ハイスクールD×D暁の滅龍魔導師が守りたいもの
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1章旧校舎のディアボロス
6話アーシア救出開始!!
「ん?・・・あぁ、朝か」
俺は日差しの眩しさに目を開け、ゆっくりと伸びをする
時刻は5時、うん、いつも通りの時間だ。
さて、ジャージに着替えてトレーニングしに行くか
そして、ソファーから降りようとしたとき、俺の中から声が聞こえてくる
『おはようございます、主様』
メルクリアの声だ。
そういえば、昨日俺の中に神器があるということが判明して、その中にいる存在とあったんだっけな。
それが彼女メルクリア、始創の神龍の名を持つかなり強そうな龍だ
ああ、おはよう、メルクリア
『はい、よく眠れましたか?』
まあな
『それと、主様昨日の話ですが、それはトレーニングしながらでもよろしいでしょうか?』
ああ、構わないよ
俺はそう言いながら、自室へ向かい、ゆっくりと扉を開く
すると、俺のベッドでは
「・・・すぅ、すぅ・・・イッセー、さん」
アーシアがイッセーの名を寝言でつぶやきながらかわいい寝息を立てるアーシアの姿があった。
起こしちゃ、悪いな
俺はそう思い、音を立てないようにクローゼットの前に移動し、ジャージを取り出し、部屋を出て扉をゆっくり閉める
そしてジャージに着替えて、玄関をでて、戸締りをし、トレーニングを開始した
「ふぅ・・・今日もよく運動した」
一時間後トレーニングを終えシャワーを浴び終えた俺はタオルで髪の毛を拭きながら、俺はコップに牛乳を注いで飲んでいた。
俺はトレーニングし終えてから、メルクリア、まあ、長いからこれからはメルと呼ぶとしよう。彼女が話していたことを思い出す
彼女は昨日話した通り、始創の神龍と呼ばれており、彼女の神器の名は『始創神龍の双龍腕』という名らしい
形状としては両肩から手の先までの白銀色の籠手型の神器で両手の甲には真紅の宝玉が埋め込まれており、まさに龍の腕とも言える形状をしている。
さっき風呂場で展開してみたが、精神世界で見たメルの鱗をそのまま体現したかのような美しい色合いだった
能力としては、10秒ごとに力を溜めてその溜めたを使い俺が思い描いた神器を創造するらしい。
ただ、メルが言うには創るものによっては多大な精神力や魔力体力を消費するようだ。
『当然です、主様。まず、神器を作ること自体異常なんです。それをできるようにしているのですから、それ相応の負荷がかかるのは当然です』
とのことだ。
『それに主様は善の心を持っている方です。滅龍魔法という強大な力を扱いながらもその力に溺れずに本当に大切なものを救う、救済の心が強い人にこの力を託そうと思っていました。主様はその条件全てに該当するのですよ』
そう。
なんでもメルの力を扱うにはメルが言うような善の心、本当に大切なものを守ったり、助けることができる、そんな気質を持っている人がこの力を扱うにふさわしいらしい。そして俺はそれに選ばれたわけだ
しかし、メルはそういう気質を持つ人間を選べるのは一度きりらしい。だから、俺が死ねばメルは神器ごとこの世から、消滅するようだ
なんで、メルがそんなシステムを背負わされているのかはわからないが、とにかく選ばれたからにはこの力を使いこなせるよう頑張るしかないよな
『ええ、その意気です、頑張ってください。』
ああ、頑張ってみるよ。
まあ、話はこれくらいにして、そろそろ朝飯を作らないとなぁ
それに今日は2人分作らないとだし
今日は何を作ろうか。
俺は冷蔵庫の中を見ながら、考える
「アーシアはシスターだしな。手軽にベーコンエッグとトーストでも作るか。」
俺はそう思い、冷蔵庫から卵とベーコンを取り出し、ベーコンをフライパンに並べ加熱していき、棚から食パンを3枚取り出し、トースターに入れる。
さて、この間にアーシアを起こしにでも行くか
俺はキッチンから自室に向かい扉を開けようとした時、不意に扉がガチャとゆっくり開いた
「うぅ・・・もう、朝ですか?」
すると中から、目をこすりながらのアーシアがでてきた。
「あっ、おはようございますぅ。アレンさん」
アーシアは寝ぼけながらも俺の方を見てそう言ってくる
・・・な、なんて破壊力なんだ
この子は、なんていうか、その、保護欲をそそられるというか、とりあえず可愛い
「おはよう、アーシア。そろそろ朝ごはんができるから、そこの椅子に座っといてくれ」
「・・・はい」
アーシアはそう答えると、うとうとしながらリビングの椅子に座る。しかし座った後でも少しうとうとしており、時折、船を漕いでいた
よし、アーシアがまた寝ないうちに飯をとっとと作ろう。
五分後、2人分の朝食を作り終え、リビングに持ってた時、アーシアは目が覚めたのか、モジモジとしながら椅子にちょこんと座っていた
「ほら、朝ごはんできたぞ。」
「あっはい。えと、これはトーストとベーコンエッグ・・・ですか?」
「ビンゴ、さっ、バターか、ジャム両方あるから好きな方を塗ってくれ」
「は、はい」
そして、俺たちは朝食を食べ始めた。
「いいか?アーシア、外に出てもいいが、堕天使には気付かれないように気をつけてな。それとこれが昼飯のお金だ」
「はい、わかりました」
朝食を食べ終えた後、俺はアーシアに外に出る時の注意を教えていた
アーシアは堕天使に狙われている身。だからこそ、周りには気をつけるようにしないといけない。
幸い堕天使達はイッセー達悪魔の気配は感じることができても、アーシアのような人間の気配を感じ取ることはできない
「それともし堕天使に見つかったら、俺の家か、駒王学園に向かって走れ、俺の家なら結界もあるし駒王学園なら悪魔の管轄で俺やイッセーがいるから、いざという時守れる。それとこれが地図でこれが俺の家の合鍵な」
俺はそう言いながら、机の棚から駒王町の地図と自宅の合鍵を取り出し、地図に俺の家と駒王学園に赤ペンでマークをつけ、アーシアに渡す
「すみません、ここまでしてもらって。昨日会ったばかりなのに一晩泊めていただいただけでなく朝ご飯までご馳走になるなんて・・・うぅ、主よ、こんなに情けない私をお許しください」
アーシアはそう言いながら、指を組み祈りをする。
この子って多分信仰心がかなり深いんだろうな
「じゃあ、俺はそろそろ学校に行かないとダメだから。まあ、堕天使には気をつけろよ」
「はい、その・・・いってらっしゃい、アレンさん」
「ああ」
家を出た後、俺は端末でイッセーに電話をかけた
『どうした、アレン』
電話越しに聞こえるイッセーの声は心なしか沈んでいるようにも聞こえた。
なんでそんなに落ち込んでるんだ?
「ああ、傷の具合はどうだ?確か2発足に撃たれたんだろ?」
『ああ、一応昨日部長に治療してもらったんだが、まだ痛む。それと、今日は学校を休むことにしたよ』
「休む?なんでだ?」
『部長がな、この足では悪魔の仕事もできないだろうから休んどけって・・・それとアーシアは?』
「家に残してきたさ。あっ、そうだ、お前今日学校休むんなら、アーシアを外に連れ出して遊んでやれよ」
『えっ?でも、お前の家の場所わからないし』
あぁー、そうだった、そういえば、祐斗以外に家の場所教えてねぇんだった
「じゃあ、今からメールで送るよ。それにアーシアもお前に会いたがっていたしな」
『・・・ッ!そうか、ありがとうな。アレン、昨日といい今日といい、いつもお前には世話になってるな』
「気にすんな、じゃあ、明日会おうな」
『ああ、また明日』
イッセーはそう言うと通話をきった。
俺はイッセーに俺が住んでいるマンションとその部屋番号をメールで送り、端末をポケットにしまうと学校へと再び足を進める。するとメルが俺に声をかけてきた
『ふふっ、主様は優しいですね。』
いきなりどうした。
『いえ、なんでもありませんよ。ただ、主様、一つだけ』
ん?どうした?
『今日は何か嫌なことが起きそうな気がします。だから、一応用心だけはしておいてください』
ああ、わかった。実は俺も嫌な感じがしていたんだ。気をつけとくよ。
『はい。それと、最後に一つ、そろそろ急がないと学校に遅れますよ?』
はっ!?マジで!?
俺はそう思いながら、時計を見る。時刻は1限が始まる10分前を指していた。
「そういうことは先に言ってくれ!!」
俺はそう叫びながら、通学路を猛スピードで走り抜ける
学校には、猛スピードで登校しギリギリで間に合った。
そして放課後になった
俺は部室に行き。ドアを開けた瞬間
パシン
部屋に乾いた音が響き渡った
音の発生源はイッセー、そしてイッセーの前には本気で怒っている部長の姿があった
どうやら、イッセーが部長に平手打ちをされたらしい
そして部長は真剣な表情をするイッセーにこういった
「何度行ったらわかるの?ダメなものはダメよ。あのシスターの救出は認められないわ」
は?
シスターの救出?
イッセーが、シスターを救出しに?
じゃあそのシスターってまさか
「おい、イッセー、そのシスターって・・・まさか、アーシアなのか?」
イッセーは俺が来たことにやっと気付いたのか、俺を見た途端に申し訳なさそうな顔をする。
おい、なんでそんな表情をするんだ?
「ごめん、アレン。アーシアはレイナーレに連れてかれた」
「・・・・何があった?話せ」
そして俺はイッセーからことの顛末を全て聞いた
「・・・そういう訳なんだ、それでアーシアが連れてかれた」
「・・・そうか」
俺はイッセーの話を聞いてギリっと歯軋りをする
くそっ!!今朝感じた嫌な予感はこれか!!
レイナーレ・・・ッ!!
あいつらはどこまで本部に迷惑をかければ気がすむ!!
不審な神器所有者を殺すのはまだ許容範囲だ、だが、アーシアは殺しちゃダメだろうが!!
アザゼルだって絶対に保護しろと言っていた
つまり、あいつらは総督の意に背いたということ。
それにイッセーのやつはレイナーレがアーシアを使って儀式をするといった。その儀式ってのは十中八九・・・
俺は内から込み上げてくる怒りを必死に抑える。
「部長、俺は一人でも行きます。やっぱり、儀式ってのが気になります。堕天使が裏で何かするに決まってます。アーシアの身に危険が及ばない保障なんてどこにもありませんから」
「あなたは本当にバカなの?行けば確実に殺されるわ。もう生き返ることはできないのよ?それがわかっているの?あなたの行動が私や他の部員にも多大な影響を及ぼすのよ!あなたはグレモリー眷属の悪魔なのよ!それを自覚しなさい!」
「だったら、俺をはぐれにしてください。それで俺個人で教会に行きます」
「そんなことできないのはわかってるでしょう!?どうしてわかってくれないの!?」
初めて部長の激昂した姿を見た
だけど、イッセーは譲らないだろうな。もちろん俺もだが
「俺はアーシア・アルジェントと友達になりました。アーシアは大事な友達です。俺は友達を見捨てられません!」
「・・・それはご立派ね。そういうことを面と向かって言えるのはすごいことだと思うわ。それでもこれとそれは別よ。あなたが考えている以上に悪魔と堕天使の関係は簡単じゃないの。それにあの子はもともと神側の者。堕天使と同じく私たちとは相容れない存在なの。いくら堕天使の元へ降ったとしても私たち悪魔と敵同士であることは変わらないわ」
「アーシアは敵じゃないです!」
イッセーはそう強く否定する。
「だとしても私にとっては関係のない存在だわ。イッセー、彼女のことは忘れなさい」
これ以上は不毛な言い合いだ。この時も刻一刻と儀式の時間が迫っている。早く行かないとアーシアは
「だったら、人間の俺が行くなら、問題ないよな」
「「「「ッ!?」」」」
その場にいる全ての人が俺の発言に驚く。すると、部長が声を荒げる
「アレン、貴方までどうして!」
「俺は人間だ。あんたら悪魔と違い堕天使とも敵対していない」
「でも、あなたは悪魔側の人間なのよ!?それがあっちにばれたら、あなただって殺されるかもしれないのよ!?」
部長だって、譲れない思いがあるはずだ。
眷属を、仲間を愛し一緒に生きる・・・それが部長のやり方なんだろう
だが、俺のやり方は違う
「俺は何があっても、助けたい者は助ける。それが敵でもな、そのためならば命だって懸ける。それが俺のやり方だ。」
「アレン、あなたは素晴らしい気質を持っているわ・・・それにあなたも眷属ではないにしろ、オカルト研究部の部員なの、だからこそ、私は仲間を失いたくないの!!」
部長は悲しそうな目をしながらそういう。
それは部長だけじゃない。小猫ちゃんも不安そうな顔をしているし、祐斗やイッセーも心配そうに見てくる。
朱乃さんもいつものニコニコ顔ではなく、いつになく真剣な顔で俺を見ていた
たまに本当にこの人たちが悪魔なのかと疑うよ。
俺が思っていた悪魔とは全然違う、むしろ真逆と言っていいほどに優しい
だからと言って、俺は止まるわけにはいかない
「とにかく、俺はもう行く。儀式が迫ってるなら、早く行かないとアーシアが危険だ。それとイッセー、先に行ってるぞ。なるべく早く来い」
「ッ!!おうっ!!」
「待ちなさい!アレン!!」
俺はイッセーに一言そう言い、部長の制止の言葉を無視して部室の扉をでてドアを閉める
さぁ、行くか
俺は、叛逆の双龍銃をホルスターと一緒に異空間から取り出し足につけていく。
メルお前の力、借りるぞ
『ええ、私は主様と共にあります。私の力、存分にお使いください』
ああ、そうさせてもらおうか
「『始創神龍の双龍腕』」
俺はそう言い、両腕にメルの神器を展開する
場所は教会、残滅対象は堕天使四匹にはぐれ悪魔祓い複数。救出対象シスター、アーシア・アルジェント
「・・・任務開始」
俺は教会に向かって走り出した
しばらく走り、町外れの教会についた俺は教会の門を殴り壊して中へと入る
そして俺はある匂いを感じ取る。
この血生臭い匂い・・・あいつか
「出てこいよ。はぐれ神父」
「おおっ!?まさかこのはぐれ神父ことフリード・セルゼンがここにいることに気付いちゃいましたかー」
俺の言葉に応えるようにパチパチと拍手をしながら物陰から白髪の男、フリード・セルゼンが身体中に包帯を巻いている姿で現れる
「随分とボロボロじゃねぇか?」
「これ全部オメェのせいだろうがぁ!!」
「知ったことじゃねぇよ、それに俺は今イラついてんだ邪魔したら、殺すぞ?」
『Charge!!』
俺は神器の力を溜めながら、本気の殺気を向ける
すると、フリードは若干怯えながら両手をゆっくりとあげ、降参の意を示す
「おおっと怖ぇ、怖ぇ、てか、アレン君って本当に人間?どう考えてもあのパンチの威力人間のそれじゃないでしょ?」
「んなこと、知るか。俺は正真正銘人間だ。それで、両手をあげたんなら、通っていいんだな?」
「ええ、どうぞどうぞ、別に俺はあの堕天使どもがどうなろうが別に構いませんからねぇ」
「そうか」
俺はそう言いながら、フリードの横を通った瞬間
「ひゃっははははははは!!!どうせアーシアちゃんは助からなぐぇ・・・っ!?」
フリードは奇声をあげて俺に銃を向けてくるも、その銃から弾が放たれることはなかった
なぜなら、俺が神器を纏った状態の腕でフリードを横に殴り飛ばしたからだ。
そしてフリードはあの時と同じように何もできずにまた吹っ飛ぶ、唯一違うとするならば、突き抜けたのが窓か壁かの違いである。壁を突き抜けたフリードは壁だけでなく木々の間を突き抜けたらしく、木々が折れる音が響いた
「悪いな、フリード・セルゼン、お前のような奴は信用できねぇんだわ」
俺は遠くにいるであろうフリードにそういい、祭壇へと足を進めたその時
「アレン!!」
「アレン君!!」
「アレン先輩!!」
俺を呼ぶ声が3つ後ろから聞こえた。その声に後ろを振り向くとイッセー、祐斗、小猫ちゃんが教会の入り口に来ていた
「随分と早かったなぁ、俺一人でやっちまうところだったぞ」
「んなことさせっかよ、アーシアを救うなら俺も行かないとな。」
「そうかよ。それとなアーシアはこの下にいる」
そう言いながら、祭壇を殴り飛ばす
すると、俺の予想通り、祭壇の下には地下へとつながる階段があった。そして中からはレイナーレの気配とアーシアの気配もした。さらに複数の人間の気配も、おそらくはぐれ悪魔祓いたちだろう
「イッセー、俺と小猫ちゃんと祐斗で敵を引きつける。その間にお前はアーシアを救い出せ、いいな?」
「ああ!!そのつもりだ!!」
「うん、最初からそのつもりだよ」
「・・・了解です」
しかし、悪魔祓いの数多すぎないか?気配だけでも50はいるぞ、レイナーレとアーシアのところには行かせねぇってことか?
いいぜ、そっちがそのつもりなら
『Charge!!』
その音ともに俺の創造力は更に蓄積されてく
「アレン君、その腕は一体?」
「後で話すよ」
全員叩き潰してやるよ
地下に着いた
薄暗く、気味が悪い
そして教会地下の最奥に着いた時、巨大な門を開ける
そして俺たちの視線の先には
「いらっしゃい、悪魔の皆さん」
全員、光の剣を手にしているたくさんのはぐれ悪魔祓いたちと、その奥の祭壇で十字架に磔にされているアーシアとその傍にたつレイナーレの姿があった
「アーシアァァァ!!!」
俺の隣でイッセーがアーシアの名を叫ぶ
「イッセー、さん?アレン、さん?」
今まで目を瞑っていたアーシアが俺たちの存在に気づく。
「ああ、助けに来たぞ!」
イッセーが微笑むと、彼女は涙を流した
だが、俺はさっきから気がかりなことがある
なんで、レイナーレはずっと余裕そうな表情でこっちを見ているんだ?
その答えはすぐわかった
「感動の対面だけれど、遅かったわね。今儀式が終わるところよ」
レイナーレはそういうと、アーシアの手に触れる
次の瞬間
「・・・あぁあ、いやぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!」
突然、アーシアの体が光だし、絶叫が響く
悲痛な悲鳴が響き渡った時、彼女の胸に淡い緑色の光が灯った
その時、俺の中で全てのピースがハマった
アーシアの回復の力、拘束、儀式・・・そしてあの淡い緑の光
あの光・・・やっぱりか!
あいつらの目的は!
「小猫ちゃん!!イッセーを祭壇の方に投げろ!!!」
「了解です!兵藤先輩、行きます!」
「えっ?ちょ、ちょっと待って、うぉぉぉぉぉぉぉ!?!?!?」
小猫ちゃんは俺の言葉に頷きイッセーを掴み『戦車』の力で投げ飛ばす
イッセーは無事祭壇にたどり着いたが、その時にはもう遅かった
「いやぁぁぁぁ・・・」
「これよ、これ!これこそ、私が長年欲してた力!神器!これさえあれば、私は愛をいただけるの!うふふ。アハハハハハ!ついに手に入れた!至高の力!これで、これで私は至高の堕天使となれる!私をバカにしてきたものたちを見返すことができるわ!」
アーシアの体から抜け落ちた緑色の光をレイナーレが手に掴みその光を全身から発していた。
神器というのは、人の魂、心臓そのものといってもいい程、重要なものだ。そしてそれを抜き取られたらどうなるか、答えは明白だった
そう、レイナーレは、この女は、それを分かった上でやったんだ。
アーシアが死ぬということを分かっていて・・・ッ!!
「祐斗、小猫ちゃん、今すぐイッセーの逃げ道をつくるぞ!!」
「ああ、僕も少し頭にきているんだ。最初から全力で行かせてもらおう。」
「・・・了解」
俺は裕斗と小猫ちゃんと共に目の前に立ちはだかる数十人の神父たちへと駆け出す。
俺は銃で頭を撃ちぬき、裕斗は光を侵食するような闇の剣で、小猫ちゃんは拳でそれぞれ倒していく。そして俺は祭壇の上でレイナーレに怒声をあげているイッセーに向けて叫ぶ
「イッセー!!早く安全なところに逃げろ!!」
「・・・ッ!くそっ!!」
イッセーはレイナーレを人睨みすると、アーシアをお姫様抱っこして、祭壇から駆け下りて、出口へと走り出す。
「悪魔め!滅してくれるわ!」
「逃がしはせん!!」
しかし、そんなイッセーの逃げ道を塞ぐように神父たちが光の剣や銃を持ちイッセーの前にたちはだかる
「ッ!テメェらは邪魔だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
俺はイッセーの前に立つ神父たちに向け銃を向け、貫通性の魔力弾を撃ち出す
「貫穿の龍雷弾!!!!」
撃ち出された雷の貫通弾は射線上にいた全ての神父を消し飛ばし扉までの一直線の道を作る
「イッセー!早く上に行け!!お前らを庇いながらだと不利だ!!俺たちが道を作るからそこを走れ!!」
「兵藤君!先に上に行くんだ!!ここは僕たちで食い止める!!」
「・・・早く逃げて」
「・・・でも!」
「いいから早く行け!!イッセー!!」
イッセーは覚悟を決めたのか、出口へと駆け出す
「アレン!木場!小猫ちゃん!絶対無事に戻ってこいよ!それと帰ったら、絶対に俺のことはイッセーって呼べよ!絶対だぞ!俺たち仲間だからな!」
イッセーはそれだけ告げると、その場を後にしていった
ったく、最後にいいこと言うじゃねぇか
だったら、俺もそれに応えようじゃねぇか
メル、行けるか?
『ええ、私はいつでもいけますよ。それに力も十分に溜まりました。これなら強力な神器も作れます』
だったら、これいけるか?
俺はメルに脳内で考えたイメージを送る
『ッ!これは・・・ええ、いけます!主様の想いを込めた最初の創造神器、初お披露目の力を示すには十分です!!』
だったら、やるぞ!!
『はい!!』
俺は俺から少し離れたところで一組で戦っている二人を呼ぶ
「裕斗!小猫ちゃん!!一旦俺の後ろまで下がれ!!」
「どうしてだい!?アレン君!!」
「今から、どでかいのをぶち込む!!このままじゃあらちがあかねぇからな!!」
「ッ!!分かった!!」
「はい!」
俺の言葉に頷くと2人は俺の後ろに移動する。
「じゃあ、行くぞ!!メル!!」
『了解です!!』
『Charge‼︎』『Charge‼︎』『Charge‼︎』『Charge‼︎』『Charge‼︎』『Charge‼︎』『Charge‼︎』『Charge‼︎』『Charge‼︎』『Charge‼︎』
メルの言葉が聞こえた次の瞬間、メルの音声で何度も力が溜まっていく
今まで溜まった創造力は30回分、そして今溜まった分を合わせて40回分それを4つに分けて、同じものを4つ作り出す!!
形は簡単に言うならば大砲、俺が持っている双銃と同じ構造のものを作る!!
ズキッ!!
その時、突然の頭痛に襲われる
そうか、これがこの神器を使う時の負担か
けど、これぐらいの痛みなら耐えれる!!
そしてイメージが脳内でが完全に定まっとき
『Twin Armed Gear Over Create!!!!!!!!』
俺の両腕の神器が白銀に輝き、俺の肩と背中に白銀の塊が生み出される、それはやがて形を成していき、最後には4つの砲身が創り上げられていた
「な、なによ、それ!?」
「こ、これは?」
「・・・綺麗」
レイナーレは俺が神器を創ったことに驚き
祐斗と小猫ちゃんはその白銀の光にそう言葉を零す
ああ!俺だってそう思うよ!!
ここまで綺麗な光は初めて見た!!
「白銀の龍砲!!」
『Set!!!』
俺は双銃を構えながら、4つの砲身も焦点をそれぞれ定める、そして俺の双銃と4つの砲身を合わせ、計6門の砲身にそれぞれ属性と性質を込める。
爆裂、拡散、斬裂、貫穿、追尾、透過の6つの性質を、そして炎、水、風、雷、氷、光、の6つの属性を混ぜ合わせ一気にそれを解き放つ!!
「発射!!」
『Rapid Fire!!!!!!!!!!!』
ドガァァァァァァァァンンンン!!!!
そして放たれた魔力弾は地面に当たった瞬間、大爆発を起こし神父たちを飲み込んでいく!!
大爆発だけでなく、雷で焼き焦がされたり、風で切り裂かれたり、氷で凍り尽くされている神父の姿もあった。
そしてしばらく大爆発が続き、煙が晴れた時、そこにはすでに瀕死の神父と死体となった神父たちしかいなかった
だが、そこにはレイナーレの姿はいない。おそらく、攻撃は食らったもののアーシアから奪った神器で回復しながら上に逃げたのだろう。
つまり、まだ終わっていない。だけど、もし上でイッセーとレイナーレが対峙してるとしてイッセーがレイナーレに勝てる確率は1割にも満たない
だが、もし、あいつの神器があいつの想いに応えるのならレイナーレには勝てるはずだ。
賭けてみるか。あいつの本当の力に
「裕斗、小猫ちゃん、どうやら、あの堕天使は上に逃げたようだ。急いで上に上がろう」
俺は2人に声をかけながら、出口に行こうとしたが、2人の顔はなぜか青ざめていた
なんでだ?
「う、うん、そうだね。と、ところでアレン君、君のさっきの力、あれは神器の力なのかい?」
「ああ、そうだ。俺もつい最近発現させたばかりなんだよ、使うのは今回が初めてだな」
「は、初めて使うはずなのに、あそこまでの威力を出せるなんて、アレン先輩は、すごいです」
「まあ、俺もあそこまでの火力が出るとは思わなかったけどな」
「そ、そうなんだ」
「なんか、いろいろとすごいですね。本当に人間なのかと疑ってしまうほどです」
おいおい、それは失礼だろ。俺は正真正銘の人間だぜ
『失礼ですが、主様の強さはすでに上級悪魔の力を超えてますよ?』
それって、もしかして、最上級悪魔レベルとかか?
『いえ、まだそこまでのレベルには達してないかと』
まじか。まあ、それはいいとしてイッセーがどうなってるかだ
「それよりもイッセー君は大丈夫かな?言ってはなんだけど、今の彼では堕天使に勝てる確率は・・・」
まあ、確かにそう思うよな。あいつの神器は神器関係にあまり詳しくない奴が見たならただの『龍の手』だ。ただ所有者の能力を倍にするだけの能力ならあいつは勝てないだろう。だけど
「大丈夫だ、今のあいつなら勝てる。あいつが自分の神器の本当の力を覚醒させれるならな」
「アレン君はイッセー君の神器がなんなのか分かるのかい?」
「ああ、わかるさ。だけど、それは上に行ってからのお楽しみだ」
俺は口の前でわざとらしく一本指を立てて悪戯っぽく笑うと上に向けて歩き出す
イッセー、お前なら勝てると信じてるぞ
だってお前はただの龍を宿した人間じゃない
特別な龍を宿した人間なのだから
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