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ラブライブ! コネクション!!

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Track 3 STOMP:DASH!!
  活動日誌12 たからものず! 1 『ファーストライブ』

 
前書き
この章よりアニメの時系列を踏まえた内容になります。
サブタイトルの後ろの『』はアニメのサブタイトルです。
だいたいその話の1年後だと思っていただければ幸いです。 

 
「私達のライブを開催しまーす! よろしくお願いしまーす!」

 ファーストライブとユニット名が決まった次の日の登校時間。
 早朝練習を済ませた私と亜里沙と涼風は、その足で登校をして、学院に登校してくる生徒達にライブのチラシを配っていた。
 まぁ、普段は一旦家に帰ってから登校しているんだけどね? 早朝練習は練習着な訳だし、制服に着替える必要があるんだから。
 だけど、今日からライブ前日までは特別(・・)! 
 あっ、別に練習着のままで登校した訳じゃないよ?
 希さんが神社の神主(かんぬし)さんにお願いをしてくれたらしくて――今日からライブ前日まで社務所(しゃむしょ)を着替えに使わせてもらえることになったのだった。
 1人でも多くの人にチラシを見てほしいから、みんなよりも先に登校する必要がある。だけど早朝練習の時間を(けず)りたくはない。当然、放課後の練習も削りたくはない。
 あくまでも、私達の目標はお姉ちゃん達なのだから――お姉ちゃん達が練習している時間にチラシを配っていたら、いつまでたっても追いつけないじゃん。
 だから練習時間ではない時間で生徒の集まる時間――つまり、登校時間しかないのだった。
 そのことについて昨日考えていた時に、ことりさんが――
「それなら……お母さんに頼んで練習着のままで登校できるようにしてもらおっか?」
 って、言ってくれたんだけどね?
 さすがにソレは断ったんだよ。
 だって私達はまだ学院に貢献(こうけん)していないんだし、そんな優遇(ゆうぐう)をされるのは困るから。
 
 結局部室(その場)では結論が出なかったんだけど、夜遅くに亜里沙から電話がかかってきて――
「あのね? 希さんが神主さんにお願いして、明日の朝から着替えに社務所を使わせてくれるからって、お姉ちゃんが言っていたよ?」
 と言う連絡が入った。
 まぁ、今更驚かないんだけど、ね?
 カードのお告げは、盗聴器(とうちょうき)でも付いているのだろうか?
 ――なんて考えたんだけど、今回の発信機は亜里沙(・・・)なのかも知れないって思って苦笑いを浮かべていたのだった。
 なにせ、絢瀬姉妹と希さんの連携(れんけい)は高坂姉妹の数倍は早いだろうからね。
 きっと(きび)しさは持ち合わせているだろうけど、絵里さんは亜里沙に甘いと思う。
 だって、自分は否定していたお姉ちゃん達のファーストライブの動画(・・)を、わざわざ別編集(・・・)で亜里沙にあげるくらいなんだし? なんてね。

 そんな亜里沙の悩みを聞いた絵里さんは、希さんに即時連絡――まぁ、そこは真面目な絵里さんの性分(しょうぶん)なのかも知れないんだけど?
 連絡を受けた希さんは、即時解決へと話を進める――さすがは先代生徒会の会長・副会長(2トップ)と言うところなのだと思う。
 だけど、実際に亜里沙発信の話なんだとは思う(かたわ)ら。それでも、希さんのカードのお告げを否定できないでいる自分は、すっかり希さんに毒さ――ううん、馴染(なじ)んでいるのだろう。
 と、とにかく、そんな経緯で私達は社務所を借りることになったのだった。
   
 そして、昨日の話し合いではユニット名を決めた後、曲に関しては既存(きぞん)の曲――私達もお姉ちゃん達も μ's の曲を歌うことで話がまとまった。
 まぁ、私達には曲がないんだし、お姉ちゃん達には沢山のファンからの要望(リクエスト)があるだろうから、当然と言えば当然の話なんだけどね?
 そんな感じの話を決めた後、お姉ちゃんから――
「雪穂達はチラシ配りをした方が良いよ?」
 そんなことを言われたのだった。
 そう、別々の時間でライブを開催(かいさい)する以上――私達は私達の力でお客さんを集めなければダメなんだよね。
  
 そして、お姉ちゃん達は今回チラシを配ることはしない(・・・)みたい。
 チラシは掲示板(けいじばん)に貼って、机に配布用のチラシを置いておくだけ――あえて、ライブの宣伝はしないらしい。
 まぁ、人目に付きやすい場所だし、たぶん1人が気づけば――その日の内に全校生徒が知ることになるだろうしね?
 と言うよりも――
 単純にお姉ちゃん達が誰か1人に教えれば、瞬く間に広がるんじゃないかな?
 つまり、宣伝の為にチラシを作る必要性もないくらいの人気を(ほこ)るお姉ちゃん達。だけど、チラシを作るんだって。
 それは、ファンへの感謝と敬意の表れ。
 自分達にとっては何回目(・・・)かのライブかも知れないけれど、ファンにとっては初めて(・・・)のライブかも知れない。
 もしかしたら、何か特別(・・)な意味を持つのかも知れない。
 だから、ライブの記念になるような、思い出になるような――そんな願いを込めて丁寧に作っていたのだった。

♪♪♪
 
 そうそう、思い出と言えば――
 以前、お姉ちゃんの部屋でマンガを借りようとした時。まぁ、あの(・・)悲劇の日ではないのだけどね? 
 たまたま、お姉ちゃんの机の上に大事に置いてあるUTX学院の入学パンフレットが目に入った。
 普段はとても生徒会長とは思えない程に、自分の物を大らか(・・・)に扱うお姉ちゃんが――ただ(・・)の入学パンフレットに対して大事に扱っているのが、とても不思議だった。
 いや、お姉ちゃんの気持ちも何となくは理解していたんだけどね?
 それでも、乙女の重要なプライベートデータ(機密事項)が記された書類を平気で床に置いているようなお姉ちゃんが!
 あまつさえ、私が見つけてお母さんと見ていたら――
「あー、こんなところにあったんだ?」
 なんて暢気(のんき)な声で話しかけるようなお姉ちゃんが! 
 そう言う行為に出ていることが不思議だったんだよ。
 そのパンフレット。元々は私が音ノ木坂学院が廃校になるからって、他の学校を受験しようか迷っていた時に(もら)ったパンフレットだった。
 でも、音ノ木坂が生徒募集をするって聞いて、私も音ノ木坂の受験を決めていたから特に必要ないし良いんだけど?
 お姉ちゃん、私が見せた次の日の朝――
ちょっと(・・・・)借りていくよ?」
 って、言っていたはずだよね?
 随分と長い、ちょっとなんじゃ――まぁ、そこに関しては私も忘れていたから良いんだけど。

「まだ、持っていたんだ? そのパンフレット」

 私自身、特に必要がなくなっていたから、軽い気持ちでお姉ちゃんに聞いたんだけど。その時のお姉ちゃんは、とても優しい微笑みを浮かべて、パンフレットを大事に撫でながら――

「だって……このパンフレットが全ての始まり(・・・)だったから……私にとっては思い出のパンフレットだから……」
 
 そんな言葉を紡いでいた。
 その時に思ったこと――
 モノには全てに、等しい価値(・・・・・)存在理由(・・・・)があるものだと言うこと。
 だけどモノに付随(ふずい)する評価は、各自(かくじ)が決めるものだと言うこと。
 そして、その評価は各自で基準や感じ方が違うと言うこと。
 私にとっては、音ノ木坂を受験することに決めた時点で必要性がなくなったパンフレット――正直、手元にあっても意味はないのだから処分していたのかも知れない。
 だけどお姉ちゃんにとっては、今の自分達を与えてくれた大事(・・)な代物。
 言ってみれば、このパンフレットがチャンスの前髪(・・・・・・・)だったのかも知れない。
 だから、お姉ちゃんにとって、パンフレットは思い出の品なのだろうと感じている。
 そしてモノにはスクールアイドルも含まれているんだと思う。
 だからお姉ちゃん達への評価は各自で異なるのだと思うし、お姉ちゃん達のライブのチラシへの評価も感じ方次第で変わっていく。
 それを知っているから、お姉ちゃん達は真心を込めて丁寧に――今でもチラシ作りをしているんだと思えた。
 自分達には必要がないのかも知れないけれど、きっとファン(誰か)は必要に思ってくれているだろうって。
 
 今の私達には宣伝の目的があるのだから、当然チラシを作って配るつもりでいるよ。
 だけど、もしもこの先。
 お姉ちゃん達のようになれて、必要がなくなることがあったとしても――私達もチラシを作り続けていきたいと感じていた。
 もちろん、お姉ちゃん達のようになりたいからと言う理由もあるけれど。
 それ以上に、私達も応援してくれる人達を大切に思うから――自分達の作るチラシを思い出にしてほしいから作り続けていきたいと願っていた。
 まぁ、まだ当分は作らないと人が集まらないから作るんだけどね?
 私達は全員が解散した後、部室に残って3人でチラシを作り始めるのだった。 

♪♪♪ 

「それじゃあ、今日の話は以上だね? お疲れ様でした」

 話し合いが一通り終わると、花陽さんの言葉により、早々(そうそう)に今日の部活は終了となった。だけど終了後の余韻(よいん)(ひた)ることなくお姉ちゃん達と花陽さん達は立ち上がる。
 お姉ちゃん達はその後、生徒会室に戻って新入生歓迎会に関しての詰め作業。
 花陽さん達はライブに向けての打ち合わせ。
 私達はチラシ作りと、それぞれに予定があったから。
  
「それじゃあ、お疲れ様ー」
「お疲れ様です」
「お疲れ様ぁ」

 お姉ちゃん達はそれだけ告げると、笑顔で手を振って部室を出ていった。

「うん、お疲れ様」
「お疲れ様ニャ」
「お疲れ様」
「「「お疲れ様でした!」」」

 花陽さん達もお姉ちゃん達にそれだけを告げて笑顔で手を振るだけ。
 私達も花陽さん達に倣い、声をかける。特にそれ以上の言葉は交わされなかった。
 それぞれにやるべきことがあるから長居(ながい)はしなかったのだろう。
 花陽さん達は扉が閉まるのを確認すると、振り返り私達を見ながら――

「それじゃあ、私達は教室の方で打ち合わせをして……そのまま帰るから、部室はお願いね?」
「はい! わかりました」
「よろしくね? お疲れ様」
「お疲れニャ!」
「「「お疲れ様でした!」」」

 代表して真姫さんが私達にお願いをして、扉の方へと歩いていった。
 私が了解すると、花陽さんと凛さんも私達に声をかけながら扉の方へと歩いていく。私達は声をかけながら3人を見送るのだった。
 きっと花陽さん達は、私達がチラシ作りに集中出来るように、教室で打ち合わせをしてくれたんだろう。私は見送りながら、心の中で3人の気遣(きづか)いに感謝していた。
 そして同時に、花陽さん達の行動を見習っていきたいと感じていた。
 それは、気遣いだけ(・・)の話ではなくて――スクールアイドルとしてのお姉ちゃん達との関係は対等(・・)かも知れないし、アイドル研究部としての立場は花陽さん達の方が()かも知れない。
 だけど、その他の部分ではお姉ちゃん達は最上級生(・・・・)なのだ。
 打ち合わせが終わった今――その関係は学院としての上下関係に切り替わる。
 自分達も、そのまま退出するからと言って、お姉ちゃん達と一緒に出ようとはしなかった。
 そう、一緒に出るのではなく、最上級生をきちんと見送って、そして後輩へお願いをしてから退出する。
 それはお姉ちゃん達に敬意を表してのこと。そして、私達(・・)に対して先輩としての責任と気遣いからくる行動なのだと思った。
 だけど決して計算して行動している訳ではない――それが当たり前のことのように接しているから、素直に尊敬の念を抱けるんだろう。
 来年は私達も上級生になる。その時に、後輩から今の私が感じたようなことを思ってもらえるように――自然と接することが出来るように、お姉ちゃん達や花陽さん達を見習っていきたいと思っていた。
 花陽さん達が出て行った後、私は今の思っていたことを亜里沙と涼風に話した。 
 すると、亜里沙と涼風も同じことを思っていたらしい。まぁ、それだけ私達の目指す場所は偉大(いだい)だと言うことなのだろう。なんてね。

 そんな私達は3人だけになった部室で色々試行錯誤しながら、ライブのチラシを完成させる。そして、帰りがけにコピーをしてから帰路(きろ)についた。
 そんな感じで昨日作り終えたチラシを、登校してくる生徒達に配っていたのだった。 
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