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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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5スペルサバイバル

 
前書き
気が付いたら10月も下旬なんだけど、ゲーム大会で遊びすぎてハロウィンに間に合わない可能性が出てきてちょっと焦り気味。
とてもあと数日で終わる気はしないな・・・今年は諦めるか。 

 
シリルside

「ナイスレオン!!」
「スゴイスゴイ!!」

強敵相手に勝利を納めた少年に称賛の声を浴びせるのはセクハラ人魚と天空の神。それに対し氷の神は軽く手をあげて答えるだけで、飄々としていた。

「すまん、カグラ」

一方のリオンさんはレオンに土をつけることができなかったことが悔しかったようで、ようやく回復して戻ってきたカグラさんへと謝罪していた。

「なぜ私に謝る?」
「あんな恥ずかしいポーズまで決めてもら――――」
「わぁぁぁぁぁぁ!!」

触れてほしくない話に軽々しく触れるリオンさんの口を大急ぎで塞ぐカグラさん。でも、あの姿を見てると俺の方がへこむ・・・だってあれを考えたのって俺なんだもん。

「シリル」
「何?」

顔を真っ赤にして自らの過ちを悔いている女性とその仲間たちを見ていると、後ろから金髪の少年に声をかけられ、振り返る。

「繋いだぞ、最終戦」

第四戦の前から託されていた最後のゲーム。こちらも、そして相手もプレイヤーの権利が残されているのはたった一人だけ。最終戦の鍵を握るプレイヤーはすでに決まっているのだ。

「絶対勝てよ」

なんとか優勝に希望を繋いだとあって気合いが入りまくっているレオン。こいつがここまでやる気なんて珍し――――

「食べ放題のために!!」
「・・・」

そんなこったろうとは思ってたよ・・・

「最終戦棄権していい?」
「えぇ!?なんで!?」

だってレオンのせいで気合いが抜けちゃったんだもん。確かにこいつが食べ放題券が欲しくて参加したんだけど、ゲーム自体を楽しんでたわけだし、忘れていたんだもん。できれば最後まで忘れていたかった。

『それでは!!これから最終戦のゲームを選択します!!』

体から力が抜けていた俺だったけど、そのアナウンスとともに気合いを入れ直す。最終戦は俺がプレイヤーなんだから、レオンの発言は一度忘れてゲームに集中しよっと。

『最終戦のゲームは・・・』

レバーを引いてルーレットを回す。そして、最終戦のゲームが決定した。

『最終戦は《5スペルサバイバル》!!両者のプレイヤーはすでに決定しているので、早速会場の準備に取りかからせていただきます!!』

その一言で広場の至るところからたくさんの柱が地面から現れ、天に向かって伸びていく。下から見ているとどこまで上に行っているのかわからないほど伸びており、見上げるとすごく首が痛い・・・

「あれ?カグラさんたちどこかな?」

柱の影から敵の姿を確認しようとしたソフィアだったが、無数の巨大な柱のせいで姿を確認できないらしい。おまけにランダムで道を封じているらしく、まるで変則型の迷路みたいだ。

『それでは、マーガレット祭ゲームトーナメント最終ゲーム《5スペルサバイバル》のルールを説明させていただきます。まずは選手の皆さんにこちらをお配りいたします』

目の前に突然現れる謎の光り。一人一つといった感じで出現したそれは、各々の前で止まると、バッジのような物へと姿を変え、それぞれの前に出した手に落ちてくる。

『そちらのバッジは今回のゲームの皆さんの()()となります』
「弱点?」

降ってきたバッジをジロジロと観察してみるけど、何がどういう理論でこれが弱点になるのだろうか?動きを制限する何かがあるってこと?

『配られたバッジを皆さんには体のどこかに付けてもらいます。他者から視認できる部位であればどこにつけていただいても構いません。ゲームが開始されますと、そのバッジに攻撃を受けるとゲームオーバー、退場となります』

その説明でようやく理解できた。つまりこの弱点が命のようなもので、それが壊されるとサバイバルから脱落させられるってことか。

「一応確認だけど、弱点は敵からの攻撃だけ有効なの?」
『そうです。万一味方の攻撃が当たっても退場にはなりません』

ここまでのゲームの説明からバトル系のゲームだと悟ったレオンが気になったことを確認する。本来のサバイバルだと味方から誤爆されたら間違いなくおしまいだけど、今回はゲームということもあってその辺は考慮してくれるらしい。

『今年の決勝戦は両チームともに全員が魔導士なので、特別使用で魔法で弱点部位に攻撃をしてもらいます。普段のような戦いをしてもらって構いません』

一般人だったらもっと違う戦い方になったんだろうけど、今に限っては全員が魔導士。片方だけに特別有利になるわけではないので、より盛り上げるために全員がベストの戦いをできるように配慮してくれたんだろう。

『そして!!ここが今回のゲームの重要な点!!5スペルについてご説明します』

ゲーム名のサバイバルは何となく理解できたけど、その前の単語が全く想像できない。5スペルとは一体どういうことなのか?非常に気になる。

『選手の皆さんには一人一つ特殊能力を作ってもらいます。どのような能力でもいいですが、その能力は5文字で表現してください』

どんな能力でもいい!?何それすごい楽しそう!!

『5文字で作られた能力はゲーム中に何度でも使用することができます。しかし、他者と文字が一つでも被る、または選手の中でその能力のイメージができていないと発動することはできません』

どんな能力を手に入れようかとワクワクしていると、ここでも頭を使わなければならないことが告げられてちょっと冷や汗。今日は考える時間が多すぎて、そろそろ疲れてきている。ちゃんとした思考ができるか不安になってきた。

『さらに、ゲーム中敵チームにスペルを言い当てられますと、10秒間の硬直、そして能力が封印されてしまいます』

誰とも文字が被らないように考えなければならないしゲーム中も能力がどういうものかイメージしてないといけないし、さらには相手に当てられにくい単語にしなければならない。ただのサバイバルゲームじゃなくて難しすぎるんだけど・・・

『先に敵チームのプレイヤーを退場させたチームの勝利、優勝となります』

自身の魔法、作った特殊能力を駆使して相手のプレイヤー・・・つまりは俺かカグラさんを退場させたチームの勝利。それだけ聞くと単純だけど、実際は結構細かい部分で頭を使うので作戦を上手に立てることが戦略になりそうだ。

『ご質問はございますか?なければ、両チーム各選手のスペル決めを行ってください』

もっとも重要になるであろう特殊能力となる五文字のスペルを決める時間。時間制限はないみたいだから、より間違いのない作戦を立てていかなくちゃ。

「で、どうするの?」

全員が顔を見合わせると、まず最初にソフィアが口を開く。

「リオンさんたちと被らないように能力を決めていかなきゃいけないんだよね?」
「あたしたちの中でも文字を被らせたらダメだよ」

ウェンディとシェリアが早速どのように特殊能力を決めていこうかと迷っている様子。このゲームはいかに効果的な能力を発動させるかが大切だから、ここでどのように文字が被らないスペルを作るかが大事!!と思っていた俺たちの発想を一人の少年が打ち砕く。

「いや、むしろ使われたくない文字はこっち側でも積極的に使った方がいいんじゃないのか?」

文字が被ったスペルは使用できない。逆にいえば、使ってほしくない強力なスペルは被らせてしまえば効果を発揮できなくなる。

「なるほど!!それはいいかも!!」

彼の意見に全員が納得し、賛同する。やっぱりレオンはバトル系だと頭の回転が早い。ナツさんみたいなタイプなのかな?あの人もバトルの時だけ頭が良くなるよね。

「例えばどんな言葉?」
「「「う~ん・・・」」」

どんな単語を使われると困るか、頭の中で考えてみる。“絶対勝てる”とか?これなら絶対を潰せば色んな単語に対応できるし。

「プレイヤーのシリルがやられたらまずいから、“シリル”を潰せばいいんじゃないの?」

後半だけ聞くと俺がやられてしまいそうな感じだけど、実際は守ってくれるための発言だからどう突っ込めばいいのかわからない。

「でもシリルだと“水竜”でも動きを制限できそうだよね?」
「じゃあそれも使っておこっか?」

ひとまずいくつか相手が使用しそうな文字を潰していこうと候補を上げていく。それを元にまずはレオンのスペルを作成することにした。

「レオンならスペルなくてもいけるもんね」
「だといいね」

魔法が使えるならはっきり言ってレオンの右に出るものはいない。なので、彼のスペルには俺を不利にするために使用されるであろう第一候補、“シリル”を使ってもらうことにした。

「これで向こうがシリルを狙ってきても大丈夫だし、もし発動できればすごく効果的だね」

レオンには俺の名前を使ったとあるスペルを準備させてもらった。発動しなくてもいいし、発動すればかなり強力なスペルだと思う。

「でもウェンディはいいの?」
「そうだよ。水竜で被らされたら発動できないよ?」

そしてもう一つの候補である水竜はウェンディのスペルに押し込むことにした。でも、ウェンディはそれでいいのだろうか?発動しないとすごく不利になるんだけど・・・

「大丈夫!!私にいい考えがあるから!!」

ないむnゴホンゴホン。胸を張って何やら自信満々の天竜。一応後でチーム内で被ってないか確認するけど、果たしてどんなスペルを考えてるのかな?

「あとレオンも潰しておいた方がよくない?」
「確かに」
「狙われそうだね」

今回はプレイヤーではないが、彼の力が大きな鍵を握るのは間違いない。ただ、それは向こうもわかっているのだから、おそらく何らかのスペルで動きを封じてくるはず・・・だったら彼の名前も使っておいた方がいいかもしれない。

「じゃあレオンの名前はあたしが使う!!」

そう言って手を上げたのは彼の幼馴染み。俺はプレイヤーだから有効かつ発動率の高いスペルを考えなければならないから、被ってもいいスペルは使えないので立候補をできない。なのでソフィアかシェリアのニ拓なんだけど、シェリアはソフィアに奪われる前にあげた感じがしてなんだか笑えてくる。

「じゃあそれぞれで一度スペルを考えてみよっか」
「「「「賛成!!」」」」

天神のかけ声で一度自分がどのような能力にするかを考えることにした俺たち。俺はどういうスペルにすればいいのかな?迷いどころだ・・・














それからしばらくして・・・

「みんなできた?」
「うん!!」
「俺は元々決まってるし」
「俺もできた!!」
「ソフィアも!!」

一通りどんな能力にするかを決めたので、文字が被ってないかそれぞれの紙を見せて確認し合う。

「おっ!!被ってないじゃん!!」
「ホントだ!!」

なんと一発で全員のスペルが決定!!かと思いきや・・・

「待て」

レオンがとある少女のスペルを見てストップをかけた。

「どうしたの?」
「何か問題ある?」
「大アリだ」

彼は何がそこまで危険だと感じているのかわからず全員のスペルを見回してみる。すると、さっきはただ文字が被ってないかどうかしか確認してなかったから気付かなかったけど、よく見てみると一人の少女のスペルが何やらおかしいことに気付いた。

「ねぇ、ソフィア」
「何?」

おかしいスペルを作っていたのはこちらの人魚。彼女は一体何がおかしいのかと言った感じに首を傾げている。

「何?そのスペル」
「ちょう・・・」
「サイヤ・・・」
「ひと?」

彼女の紙に書いてあったのは“超サイヤ人”。聞いたことのない単語に俺たちは首を傾げるばかりだ。

「知らないの?髪を金色にして逆立てることで戦闘力を50倍に~!!」
「知らん」
「なんだよ戦闘力って」

何やら一瞬オーラのようなものが見てた気もするがきっと気のせいだろう。なんだか彼女は自信アリのような感じだけど、ぶっちゃけ信じられない。

「ソフィアはもっといい魔法を使えるようにした方がいいんじゃないの?」
返し魔法(カウンター)とあれじゃ戦い辛くない?」

戦闘力とかいうのを上げるのもいいけど、彼女にはもう少し戦いの幅を広げるスペルを使えるようにしてもらった方がいいとウェンディとシェリアが伝えると、ソフィアは納得できないといった顔をする。

「えぇ、いいじゃん。絶対被んないよ」
「そりゃそうだけど・・・」

確かにこのスペルは被るとしたら“超”くらいだろう。俺たちが考えたスペルよりかは発動しやすいだろうけど、使いづらいのは変わらない。

「お願いソフィア!!」

ここまで繋いでもらって最終戦であっさり負けましたなんてなったらカッコ悪い。なので、俺は彼女の手を取り懇願するように顔を見上げると・・・

「もう!!しょうがないなぁ」

ソフィアはニヤニヤとしながら了承してくれた。こいつは俺とかウェンディには甘いから落としやすいんだよね。単純な奴でよかった。



















『両チーム使用するスペルが決定しました!!ですので、これよりゲームを開始いたします』

無事にソフィアの説得も終了し、全員のスペルが確定した。それと同時に相手チームもスペルが確定したらしく、場内にアナウンスが響き渡る。

『マーガレット祭ゲーム大会決勝最終戦《5スペルサバイバル》!!開始!!』

魔導士たちの全力を引き出す魔法を使ったサバイバルゲーム。優勝をかけた最終戦の火蓋が切って落とされた。





 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
最終戦は魔法でのサバイバルゲームです。大魔闘演武の最終日にちょっとアレンジを加えたみたいな感じですかね。
次は特殊能力を使いながら魔法での戦いです。まぁゆっくりやっていきましょうかね。 
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