八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第八十八話 幹部候補生学校その七
「税金からだぞ」
「それでこのカレーもですか」
「税金から出てるんですね」
「だから粗末にするな」
「そういうことですね」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「粗末にするなよ」
「わかりました」
「それじゃあしっかり食います」
「一粒も残さずに」
「大切に」
「しかし」
ある一年の子がこんなことも言った。
「千二百億ですね」
「イージス艦な」
「戦闘機が百億で」
「戦車が十億な」
九〇式戦車だ、一〇式は七億位らしい。
「それだけするぞ」
「高くないですか?」
彼が言うのはこのことだった。
「ちょっと」
「実はアメリカ軍の戦車は五億だ」
「半分ですね」
「あのMー1な」
アメリカ軍の主力戦車だ、外見はかなり格好良いと思う。近代的なその外見が僕としてはかなり好きである。
「あれ五億な」
「で、こっちの戦車がですか」
「十億だよ」
「倍しますね」
「イージス艦もな」
コーチは海自さんの誇るこの艦の話もした。
「元々はアメリカ軍の艦艇でな」
「そうなんですか」
「日本でも建造したけれどな」
「それが千二百億ですよね」
「あっちじゃ二百億位らしいな」
日本円にしてだ、言うまでもなくアメリカはドルだ。
「どうもな」
「六分の一って」
「凄いだろ」
「というか何で自衛隊そんなに兵器高いんですか」
「あっ、それはです」
ここで佐々木さんが話してくれた。
「あまり建造しないので」
「だからですか」
「はい、それでなんです」
「数が少ないんですか」
「建造する数が少ないと」
それで、というのだ。
「どうしてもコストが高くなりますので」
「それでなんですね」
「自衛隊の兵器は高くなります」
「そうですか」
「はい、実は」
「だから戦車とかもですね」
「高いです、戦闘機を購入するにしても」
それもなのだ。
「購入する分値段を上乗せされますので」
「高くなるんですね」
「そうです」
「わかりました、そうした事情ですか」
「高い分はです」
佐々木さんはこのことを自覚して申し訳なさそうに話した、どうもこの話になると自衛官の人達も肩身が狭いみたいだ。
「働かせて頂きます」
「そうですか」
「十二分に」
「その時はお願いします」
「お任せ下さい」
佐々木さんは確かな声で一年の子に答えた。
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