様に。
「これを見てから言うのだな」
「これとは!?」
「それは一体」
「見るのだ」
 ミロの言葉が強くなった。拳はまだ放たれ続けている。
「これをな」
「何っ!?」
「これは・・・・・・」
 インプ達は。彼等が放ったその槍達が。まるで岩が砕ける様に粉々になっていくのを。その目で見たのであった。
「馬鹿な、我等の槍が」
「全て破壊されたというのか」
「その拳で」
「そうだ」
 まさにその通りだと答えるミロだった。
「御前達の槍は今全てこのミロが砕いた」
「馬鹿な、この様なことが」
「しかも一瞬で」
「我等黄金聖闘士はまず光速の動きを持っている」
 黄金聖闘士の強さの象徴の一つだ。セブンセンシズと並ぶその特徴である。
「そしてその拳の強さもだ」
「我等の槍をも砕くというのか」
「まさか・・・・・・」
「そのまさかだ」
 そうだというミロだった。
 
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